「大地の子」(山崎豊子)
自分自身、鉄鋼業界に少なからず関係しており、ずっと読みたいと思っていた本。
二巻を読んでいるあたりで、日本製鉄が宝山鉄鋼(とトヨタ自動車)を特許侵害で提訴するというニュースが飛び込んで、否応無しに一段と興味が深まった。
山崎豊子さんは「ひたすら忍耐と努力を重ねる」現地取材活動を、途中病気で倒れたりしながらも3年行ったそうです。
実際、陸一心(ルーイーシン)、松本耕次、張玉花(妹のあつ子)、らの壮絶な人生は、小説だから作り話であろうと思いながら読みつつも、細部までリアリティがあって心を揺さぶられる連続だった。
日中共同プロジェクトの製鉄所建設における日本側と中国側の駆け引き・掛け合いなども、きっとこんな感じなんだろうなと無理なく想像力を働かせることができ、面白く読めた。
脇役では、愛すべきキャラから憎たらしいキャラまで、とてもうまく描かれていた。なかでも、趙丹青(ツアオタンチン)が、ちょっと嫌な感じもするが最後に一役買う系のいい味を出していた。
以下、備忘
「私は、この大地の子です」(陸一心)
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松本は発する言葉もなく、河岸に眼を向けた。
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船は、滔々(とうとう)たる長江を下って行った。