リング0 バースデイ | KURI of the DEAD

リング0 バースデイ

「リング」シリーズ その7

見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオ」に翻弄される主人公たちを描いたヒット作『リング』の前日談。鈴木光司原作。

【STORY】
昭和43年(1968年)。18歳の山村貞子は、母・志津子の死を機に上京し、劇団「飛翔」に研究生として入団していた。しかし、彼女の入団以降、劇団員たちは悪夢を見始め、主演女優の葉月愛子が謎の死を遂げる。愛子の代わりに主役に抜擢された貞子は、舞台「仮面」に出演するが、貞子に恨みを持つ新聞記者・宮地彰子の策略によって事件が起きる…

【REVIEW】
さて「リング」シリーズにも、いわゆるエピソード0ものが存在しているが、これがその作品である。
原作は、鈴木光司の短編集「バースデイ」に収録の「レモンハート」。同短編集の中に『ループ』の後日談を描いた「ハッピー・バースデイ」という作品があるが、『リング0』とは無関係である。

物語のスタートは、唐突に伊豆大島。とある小学校を訪れたのは新聞記者・宮地彰子。演じるのは田中好子。スーちゃんである。
スーちゃんは、ある女性教師から10年前に受け持っていた生徒について話を聞く。その生徒の名前は山村貞子。呪いのビデオテープで世界中を恐怖に陥れた、我らが貞子である。
実はスーちゃん。貞子の母親で有名な超能力者であった志津子の公開実験の場にいた婚約者が謎の死を遂げていた。それ以来スーちゃんは、志津子の娘・貞子が婚約者の死に関与しているとして、貞子の行方を追っていたのである。

一方、貞子の方は母親の死を機に独り立ちしようと上京。劇団「飛翔」に研究生として入団していた。ちなみに原作では、志津子は三原山に身を投げて死んでいるが、この作品では精神を病んで死んだことになっている。

貞子を演じるのは仲間由紀恵。黒髪美女の具合が貞子のイメージにぴったりである。しかし他の劇団員は、貞子が醸し出す不気味さに近寄ろうとしない。看板女優の葉月愛子に関しては露骨に貞子を嫌う始末である。
貞子の入団以来、劇団員たちは、一部がかけた井戸が出てくるという、共通の夢を見ていた。不気味がる劇団員たち。
そんななか、舞台「仮面」の初日を目前にして看板女優の葉月愛子が稽古中に謎の死を遂げる。不気味がる劇団員たち。

劇団「飛翔」の演出を務める重森勇作は、貞子が持つ妖艶な雰囲気に心惹かれ、貞子を異例の主演に抜擢する。貞子、研究生から絶対的エースへ。悔しがる劇団員たち。
唯一の理解者は音響係の遠山博。遠山に思いを寄せていた衣装係の立原悦子は、貞子と遠山の関係を懸念する。

貞子が東京の劇団に所属していることを掴んだスーちゃん。取材の名目で「飛翔」の稽古場を訪れる。貞子を激写しようとカメラを向けると、それを拒否した貞子の念力でカメラ破壊。戻って撮影できたフィルムを現像してみると、貞子の後ろに髪の長い女性の姿が映っているのである。だれ?

そんななか、スーちゃんの元へ冒頭の伊豆大島の女性教師が訪ねてくる。先日の話以外に言い忘れたことがあるらしい。どうやらその女性教師は貞子の家を家庭訪問したとき、天井を這い回る謎の少女からガン見されるという恐怖体験をしたことがあるらしい。
それを聞いたスーちゃん。貞子とは別の邪悪な存在に気づく。とても鋭い推理力。

そして舞台「仮面」初日。演出家・重森は貞子に対して、主役にしてやった見返りに関係を迫り、フラれていた。その場面を目撃した音響係・遠山。貞子のピンチとばかりに重森に襲いかかり、揉み合いの末に重森を殺してしまう。
自らも負傷した遠山は病院へ。えらいことになったと思う遠山だが、貞子の特殊能力により怪我が完治。劇場に舞い戻り、重森の死体が放置されている場所へ。そして重森の死体を大道具の陰に隠すのである。何かこのあたり強引。貞子は重森を復活させることはできないのかな。
気を取り直して貞子は舞台へ。公演が始まる。

だがしかし、ここでスーちゃん登場。貞子と遠山の関係を快く思っていない立原悦子をそそのかし、公演中にある音声テープを流すことを指示する。そのビデオは、山村志津子の公開実験の音声が収録されたテープだった。
公演中に謎の音声が割り込んできて騒然となる劇場。音声に反応してか、突如現れた志津子の亡霊を目撃する貞子。ビビる貞子。

そんななか、タイミングの悪いことに隠して合った重森の遺体が劇団員によって発見され大騒ぎ。
貞子の仕業に違いないと思った劇団員たちは、貞子に殴る蹴るの暴行を働き殺してしまうのである。貞子、突然の死去。

だがしかし、貞子以外の邪悪な存在に気づいていたスーちゃん。劇団員を先導し、貞子の父親とされる伊熊博士の別荘がある伊豆へ。
そこで、伊熊博士からある事実が告げられる。
それは、実は、貞子は2人いるということである!

どうやら貞子の父親は伊熊博士ではなく、貞子は海から来たバケモノと志津子との間にできた子どもらしい。いや、バケモノって。
そして最初は一人だった貞子が、普通の貞子と邪悪な貞子に分離したらしい。ここで良い貞子もいれば、例のトリオが完成したのだが。
邪悪な貞子は伊熊博士の手によって薬で成長を止められ、別荘内に監禁されていたのである。
どうやら、(普通の)貞子のまわりで不穏な出来事が起こるのは、この邪悪な貞子の生霊が悪さをしていたようである。
一方、殺されてここまで運ばれてきた普通の貞子の遺体と、なぜか付いてきた遠山。貞子の死を受け入れられずに悲しむ遠山だが、貞子の身体が脈打ちはじめるのに気づく。

邪悪な貞子を殺そうと躍起になる劇団員たち。しかし、邪悪な貞子と復活した普通の貞子の手によって、劇団員たちは次々と呪い殺されていくのである。そしてスーちゃんもやられる。そしてなぜか貞子の味方であったはずの遠山までやられる。
ビーストモードに入った貞子。収拾が着かない事態に伊熊博士が動き出す。伊熊は貞子を井戸に突き落とし、蓋をしてしまうのである。

井戸の底で目覚めた貞子。上を見ると蓋が徐々に閉まっていく。その光景を見た貞子は、遠山の名前を叫び続けるのである。おしまい。

要所要所で強引さが見られ、なかなか入り込めない展開。
原作とも大きく異なるし、貞子が2人いたから何なんだという設定は、非常に疑問である。

とにもかくにも、それから貞子は井戸の底で約30年間生き続け、恨み続け、怒り続ける。そして、井戸の上に建設された別荘地のビデオデッキに向かって呪いを放出するのである。
この30年の間に、もっと呪いを効果的に発揮する方法があったような気がするんだけどな。


●関連作品・記事
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らせん』(映画)
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リング2』(映画)
ループ』(小説)

【MARKING】
オススメ度:★★★★★★6
えげつない度:★★2
スーちゃん銃どこで入手した?度:★★★★★5
禍々しい度:★★★★★5

【INFORMATION】
・製作年:2000年
・製作国:日本
・監督:鶴田法男
・脚本:高橋洋
・原作:鈴木光司『バースデイ』
・出演:仲間由紀恵、田辺誠一、田中好子、麻生久美子、奥貫薫、若松武史、高畑淳子、田中要次、木村靖司、角替和枝

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