本好き研修医の死生学日記 ~ 言葉の力は生きる力

「こんな苦しみに耐え、なぜ生きるのか…」必死で生きる人の悲しい眼と向き合うためには、何をどう学べばいいんだろう。言葉にできない悩みに寄りそうためにも、哲学、文学、死生学、仏教、心理学などを学び、自分自身の死生観を育んでいきます。

長足の進歩を果たした現代の医療は、
深い問いを人間になげかけています。

「必ず死ぬのに、なぜ生きるのか・・・」

真面目な患者ほど悩み、
やさしい医療者ほど燃え尽きてしまうこの問い。

でもこれは、
「人間に生まれてきてよかった、
 大変だったけど生きてきて本当によかった」

と幸せな人生を送るためには避けては通れません。

専門家でもなく、一般の人とも違う“研修医”だからこそ見えることもあるはず。

最近の連載
>>「医療現場で考える、やさしさの死生学」(仮題)

後学のため、ご感想を頂ければ幸いです m(_ _)m


テーマ:
先日、副院長先生の講義がありました。

テーマは、医師としての「人格を磨く」


病で苦しむ患者と向き合う医師にとって、

「医療技術の研鑽」が大事なことは言うまでもないが、

「人格を磨く」ことも、

同じくらい、場合によってはそれ以上に大事なことだと

教えて頂きました。


では、「人格を磨く」ためにはどうすればよいのか?

問題はここです。


それには、「話を聞く」こと。

こちらの「聞きたいこと(症状など病気に関すること)」だけを聞いて、

患者の「聞いてほしい事(生活上の悩みや、人生の苦悩なども含めて)」は、

聞き流す。

そんなことをしてはいけない。

患者が聞いてほしいと思っていることこそ、真剣に聞く。


「病を診ずして、病人を診よ」

とは、そういうことだと。


これは、常に肝に銘じておかねばならないことだと思います。

時間がないとか、忙しいとか、病気を治すのが仕事だからとか、

ついつい言い訳ばかりが心に浮かびがちですが、

患者の立場に立てば、至極当然のこと。

それが、「患者本位の医療」の原点でもあります。


もちろん、

ただ漫然と聞いていればいいのではなく、

ただ長い時間きいていればいいのでもなく、

それなりの“聞く技術”を学ぶ必要があるそうです。

きちんと真剣に聞けば、それがたとえ5分で話を切り上げても、聞いてもらえた満足は得られると。



治療の前に、そうやって信頼関係が築けなければ、

そもそもキチンとした治療に結びつかないかもしれません。

患者さんが来なくなってしまったり、

きちんと薬を飲まなかったり。


そして、話を聞くためには、

自分の心にも、それなりの余裕がないと聞けません。

心に余裕を生むためには、

時間的余裕や、体力的余裕も必要になります。

規則正しい生活を心がけ、自己管理することもまた、

「人格を磨く」上で欠かせない要素です。


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医療の原点である、「患者のための医療」を実践するためには、

