患者さんの体重減少 | kyupinの日記 気が向けば更新

患者さんの体重減少

僕が定期的に出かけている病院の患者さんは、引継ぎ後、平均するとかなり体重が減少している。これは、たぶんリスパダールと無駄なドグマチールの整理を進めたことと関係がある。リスパダールは他に変更するか、中止しないまでもギリギリまで絞るからである。

普通、リスパダールを減量すると体重が減少することが圧倒的に多い。これは個々に調べたわけではないが、実感はそうだ。ジプレキサに変更後、劇的に体重減少する人は時々診るけど、リスパダールにはそういう人がほとんどいない。だから、やはりリスパダールは特別な薬なんだと思う。

これは暗示的に言えば、ジプレキサは真に合う人がいるの比べ、リスパダールにはそれがないのだろう。だいたい合っているだけだ。

過去に「不思議な非定型病像」で紹介した患者さんだが、当時のエントリでは全く体重については触れていなかった。彼女の場合、当初はドグマチールの少量(25㎎)とアキネトンで治療されており、一時悪化してリスパダール(4mg )で治療を受けている。その後、リスパダール0.2㎎、デパケンR200mg、リボトリール0.5mg(ほか眠剤)に整理している。

この患者さんに体重の推移を聞いてみたところ、ドグマチール時代の65kgから55kgへ10kgも減少しているらしい。本人よると、間食や夜食をしなくなったという。特に頑張ってダイエットをしてそうなったわけではないのである。スカートやズボンがぶかぶかになったと笑っていた。

他、親子で通院している患者さん。いずれもリスパダールとは無関係だが、母親はもう年配の人で、ドグマチールが処方されていてパーキンソンによるふらつきが見られていた。この人はドグマチール30㎎というわずかな量で副作用が出ていたのである(参考)。

前処方
ドグマチール 30㎎
マイスリー  5㎎
デパスの0.5㎎(不安時)


実際、転倒し骨折したというので、ドグマチールを中止しリボトリールを0.5㎎だけ服用しておくように伝えた。もともとリボトリールにも筋弛緩作用があるので年配の人には好ましくはないかもしれないが、デパスを飲んでいたような人は慣れているので大丈夫な事が多い。この人はこの変更後、あっという間に5~6kg体重が減少した。

本人の感想
肩こりが良い。皆から顔つきが良くなったと言われる。5~6kg減った。ズボンが緩くなった。今は45kg。食事が以前より美味しい。自分としてはもう少し肥えても良いんだけど。


なお、母親の診断は不明である。たぶん神経症なんだろうが、こういうのは僕は精神疾患に入れていない。(過去ログ参照)

問題はその娘さん。パニックやうつがあったようであるが、引継ぎの時は既にパキシル40㎎で寛解していた。しかし40㎎というのがやや多いのではと説明し本人に減量を薦めた。単純に40㎎を30㎎に減量しただけなのである。娘さんもやがて5~6kg減少している。

本人の感想。
体重が5~6kg減った。特に食事は変わっていない。会社の制服がブカブカな感じ。


謎過ぎる体重減少である。パキシルを40から30mgにしただけでそんなに体重が減少するものかね?(参考1参考2

謎といえば、いろいろ薬めぐりして元に戻って7kg減った人もいる。最初はジプレキサ10㎎だったが、今はジプレキサザイディス10㎎なのである。だから剤型は微妙に違うが実質的な量は同じだ。

こういう「揺さぶりみたいなもの」も体重減少には関係があるのかもしれないが、いまいち説明し辛いものではある。

まあ、一休さんのような屁理屈を考えれば、「精神症状が改善したので以前により活動的になり、その結果、消費エネルギーが増えた」くらいかもしれない。しかし、僕はどうもそうではないような気がしている。