死と死後の世界 | 『 真理は自然の中に在り 』
『精神文明と奇跡』
政木和三

第3章 肉体と生命体

死と死後の世界

 生あるもの必ず滅すとのことわざ通り、いま生きている人には、必ず死が訪れてくる。この死は人間だけではない。地球の石にも土にも同じことがいえる。また大宇宙も生まれては死んでゆくものである。しかし、死とはなんと寂しい言葉だろう。その人間にとっては全ての終末を示すものであり、精神のあった人間が、ただ一つの物体に変わり果てる日である。

 筆者も若きころは、自分は永遠に生きるような思いで、死とは自分には全く無関係のもののように思っていた。ところが、五十歳のころから、死を思うと無限の寂しさと、はかなさを感ずるようになった。そして何故、死ななくてはならないのだろう、自分の死後の世の中はどうなるのだろう、と思うようにもなった。

 ところが、数年前から突然死のおそれが拭き消されるようになくなった。死に対する恐怖が無くなると同時に、まだ見ぬ天上界に慕わしさを感ずるようになった。ある日成人病センターにおいて、肝臓機能が少し悪いから精密検査をしようといわれたとき、何故その必要があるのか、悪ければ死ねばよいでしょうと言ったことがある。

 虫歯も、どうせ死ぬのであれば、治療する必要もないと、一年余りそのままにしたこともあった。その自分の気持ちを友人達に話しても、誰も信じる気持ちにはなれなかったようである。

 そして、昭和五十四年ごろから、自分の死期が近いことを自覚するようになり、楽しい天上界へ早く行きたいような気持となった。天上界にあこがれを持つようになった原因は、近い日に天上界へ召される心の準備のためであったようである。

 私は毎年、年末年始は一日も休まず、発明品の試作研究をするようにしている。昭和二十八年末から正月八日までの間に、簡易テレビの試作を行い、三十万円もしたテレビを三万円台で販売できるようにしたこともある。

 昭和五十五年の正月は、特に全力をつくして、毎夜十一時までも研究に没頭した。周囲の人々がなぜそのように急ぐのかと不審がったが、

 『自分の寿命がもう少ししか残っていないので、できるだけ多く片付けておきたいからやっている』と答えていた。

 そして一月五日であった。ゆめの中で、自分が七十九歳まで生かされることを知った。それから二日後に、天玉尊先生から電話があった。

 『一月四日に水を被(かぶ)った瞬間に、政木はあと二年以内に死ぬとの神のお告げがあった。

 それから毎日、政木の延寿を神に願う祈りの水行を行なったところ、

 「それほど必要な人間であれば宿命の上に十二年間だけ寿命を延ばす」と申されました』と。

 その電話に対して、私は、

 『一度お聞きしたことがありましたね』といったが、それはゆめの中のことだと思い直しすぐ打ち消し、

 『大変有り難うございました。』と厚く厚くお礼を述べた。

 そして、天玉尊先生が、筆者宅に安置してある天界から出現した観世音大菩薩に、お礼の言上に来られたとき、私の守護神として八幡大菩薩が降臨された。

 神示の最初は、聞いたこともない言葉であったが、後半になって日本語となった。

 『オームの命によってわれは政木和三の守護神となる。われは八幡大菩薩である。

 今後、汝(なんじ)は人を導き救うために、努力せよ。われは後よりいくらでもエネルギーを与える』

 この間、頭は押さえられたように重くてあげることもできず、神示を記録しようとした手は動くこともできず、ただこの荘厳なる神示を聞くだけであった。

 このようにして、自分の寿命が十二年間も延びたことを知った日から、また生に対する執念が沸いてきた。

 このようにして人間は死に直面したときは、天上界にあこがれるような気持ちになり、寂しさも悲しさも消えてしまい、喜んで天上界へ行けるものらしい。

 死とは、生命体と肉体の別離であって、生きている内は生命体が肉体を支配しているが、老朽した肉体からは、生命体が離れてゆくようになる。

 そして天上界に数百年を過ごし、自分の宿るべき肉体を地上界に見出すとその母胎に入ってゆく。そのときは、父母との因縁には全く無関係に、子供になるべき生命体の意志によって生まれてゆくものである。恋人、夫婦とか師弟友人は、ほとんど前世の因縁によって結ばれるが、親子だけは何の因縁もない者が、子供の意志によって、その両親の許に生まれてくるものであるとされている。

 そのために、友人となった人達は一生を不仲になってはならない。また次の世に生まれ出たとき、同じような運命となる。

 天玉尊先生による前世供養によれば、夫婦は何回も夫婦である場合があり、恋人と夫婦が隔世的に交替している人もある。

 また、自殺をした人は、また次の世でも自殺せねばならない。生きている内に自殺の因縁を断ち切らねばならない。

 人間が死に直面したとき、まず第二生命体が肉体から離れてゆく。それは死の二、三日前に起こっている。また、死と同時に第一生命体が肉体から抜け出すことも、政木フーチパターンによって確かめられている。

