685. ザ・ロック(96)/コン・エアー(97) | 同世代名画館DX

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昭和37年生まれの支配人です。小学校でライダースナックを川に捨て、中学で赤いシリーズに毎週熱中、高校で松田優作に心酔した世代です。50~60代の皆さん、いつかどこかで観た映画とともに、時間の旅をお楽しみください。

最近、一番仕事をしてるハリウッドスターは誰でしょう。
ブルース・ウィリス?ジョージ・クルーニー?マット・デイモン?私は、この10年の働きに対し、ニコラス・ケイジに“よく働いたで賞”をあげたい。


「ペギー・スーの結婚」「月の輝く夜に」で出て来た時は、脇役でしか生きられない、元ヤン兄ちゃんだと思った。まさか、アクションもドラマも出来るトップスターになるとは、トム・ハンクスが演技派になったのと同じくらい予想外だった。
デヴィッド・リンチの「ワイルド・アット・ハート」でハジけた演技を見せ頭角を現した後は、冴えないヘリ・アクション「アパッチ」、ゴキブリを食べたと伝説の「バンパイア・キッス」、そして「ハネムーン・イン・ベガス」「あなたに降る夢」「不機嫌な赤いバラ」などコメディ専門で、長らくB級俳優に甘んじた。
クサってた頃、「リービング・ラスベガス」の迫真アル中演技で、アカデミー主演男優賞を、うっかり獲っちゃう。俺でいいの?みたいな。それから運が向いてきた。


次に選んだのが「ザ・ロック」。
今や押しも押されぬ大プロデューサー、ジェリー・ブラックハイマーの目に止まり、道路に稲妻が走るロゴマークの作品に続々出演。思い切りアクションがしたかったのだ。
「ザ・ロック」と呼ばれる、アルカトラズの囚人島。イーストウッドでなきゃ脱出不可能な刑務所が、エド・ハリス率いる海軍兵士たちに占拠される。
奴らから刑務所を奪還すべく呼ばれたのが、かつてアルカトラズの住人だった、元スパイ・ショーン・コネリー。この人に元スパイって設定が効いてる。
百戦練磨のコネリーと一緒に、島へ派遣されるのが化学兵器のプロ・ニコラス・ケイジ。バカ顔だけど、一応科学者役。頭でっかちで、むしろ足手まといな設定だから、最後が生きて来る。特殊部隊の精鋭たちもスゴい。マイケル・ビーンやデヴィッド・モースがいるんだから、力強い。
主演3人が適材適所で、それぞれ見どころ最大限に発揮。特に、テロ軍団を率いるエド・ハリスの、予想に反する行動と思想は、考えさせられる。エドさん、グー!
監督はマイケル・ベイ。低予算だったデビュー作「バッド・ボーイズ」の欲求不満をブチまけて、見事ブラックハイマーの期待に応えた。ご褒美として、「アルマゲドン」「パール・ハーバー」では、派手にやり放題。
転がるグリーンのタマタマ爆弾を拾い上げた時、新アクション・スター、ニコラス・ケイジの誕生だ。


ブラックハイマーは引き続きニコラスを呼んで、より派手なアクション大作「コン・エアー」を製作。
囚人護送飛行機に乗せられた無実の罪の男・ニコラス。異様なロン毛が似合わないぞ、ニコラス。バカ顔には、科学者よりこちらの設定の方が向いてるが。
乗り込んだ曲者たち。目つきがイッてるジョン・マルコビッチや、顔がコワいスティーブン・ブシェーミ。こいつら、どさくさに紛れて脱走を画策。そして・・・!
心配した通り、一気に暴れ出す極悪人たち。この設定が上手い。♪巻き込まれたら最後さ~のニコラスさん。もう戦うしかない!
外から飛行機を誘導する保安官は、ジョン・キューザック。彼も含め、芸達者揃い。特に悪役では、「ザ・シークレット・サービス」で怪演したマルコビッチの、仲間でも近寄れないキレぶりと、変な顔を存分に生かしたブシェーミが、何度も場をさらう。
最後は、グランドキャニオンの砂漠から、ラスベガスへ飛行機は突入!セットのネオンを全部ぶち壊して、まるで「1941」みたい。
監督はサイモン・ウエスト。この後「将軍の娘」や「トゥームレイダー」を撮るが、デビュー作のこれがベストか。個人的には「ザ・ロック」より、こちらの方が好きだ。
長髪が変でしょうがないけど、ニコラスの走りは本物。ずっと僕の映画に出てくれ、とブラックハイマーが言ったかどうか定かじゃないが、以後の活躍は知っての通り。


年齢も、我々とほとんど同じ。ニコラス・ケイジがアクション・スターとしてブレイクした最初の2作品。どっちも面白い。