大学で学ぶ、医学的知識や技術は大前提として、

このような「人間として大切なこと」を、

時間をかけて学んでいくことが不可欠だと、

改めて知らされました。


研修医のうち、

こういうことを大切にしている病院で働くことができるのは、

本当に有り難い事です。



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テーマ:
だんだん蒸し暑くなってきて、

もう今年も半分が終わるのか、としみじみする時期になりました。


今の病院に赴任してから、

「緩和ケア」について学ぶ機会が増えました。

以前から興味があったので、とても充実した日々を過ごせています。


そんな中で、こんなことを教わりました。

「患者は、苦しみが深いほど、それを表面には出さない」

むしろ、

「そういう人ほど、明るく振る舞う」

のだそうです。


「表面には出さない」

とは、「相手を選ぶ」ということです。

自分のことを受け入れてくれるかどうか、

聞いてくれるか、分かってくれるか、を見極める。



それは、自己防衛反応が働くからです。

「もうこれ以上、裏切られたくない」

「自分のことなんか、本当は心配していないと、
 思い知らされるのは、もう十分」

だから、「相手を選ぶ」のだそうです。


とはいえ、

「誰かに聞いてもらいたい」

「自分のことをわかってもらいたい」

という気持ちも捨てきれません。

孤独と闘いながら、孤独からの救いを求めているのです。


こういう人の

「話を聞く」

ということは、たんに聞くだけではなく、

治療以上の効果をもたらすこともあるそうです。

薬では和らがなかった痛みが軽くなったり、

様々な不快感が軽減したり。


「キュア」の限界を、この緩和「ケア」でカバーする。

そんな医療が、これからどんどん求められていくと思います。


患者の死と向き合う「勇気」は、

緩和ケアの知識と、聞く技術によって、大きく育まれると知りました。


逃げない勇気、

そばに居続ける勇気をもてる、そんな「人間」でありたいと思います。




以前、似たようなことを書いたこともありました。

【やさしさの死生学1】さびしさに敏感な心 ~ 語られない声を聞く


我ながら、改めて反省。。。


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映画を観てきたこともあり、

最近また、よく「なぜ生きる」ということについて考えます。


この患者さんにとって、家族にとって、

命を延ばすことは、本当に喜ばしい事だったのか、

と、悩まずにおれないことは、少なくありません。


高齢化がますます進む中、

この問題は、一層深刻になっていく気がします。



■なぜ生きる

つらい思いをして病魔と闘う目的は、
ただ生きることではなく、幸福になることでしょう。

「もしあの医療で命長らえることがなかったら、
 この幸せにはなれなかった」
と、
生命の歓喜を得てこそ、真に医学が生かされるのではないでしょうか。

世の中ただ「生きよ、生きよ」「がんばって生きよ」の合唱で、
「苦しくとも生きねばならぬ理由は何か」
誰も考えず、知ろうともせず、問題にされることもありません。

なぜ生きる/1万年堂出版

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「もう少し病院においてもらえないでしょうか」

患者本人に言われることもあれば、

家族が仰ることもあります。


退院することは、本来ならば喜ばしい事のはずですが、

残念ながら、そうではない場合もあります


年は老い、身体は衰え、

トイレは近く、耳は遠く、

いつも一緒にいるほど、心は離れ、

かつての面影が、今の姿を余計みじめにさせる。


そこまでして、何のために生きるのか。

生きる意味を問わずにおれなくなります。



年老い、

病に耐えて、

やがて散りゆく命と知って、

それでも、生きる目的は何なのか。


「本当の人生の目的を達成したとき、
 一切の苦労は報われ、
 流した涙の一滴一滴が、真珠の玉となって戻るのです。」



この、「なぜ生きる」の一節にあるような、

そんな生き方をしたいものです。



映画も、もう一度観てこようかなと思っています。



映画館の情報などは、映画「なぜ生きる」のホームページにもあります。







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病院近隣の中学校から、

「14歳の挑戦」という、体験実習の中学生が病院に来ていました。


外来見学したり、

看護師の業務を手伝ったり、

看護助手と患者さんの身の回りの世話をしたりと、

色々経験していったようです。


交流会で、医者代表として参加した際に、

こんな質問を受けました。

「中学校の勉強は、今も役に立っていますか?」


ん~、いい質問ですね!(池上彰 風に)


これは、僕も知りたかったことです。



でも、今思うと、やっぱり学校の勉強は、

医者になるまでにちゃんとつながっていると思います。


数学は、正確な計算力を培うのはもちろんですが、

物事を細かく、丁寧に、一つ一つ考える力を養うためだったと思います。

病気について考える時も、一つ一つの症状や検査結果から、

論理の飛躍なく、一つ一つをきちんと考えて、つなぎ合わせる作業です。

直観が働くのは、ベテランになってからでしょうから、

特に始めのうちは、この数学的な論理的思考力が重要になってくる気がします。

数学が得意だったという周りの研修医は、やはり優秀な人が多いです。

(ちなみに、私は数学は苦手・・・。)


あとは国語。

患者の大半は、人生の大先輩。

同年代の人とばかり付き合っていては、

考え方や、人生観の違いについていけません。

言葉、文章を通じて、様々な考え方に触れることは、

とても大切なことだと思います。

中学校や高校の国語は、

当時は、なんだか型にはめられた問題ばかりに感じていましたが、

これもやはり、多少お堅くても、

論理的に他人の心情を推し量る練習だったように思います。



とまあ、そんな真面目な話もしつつ、

好きな漫画は「ワンピース」、なんて話題でも盛り上がり、

皆さん空気を読んでくれたのか、

一番人気は、ドクター「チョッパー」でした。



昔を思い出す、初々しいひと時でした。



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このブログでも度々紹介しております、
「なぜ生きる」が、この度アニメ映画化され、早速観てきました。

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この本がアニメ映画になるというのは、ちょっと想像できませんでしたが、
歴史アニメとしての映画化でした。
(室町時代の蓮如上人のお話)


映画館いくのは、何年ぶりだったかな?
「神様のカルテ」以来でしょうか。

里見浩太朗さんが主演声優でしたが、ところどころ水戸黄門みたいな笑い声でした(笑)

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著者の精神科医 明橋大二さんのコメントを紹介します。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■この映画は、まさに、命のメッセージ!
 生きる意味を必死に探し求める青年・了顕は、
 今を彷徨う私たちの姿……
 (精神科医 明橋大二)
──────────────────────
精神疾患を患い、「世界が終わったような生活を送っていた頃に残されていた
のが音楽と今の仲間だった」ことから、Fukaseが名づけた「SEKAI NO OWARI
(世界の終わり)」という名のバンドは、ポップな曲に似合わぬ重い歌詞で、
多くの若者の共感を得ています。

私の診察室にも、「何のために生きなきゃならないか分からない」「どうして
死んではいけないの?」と問う人が、大人子どもを問わず、毎日のようにやっ
てきます。

目的地なしに走り続けることが地獄であるように、目的なしに生きることほ
ど、苦しい人生はありません。

「何のために生きるのか」「生きている意味は何か」

これは、人類永遠のテーマであると同時に、現代を生きる私たちにとって、極
めて切実で、リアルな問題でもあります。

むしろ、かつては巧妙に目隠しされていた現実が、ネットや情報技術の発展に
よって、白日のもとにさらされた、それが現代だといえるかもしれません。

だからこそ「なぜ生きる」を問うたこの書が、発売15年を経過してなお、老若
男女の共感を呼び続けることになったのだと思います。

このたび、この『なぜ生きる』が、「吉崎炎上」という歴史上の事実をもと
に、映画化されました。

舞台は、今から500年前ではありますが、この世の激しい無常を知らされ、生
きる意味を必死に探し求めた青年の姿は、今を彷徨う私たちの姿と、まるで二
重写しのようです。

一人でも多くの人に、この命のメッセージが届くことを願ってやみません。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


何か所も涙あふれる場面があり、
あらためて
「人はなぜ生きるのか」
「幸せとは何か」
を考えされられる1日となりました。


ぜひ観てみてください!




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