サンゲリア2 | KURI of the DEAD

サンゲリア2

「マスター・オブ・ゴア」と称されるイタリアの巨匠ルチオ・フルチ監督で人気を得た『サンゲリア 』の続編。


【STORY】
軍の管轄のもと、とある研究所で死体を蘇らせる細菌兵器「デス・ワン」が開発されていた。ある日、その研究所にテロリストが侵入し「デス・ワン」を強奪しようとする。軍は返り討ちにするが、テロリストの1人がケースに入った「デス・ワン」を持ち出し敷地外へ逃亡する。軍のヘリコプターからの銃撃がケースに当たりテロリストの1人は「デス・ワン」に感染する。ホテルに逃げん込んだテロリストだったが感染は進み、ついにはゾンビと化し従業員を襲う。その後、軍によって処分されたが、軍が死体を焼却したため、「デス・ワン」は灰や煙となって大規模に広がってしまい、空を飛んでいた鳥に次々と感染する…。


【REVIEW】
ストーリーはまったくつながっていないが『サンゲリア 』の続編である。


サンゲリア 』の原題は『ZOMBI 2』であるため、この作品の原題は『ZOMBI 3』。少しややこしい。「ゾンビ」という言葉を使用したことで、ルチオ・フルチとダリオ・アルジェントという2大巨匠の確執を生むきっかけとなった。
ちなみに、邦題が『ゾンビ3 』という作品があるが関係はない。
これまたちなみに、邦題が『ゾンビ4(人喰地獄 ゾンビ復活)』という作品もあるが内容の関連はない。


前作『サンゲリア 』は非常に高い評価を受けたが、この作品の評価は低いようだ。
監督はルチオ・フルチとなっているが、クランクイン前に病に倒れ、代理監督として最近では『ゾンビ2009 』を手掛けたヴィンセント・ドーンが担当したといわれている。
そのため、前作のよさがまったく生かされていない残念な結果となってしまったようである。
確かに、ヴィンセント・ドーンが1980年に監督し、あの『ゾンビ 』の二番煎じ感がもっともある作品『ヘル・オブ・ザ・リビングデッド』にとてもよく似ている。


さてストーリーはというと、唐突に開発に成功した恐怖の細菌兵器「デス・ワン」。軍の最重要機密であるはずだが、2~3人のテロリストにあっさり盗み出されてしまう。あわてて追いかける軍。1人が敷地外へ逃げるがヘリコプターから狙撃。銃弾は「デス・ワン」が入っているケースに当たり、軍の最重要機密であるはずだがケースが壊れて「デス・ワン」流出!テロリストの手に感染してしまう。
感染すると痛いのか、苦しむテロリスト。感染した手から煙が出てしまうほどである。しかしつなぎの作業服を脱ぐときは感染した方の手で脱いでいる。まあいいけど。


観光地のホテルに逃げ込んだテロリストだが、ここで万事休す。感染が進みゾンビと化す。
その後軍が到着し、そのテロリストをはじめ感染区域の人々全員を抹殺。焼却処分するのである。焼いたらあかんて。
案の定、焼却したときの灰や煙で「デス・ワン」が蔓延。煙が墓場に流れ込めば『バタリアン 』だが、意外にも空を飛んでいる鳥に!鳥ゾンビとして人を襲いはじめるのである。ほぅ。


同じころ、ドライブ中のカップル、グレンとパトリシアが鳥に襲われ、グレンが「デス・ワン」に感染。パトリシアは助けを求めてガソリンスタンドにたどり着く。
ここで、今もって物議を醸している、高速で鉈を振り回す珍種のゾンビ登場!同じくパトリシアも高速で鉈の攻撃を避けている。
自分は知らなかったが、このゾンビは一部で「寛平ゾンビ」と呼ばれている。それは、間寛平が吉本新喜劇に老人の役で登場する際、杖を危なっかしく振り回す様に似ていることに由来するらしい。ほぅ。


また、休暇を楽しむ3人の兵士はドライブ中に鳥に襲われるバスを見かける。バスに乗っていたグループの女性1名が「デス・ワン」に感染。彼らは行動をともにし、1週間前は繁盛していたがなぜか廃墟と化してから数十年は経過していると思われるホテルに逃げ込む。このホテルには、火炎放射器やショットガンが多数隠されていた。そうそうホテルだからね。


ホテルの中を偵察する一行。キッチンの冷蔵庫を開けると、突然頭だけのゾンビが飛んできて1人に噛みつくというハプニングが発生!このシーンに関しては、なぜ冷蔵庫に頭だけのゾンビが入っていたのか、どのような原理で頭だけなのに飛ぶことができたのか、などいろいろ聞いてきたいことはあるが「ただやってみたかっただけ」という答えが返ってくることは間違いない。


彼らを狙い、忍び寄るゾンビの大群。彼らは開放的な入口に、非常に頼りないバリケードを張る。そりゃないっすよ。ていうか、もともとの出入口のドアはなぜ閉めないのか?
当然のごとくバリケードを破られ、ゾンビの大群を許す一行。何人かの犠牲者を出すが辛くも逃げ出すことに成功する一行。


その後も、ゾンビに囲まれる大ピンチの場面で「偶然」落ちていた手榴弾でやりすごしたり、弾が切れたといっていたはずの銃がガソリンを利用して炎でゾンビを追い払おうとした際に発火に使われたり、感染者として追われる身になったが軍がなぜか銃を使わず格闘戦を仕掛けてきたおかげで危機を脱したりと、決死のドタバタ劇を繰り返す。


そしてラスト。
ヘリコプターで脱出という斬新な手法で逃げようとするが、1名が乗り遅れてしまう。「早く乗れ!」といっている割には少し浮上してしまったヘリコプターに飛びつく1名。飛びついた瞬間、真下の藁のようなものの中に隠れていたゾンビの大群が待ってましたとばかりに登場!足をつかまれ引きづり下ろされるのである。


無情にも飛び去るヘリコプター。置いてけぼりをくらいもはやこれまでと思いきや、意外に粘る1名。大勢のゾンビに一度も噛まれることもなく振り払い、軍隊のもとに助けを求めて駆け寄る。しかしこれまた無情にも、軍隊はその男に銃を発砲。突如として『プラトーン』のエリアス軍曹のような悲しい死に様シーンが展開されるのである。ロケ地が急に広い草原に変わっているのも気がかりである。


というわけで、整合性のないストーリー、一貫していないゾンビたちの演技、ナイツの「ヤホー」ネタ以上のタイミングでつっこまないといけない数々のシーンと、惨憺たる内容であるが、これぞホラーの醍醐味。憎めない作品。決して嫌いではない。



●関連作品・記事
サンゲリア
バタリアン
ゾンビ
ゾンビ3
ゾンビ2009


【MARKING】
オススメ度:★★★★★5
えげつない度:★★★★★★★7
舞台はいったいどこの国?度:★★★★★★★★★9
禍々しい度:★★★★★★6


【INFORMATION】
・原題:ZOMBI 3
・製作年:1988年
・製作国:イタリア
・監督:ルチオ・フルチ、ヴィンセント・ドーン
・製作:フランコ・ガウデンツィ
・脚本:クラウディオ・フラガッソ
・出演:デラン・サラフィアン、ビアトリス・リング、アレックス・マクブライド、リチャード・レイモンド


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