 第一生命体は、肉体を離脱して自分の体を眺め、この自分が自分を見ている。自分の肉体を不思議に思って見ている。その内に多勢の人々が集まり、告別式があり、毎週々々親族の者が集まってくるのを見て、私は死んだのだと気付くものらしい。自分の死を自覚するには、数週間を要するものらしい。

 自分の死を自覚することによって、その生命体は幽界、霊界、神界へと昇ってゆくとされている。死後の世界を、生きている人は見ることができないが、仮死状態のとき、見てきたという人の多数の証言によれば、暑さ寒さもない住みよいところだとされている。

 肉体を離れた生命体が、明るいところだという人と、暗いところだという人がある。霊視のできる人の話にも、これと同じようなことがある。有名な政治家が、暗いところで、私は戦後の日本を救ったのだと、うそぶいている姿を見たが、その人は生前の精神はよくなかったのだろうか?

 天上界はお腹(なか)のすくこともなく、必要なものは全て整っており、不要なものは何一つもないところである。

 一人一人は無限の距離にあるが、相互思慕の瞬間に傍(そば)へ寄ってくることができる。片思いでは、いくら待っても相手は近づいてこないから、自分は永久に近づくこともできない。天上界は、質量が零であるために、無限の距離でも一瞬にして飛んでゆくことができる。

 その死後の世界には、何段かのランクがあるらしく、生きている間に、人のために、社会のために尽くした人は高い位置にあり、人を苦しめ、社会に悪をまき散らした人達は、暗いじめじめした最下位に永くいることになる。

 生あるとき、他人に喜びを多く与えた人は明るい地位にあり、来世も数十年から三百年未満で人間に生まれ変わるが、悪徳多き人は、千年から二千年も暗い場所で過ごすことになる。

 人生が生きている時だけのものであれば、自分さえよければよいの一生も結構だろうが、その反作用は、自分の死後の世界と、次の世代に生まれ変わって出てきたときの人生にも影響することを考えれば、深く考えてみなければならない。

 人間の生きている間は、生命体の修業期間である。修行とは、他人に喜びを与えることである。そして社会のために尽くすことである。

生まれ変わるとき、こんどこそは世に出たとき最善の人間になろうと意気込んで母胎から赤ちゃんとして出てくるが、物ごころつくころから、また煩悩の道に迷い、強欲の淵に落ち込み、また前世と同じような人間性となる。

 このように自分の前世や死後の来世は、その真偽が確かめることができなければ、有るのか無いのか全く分からない。しかし別章のように多くの奇跡が実在すれば私たちの知らないエネルギーの存在する別次元の世界のあることを信じられることになる。

 何回人間に生まれ変わっても、毎回同じことを繰り返していては少しの進歩もない。この書を読んだこの日、この時から、他人のために、社会のために尽くし、自分自身は和やかな人間性になろう。これは、自分自身の幸福のためである。



第三刷発行:昭和五七年九月二十日
著者:政木和三
発行者:後藤房子
発行所:日新社 岡山市尾上二七七〇 電話〇八六二(八四)二一二一
印刷書:山陽印刷株式会社 岡山市中山下二丁目五-五〇-一〇一





 政木和三先生とのご縁の始まりは、昭和五年生まれの私の実父が小学生時代の頃より電気のイロハを教わり(実際に、電気ギター制作等々、様々な電気技術のご教授を、家族ぐるみのご近所付き合いの中で個人的に無償で賜ったそうです)、その後、御晩年には、政木先生の素晴らしいご発明品の集大成のひとつとして“世のため、人々のため”に御余生をかけ陰徳にご尽力なさいました超強力 神経波磁力線発生器(改名機器、インパルス磁力線、そして、Mリングと、すべての御販売は㈲政木研究所、㈱ケントにて)の製造に至るまで、数々のお仕事をお世話頂き、政木先生がお亡くなりになる最後の最後まで、私も含め家族ぐるみのお付き合いを賜わり、今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。

 以前に紹介させて頂きました政木先生の廃刊御著書『精神エネルギー』よりも更に5年前にご発刊なされました廃刊作品『精神文明と奇跡』を、政木先生からのお教えである『目先の欲望を捨て去り、世のため、人々のために尽力せよ!』との仰せを引き続き継承するため、これから毎日少しずつではありますが紹介させて頂きますので、皆様には再度、暫しのお付き合いの程、何卒、宜しくお願い申し上げます。

深謝
m(__)m





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