第二の人生のススメ11・完結 | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

松太郎と祥子が連行された後、、一旦事務所に戻ると言う蓮を見送るためにキョーコは蓮と一緒に駐車場に停めている蓮の車の側にいた。

 

「敦賀先生、何かとありがとうございました。」

 

そう言って、深々と下げていた頭を上げたキョーコの顔はとても晴れやかだった。

 

「やはり、あなたには笑顔が似合う。」

 

何気なく言った蓮の言葉に、キョーコは思わず赤面した。

そんな褒め言葉を松太郎から掛けられた事がなかったので、面映ゆい感じがしたのだ。

 

「今、私が笑っていられるのは敦賀先生のおかげです。本当にどれだけお礼を言っても言い足りません。それに、先生のおかげで諦めていた夢にもう一度チャレンジする決心がつきました。」

 

「夢?」

 

「はい。母の背中を見て育ったせいか、昔から弁護士と言う職業に子供の頃から興味があったんです。でも・・・・・」

 

打ち合わせで何度も話したから、蓮は続く言葉に見当がついた。

キョーコは自分の気持よりも周りへの義理人情だとか、相手の気持ちを最優先する様な心根の優しい女性だ。

だからこそ、松太郎や祥子のの様な自分勝手な人間にいい様に利用されてしまうのだけど。

 

「さっき女将さんが背中を押してくれたんです。『堪忍な、キョーコちゃん。うちらの我儘なんは重々わかってるんやけど、キョーコちゃんやったら、ええ女将になると私もあの人も今も思うとる。

けど、キョーコちゃんが弁護士に興味持ってる事も知ってたんや。

私らが言うても説得力はないけど、キョーコちゃんの人生はキョーコちゃんのもんや。諦めへんかったら、まだまだいくらでも、どんな事でも挑戦できる。せやから・・・』って。」

 

「どうして、それを俺に?」

 

「その、先生が親身になって相談に乗って下さったでしょう?それは仕事だって言われたら、それまでなんですけど、私自身、そんな先生に随分と助けられましたから。

今度は私の番かなって。私の様に男性に傷つけられ困っている女性を助けられたらな、って・・・・」

 

自分を黙ってじっと見下ろす蓮の視線に居たたまれなくなって、キョーコは俯いてしまった。

そんなキョーコを蓮は甘やかな顔で見つめていた。

 

「最上さん、顔を上げて下さい。俺の仕事を見て、そう言う風に思ってくれたのなら光栄です。

失礼ですが、最上さんは大学は?」

 

「K大学の法学部を卒業してます。後は、予備試験を受けるか、法科大学院(ロースクール)に通うか迷っている所なんですけど。」

 

キョーコの言葉に蓮はあえて言及せずに右手を差し出した。

 

「あなたなら、きっと良い弁護士になれる。将来、あなたと弁護士としてお会い出来るのを楽しみにしています。」

 

「はい!!」蓮の言葉に、キョーコは嬉しそうに返事した。

 

もう3月中旬とは言え、まだまだ風は冷たい。小さくくしゃみしたキョーコに、蓮は家に入るように促したが、キョーコは動こうとはしなかった。

おそらく蓮が出て行くまで、そこにいるつもりなのだろう。再度、キョーコに家の中に入るようにと勧めると、ようやくキョーコは頷いて頭を深々と下げると家に向かって歩き出そうとした。

 

が、どうして自分がそんな行動に移したのか蓮自身説明がつかないが、戻りかけたキョーコの腕を掴んでいたのだ。

 

「あ・・・・あの?」

 

キョーコに不思議そうに問いかけられるも、蓮自身無意識のうちの行動だったので上手く言葉にできない。

 

「また、お会いする事は出来ますか?」

 

「え?」

 

蓮の言葉にキョーコはさらに目を大きく見開いた。蓮も、己の言葉に愕然としていた。

 

(な・・・・俺はいったい何を言ってるんだ?)

 

「えっと、今後の細かい条件を煮詰める為にまだお会いしますよね?」

 

キョーコのその言葉に蓮は頭を振った。

 

「いえ、そうではなくて。俺個人的に、あなたとプライベートでお会いしたいんです。」

 

「えっ」

 

蓮の言葉にキョーコは絶句した。そして、キョーコ以上にその言葉を発した蓮は愕然としていた。そして、同時に納得もしていた。

今までは弁護士とクライアントとして接して来たが、その間に彼女の人となりに触れて、知らず知らずの間にキョーコに恋してしまったのだと。

 

「お言葉は嬉しいのですが、今はまだ心の整理もまだまだついていませんし・・・」

 

やんわりと告げるキョーコに蓮は頷いた。そもそも、ここであっさりと自分に靡くような女性だったら、自分は彼女を好きになっていない。

婚約者もどきにひどく傷つけられたのだ。立ち直るまでには時間がかかるだろう。

そう結論付けて、蓮は言い方を変えた。

 

「せめてお茶飲み友達から始めませんか?俺はあなたと一緒にもっと色んな事を話してみたいんです。」

 

だめですか?と言外に言われてキョーコは首を横に振った。

 

「分かりました。不束者ですが、よろしくお願いします。」

 

《おわり》

あと一話、後日談を書く予定でございます。

 

この間の寒波、皆さんのお住まいの地域はいかがでしたか?

一年に片手に余るほどしか積もるほど雪の降らない私の地元でも見事積もりました。

当然、雪にはめっぽう弱いのでプチ渋滞が起こっていました。

かく言う私も、雪道を自転車で走るのが怖くて、車の通った後をのろのろ漕いで出勤しました。

雪は降るのはいいのですが、生活に影響が出るくらいのは勘弁してほしいと切実に思いました。