「リンゴが教えてくれたこと」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

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農薬や肥料を使わない自然栽培に成功した木村秋則さんが農業について語った本。この方は、超がいくつもつく変人ですね。すごいの一言。

この本を読んで思ったことは二つ。

一つは、常識や思い込みを疑うことの重要さ。木村さんは、根気強く仮説と検証を繰り返し、新境地にたどり着きました。相当な勇気と努力が必要であり、もちろん簡単なことではありません。しかし、従来と同じことをやっていてはいつまでたっても変わらない。

二つ目は、自然のバランスの重要さ。例えば、雑草は敵だという常識を否定し草ぼうぼうにしたらリンゴの木は丈夫になりました。生産効率を上げるための農薬や肥料が、別のところで自然の調和を狂わせ、それがさらなる農薬や肥料への依存を高めています。規制や保護によって守られた業界が国際競争力を失うとか、計画経済は行き詰まり自由経済は活力を生んだとか、共通する部分があると思います。


■備忘録

農薬を撒くとどんなに自然の調和環境から逸脱して本来の姿から変質していくのか、少しも理解しないで突き進んできたのではないかと思いました。

頭のつっかえ棒や衝立を取り払わないと新しいことはできません。

自然というのは人が考える以上にバランスがとれています。だから山は何千年も続いています。百年も生きているような木は人が手を加えないから生きています。肥料をやったら何年かで枯れるかもしれません。

山にそれほど虫がいるでしょうか。山では肥料も農薬も除草剤も使っていません。にもかかわらず農地ほど虫はいないのです。

最近のお百姓さんは自分の考えではなく、指導に忠実に作業をしているだけです。

奇跡は努力の結晶だといいます。簡単にできたら苦労はありません。一つずつ壁を越えて階段を上がっていくごとに、また新たな壁が生まれます。どうしたら壁をクリアできるのか。知恵を絞っていくところに人生の意義があります。




リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)/木村 秋則

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