お宝物件!?-2 | うなぎ串焼 くりから日誌

うなぎ串焼 くりから日誌

中井のうなぎ串焼くりから 店主の日誌

物件を探すうえでまず
大きく二つで考えました。
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1うなぎの串焼、
またはやきとん、焼き鳥などの
個人居酒屋系の繁盛店があること

2それとは反対に競合店0の場所


1に関しては、
個人の居酒屋さんが多数集まって
共存共栄している飲み屋街。
さらに、荻窪にある問屋さんの仕入れ圏内と考えると

中野、西荻窪、練馬の三つにしぼられました。

この三つは、軒並み飲み屋さんが乱立しているエリアがあります。

どこも毎夜人であふれかえっています。



<中野>
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特に中野は頭一つ抜けていて
北口だけで2,000軒近い飲食店があります。

都心からのアクセスが良く、
乗降客数は1,369,94人
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さらに、キリンビール本社や、大学などが来たことにより
飛躍的に人が増えました。

今、飲食店にとって最大のチャンスが訪れています。

が、しかし

それだけの繁華街なので非常に家賃が高く
体力(資金力)のある大手か
もともと土地のある店
もしくは、腕があり個性的、食材に自信があるなど
突き抜けた店でないと
お客さんから見て選択肢の多い中野で
生き残るのは厳しいです。

しかも、
家賃が高いのに
中野値段という暗黙の安値感覚が経営を圧迫します。

はしご文化が定着しているのも
中野値段によるものだと思われます。

半年もすると
中野の飲食店はコロコロ変わります。

ただ、おいしいだけで、
それなりのサービスではダメなのだ
と思います。

私のやるウナギの商売は
今、損益分岐点が非常に高く
串焼きでの販売は
薄利多売しか方法がない状態です。



ウナギ高騰の沈静化の希望が薄い以上
中野の坪三万円といわれる家賃に
経営が圧迫される恐れが
懸念材料です。


なんといっても
お世話になった川次郎の競合になるわけにはいきませんし、

それに
せっかく自分の店をやるのだから
新しい土地で
その町の顔になれるぐらいでないと
夢がありません。

なので、
中野は却下。

世話になった中野!
ありがとう。



<西荻窪>
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吉祥寺、荻窪のマンモスタウンに挟まれて
乗降客数47,851人
落ち着きのある人気スポットです。

この町には、えびす帝国という
言わずと知れた飲み屋街があります。
(私が勝手にそう呼んでます)

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焼き鳥えびすという超有名店を筆頭とした
個人居酒屋が所せましと集まっている
ディープな場所があります。

ここで、うなぎ串焼 くりから!と思い
不動産屋を訪ねました。

家賃は、さずが
吉祥寺、荻窪の隣
決して安くはありません。

中野よりは安いけど。


しかも
私の希望はえびす帝国の一角

不動産屋さんが言うには

すでにびっしり埋まっていて
入れ替わりはあまりなく
安定した経営をされている店が多いとのこと。

少し離れた場所などで
物件が出るかもしれないとの話。

いったん冷静になって町を歩き
考えました。

当たり前だけどアウェー感があります。

県が変われば文化が違います。
駅が変わればその町のルール、文化、空気があります。

私は西荻窪の土地勘が無いのです。
店をやる側は想像しにくいのです。

繁華街だから・・行けるだろう!
は危険です。

西荻窪にうなぎの串焼きは無いけど
隣の荻窪には、
大先輩であり、超繁盛店の川勢があり
少し先には国立のうなちゃん
吉祥寺のうなテツもあります。

却下であります。

やはり西荻窪は私にとって
荻窪ゆーとぴあでひとっ風呂あびて
飲みに行くところなのです。


<練馬>
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ここは、意外と知られていませんが
西荻窪に匹敵する、
いや、それ以上の飲み屋街が存在しています。

乗降客数は113,851人
スゴイ!

急行は停まり、大江戸線もあります。
西武池袋線きっての巨大タウン。

家賃も中央線と比べれば安く
練馬にうなぎの串焼きはありません。

西武池袋線上にも、うなぎの串焼きはない上
飲み屋文化も定着しています。

・・悪くない。
練馬、非常に良い。

が、しかし。


今まで中野の川次郎で良くしてくれたお客さんに来ていただくには
遠すぎです。

自分の都合で
せっかくの縁を切る必要は
ありません。

却下であります。

挑戦は何度でも出来ますが
人の縁は一度きり。

大切にしたいものです。

以上、三つが、「既に飲み屋があるところ」で探した結果です。

決まりませんでした。

次に私が着目したのは「ないところ」です。

「ないところ」とは

まとまった繁華街がなく
個性的な飲み屋文化がないところ。

しかし、人は多く、
都心からのアクセスは良く
勢いがある街。

難しい条件ですが・・
そんな街があったのです。

笹塚なのです。

<笹塚>
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京王線 新宿から一つめ。
乗降客数72,830人。

住んでいる人も多く、
わりと上品で富裕層も多いそうで

不動産屋を訪ねました。
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駅近辺、どうやら坪三万円弱。
しかも、駅近くの物件はなかなか出ず
駅から10分位の商圏と、甲州街道沿いなら出やすいとのことでした。

さっそく
今出ている甲州街道沿いの物件を見に行きました。

元中華屋さんの居抜き物件です。

9坪ニ階付きの長方形の物件。
駅から12分。
家賃23万円。

・・・まったくピンと来ませんでした。

駅から遠く、
自動車の音がうるさく
家賃が高い。

丁重にお断りし
気を取り直し、夜の笹塚を歩きまわりました。

それから
来る日も来る日も笹塚で飲み歩きました。

そこで気が付きました。

「この町には軸がない・・・」

「軸」とは・・・
大繁盛している飲み屋さんのことです。
(私のなかで勝手にそう命名しています)

「軸」が存在出来ないということは
マーケット自体がないことになります。

個人経営の居酒屋さんはあるのですが
住んでいる方が、他で飲まずに
地元にもどってから一杯やるというシステム自体が
確立されていないのです。

へたに新宿の隣ですし、
都営新宿線は良い飲み屋がある路線ですし
どこかで飲んできて、最終的に寝に帰る街なのかも・・
と思いました。

こういった街では
もともと名前が知られている
赤羽まるます屋のように、
なんでも揃っていて
お客さんがその店をめざして
わざわざ来るような店、
自分が軸になれる店じゃないと
難しいと感じました。

うなぎ串焼き くりからは
何でも揃っているとは言えないですし
食材も絞られたマニアックな店なので
軸にはなれません。

せめて軸があれば、
マーケットがあるという事になるので
コバンザメ作戦も出来たのですが。

最初からないところでやるのは
あるところでやるよりも
はるかに難しい・・
そう感じました。


ある人から聞きました。


物件との出会いは縁であると。

結婚と一緒だと。

縁があればすぐに見つかるし。

縁がなければ、何年も見つからない。

物活(物件探し活動)を始めてから
四ヶ月目
心によぎりました。


 はたして見つかるのだろうか?
 お嫁さん・・


続く