新人D美子の話のつづき
D美子の入社2日目
私は通常業務で忙しく、申し訳ないがD美子がどんな仕事をしているのかも分からない。
同じフロアだが、席の島が違うし。
今日もA子主催のランチin社員食堂だ
D美子、初の社食だ。
うちの会社、IDカードで食券が買える
そして、給与から天引きされる
給与から天引きされるのが嫌な人は、普通に現金で食券を買えばいいシステム。
そして、このIDカードに千円からチャージも出来る
ある程度、チャージしておけばお財布を持って社食に行かなくてもいいのだ
結構便利なシステム
人事部の女子全員で社食へ
「あたしは今日はBランチ♪」
とA子はもうすでにメニューを把握済みのようだ
とりあえず、D美子に社食のシステムを説明。
ところが・・・
入社したばかりでまだ給与天引きのシステムの手続きをとっていなかった。
なので、チャージしてもらうか、食券を買ってください、と説明した
すると、D美子、お財布を開けて、
「あたし、今日150円しかお金持っていません。ちょっと銀行に行ってきます!」
そして、走り出そうとしていた
えぇ
全員で目が点になった
あのA子ですら、目が点になっていた
もしかして、きのう部長がご馳走してくれたから、今日もご馳走してくれると思った
銀行のカードは持っているみたいだけど、会社に来るのに、150円だけで来たの
普通、社会人ならある程度の現金は持つよね・・・
「銀行なんて時間ないですから。千円、お貸しします!」
思わず私は叫んだ
すると、D美子は申し訳ないように、でも助かったぁ、というような表情を浮かべ、「ありがとうございます。」と言って私から千円を受け取った
そして、千円をチャージした。
チャージした・・・と言っても、してあげた。
そして、そのチャージしてあげたカードで食券を買ってあげた。
そして、その食券を半分に切って、食堂のおじさんに渡してあげた。
D美子は、何も自分でしないのだ・・・
「食券買ってください」と言っても、動かないのだ。
「ここで半分に食券を切って、おじさんに渡してください」と言っても、動かないのだ。
「ここからトレイを持っていってください」と言っても、動かないから私がトレイを渡した。
「お茶はここで好きなものを入れてください」と言っても、動かないから「どれにしますか?」と聞いて私が入れた。
「えぇ、お茶、タダなのぉ」だって
”この人、おかしい!”
心の中で強く思った
子どもじゃないんだから
自分でやらせればいいことだと思う
でも、本当に本当に大仏のように全然動かないのだ
先輩たちも待っているし、イライラしてしまってついつい全部私がやってあげてしまった
社食初日だから分からなかっただけだよね・・・
そう自分に言い聞かせた。
食事中も全然話さない。
というか、本当に暗い表情で黙々と食べているので、そんなにマズイのかな口に合わないのかな
と思ってしまった
最近、ますますおいしくなったと評判のメニューなんだけど
あまりにも暗いので、こっちまで暗くなってしまう
そして、突然何も言わず立ち上がり、お茶のお代りに行く
何杯も飲んでいた
そんなにお茶がタダなのが嬉しいの・・・と思ってしまった
私以外の人も、あのA子ですら、ちょっとこの人おかしい・・・と感じ始めていた
ってか、千円返してくれるのと本当に不安になってきた・・・
つづく。
ペタありがとう