「復興財源」確保のため公務員がまず身を削るべき? | すくらむ

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 ※引き続き、全労働省労働組合(全労働)の見解「理不尽な『公務員バッシング』に対して反論します」を紹介します。


 理不尽な「公務員バッシング」に対して反論します


                  2012年1月 全労働省労働組合


 多くのメディアが連日のように「公務員バッシング」を続けています。


 日本社会が抱える諸問題は、すべて公務員のせいと言わんばかりの論調も少なくありません。


 もとより、多様なメディアが公務や公務員を厳しく監視し、その問題点を広く発信(批判)していくことは、民主主義社会にとって重要な営みです。ですから、行政(公務)の側も情報公開に努めながら、多くの正当な批判を受け止めて、よりよい行政運営に努めるべきです。


 しかしながら、昨今の批判の中には、20年前のことを取り上げてまるで昨日のことのように描いたり、統計や制度を意図的にねじまげて解説したりするなど、およそ公正とは言えないものもあります。


 このような事態は、多くの国民に行政(公務)に対する「誤解」と「偏見」を植え付け、真に必要な改革方向を見いだすことを困難にするおそれがあります。ついては、メディアが好んで報じる代表的な「公務員バッシング」を取り上げ、事実に即して考え方を明らかにします。


 ▼「復興財源」を確保するため、官がまず身を削る「給与特例法案(給与引き下げ法案」を(単独で)速やかに成立させるべきである。


 今回の給与特例法案(給与引き下げ法案)は、震災復興に向けた財源確保を理由にしていますが、実は、総務大臣の当初の提案(2011年5月13日)は「復興財源のために『まず隗(公務員)より始めよ』というようなことではない」、つまり、復興財源の確保が目的ではないとしていました。実際「復興財源」は国家公務員給与の削減で確保できる金額とは桁違いで、今後に予想される原子力損害賠償法に基づく国の負担も膨大となります。


 そればかりか、このような「復興財源」の確保を、国家公務員の給与減額で措置すべきとする発想(考え方)自体が本当に適切なのか、そのことが問われなければなりません。と言うのも、こうした発想は震災にあたって多くの国民が共有してきた価値観(「日本は一つ」「絆」など)と大きくかけ離れたものだからです。


 本当に必要な財源であるならば、所得や資産に関わる課税を増やし、公務員を含めた国民全体(当然、法人を含む)が応分の負担をする、すなわち、所得や資産のより多い者がより多く負担する仕組みこそ、合理的ではないでしょうか。


 それにもかかわらず「復興財源」の確保にこと寄せて、給与特例法案の成立を求める動きは、公務員叩き(うっぷん晴らし)以外の何ものでもありません。


 なお、国家公務員の給与削減は、約650万人の労働者の賃金に波及するとの試算(労働総研)があります。こうした事態は日本経済のデフレを一層悪化させ、逆に税収を大きく減らすこととなり、経済政策、財政政策の観点から見ても愚策です。


 ▼参考
 ◆国家公務員の賃下げは財源確保どころか財源を減少させる
 ◆国家公務員給与10%削減でGDP3兆円減少しデフレ加速する


 ※全労働省労働組合の見解「理不尽な『公務員バッシング』に対して反論します」を項目ごとに順次紹介しています。(以下は紹介済みの記事です)

 ◆国家公務員は民間労働者より賃金が1.5倍も高い?
 ◆国家公務員人件費が財政赤字の原因だから賃下げは当然?