【救いとは何か 森岡正博】「生れてきて本当によかった」と思えることが、本当の自己肯定、人生の幸福 | 本好き精神科医の死生学日記 ~ 言葉の力と生きる意味

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「こんな苦しみに耐え、なぜ生きるのか…」必死で生きる人の悲しい眼と向き合うためには、何をどう学べばいいんだろう。言葉にできない悩みに寄りそうためにも、哲学、文学、死生学、仏教、心理学などを学び、自分自身の死生観を育んでいきます。


悔いのない人生、とはどういうものか。

生きる目的とは何か。

その「答え方」の一つはこれだと思います。


■「誕生肯定」と「消滅肯定」

(臨終に)いろいろな後悔があるにもかかわらず、
それでもなお「これでよかった」と自らの人生を受け入れるというとき、
何を「よかった」としているのかを考えてみると、
一般的にはそういう自分の存在をよしとしている、つまり
自己肯定しているということになると思うのですが、
実はそれではまだ足りないのですね。
「よかった」と言えるためには、単に自分という存在を肯定できるだけでなく、
そういう自分が「生れてきたことそれ自体」を肯定できなければならないのではないか。
だから、誕生肯定なのですね。

(中略)

誕生肯定というのはまだ硬い表現なので、それをかみ砕いて言うと、
生れてきて本当によかった、ということになるのではないか。
そんなのは誰もが口にする言葉ではないかと思われるかもしれないけど、
これは非常に深いことだと私は思っています。
生れてきて本当によかった、ということは、
生れてこなければよかった、ということと正反対で、
生れてきたことそれ自体を、もう全身で、全肯定しているわけです。


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生れてきた時には、

「生れてきてくれてありがとう」

と祝福を受ける人は多くても、

自分自身の気持ちとして「生れてきてよかった」

と喜べることって、どれだけあるだろうか。


自分の誕生日は、

「生れてきたことを心から喜べる」幸せとは何かを考える機会なのかもしれない。

誰かの誕生日には、

「生れてきた喜び」を届けられるような贈り物ができたら最高だろうなあ。



Happy Birthday いつだって君を忘れはしない
Happy Birthday 君が好きさ 心をこめて
生まれてきた喜びに 君が包まれるように
今日という日を祝うよ Happy Birthday to You

 (尾崎豊 「きっと忘れない」)







【救いとは何か 森岡正博】
 「この生に本当に根拠などあるのか」と問われたら、どう答えるか?


【映画「復活 尾崎豊」永遠の胸】
 人はただ悲しみの意味を探し出すために生まれてきたというのか


【ONE PIECE ポートガス・D・エース】
 おれが本当に欲しかったものは、
“おれは生まれてきても良かったのか”
 その答え一つだった