ぶっとび 新感覚の日本映画 『さくらん』 | コワれるまで ALLORA

ぶっとび 新感覚の日本映画 『さくらん』

韓国映画に『Duelist(決闘者)』(2005年)のような映像美を追究する製作者が現れてきています。
それでも、この分野では日本映画に一日の長があるのかな、と思います。

初めて観た映画ではないのですが、久々に深夜のロードショーで観たのが
『さくらん』(2007年)。

観てても、もうどこがカットされているのか忘れましたが、私の好きな映画のひとつです。

この映画、映像美の評価が高いわりにストーリーや主演土屋アンナのキャスティングに対しての評価が低いようです。

が、吉原とか花魁がテーマの映画に、いつも時代考証とか “らしさ” を求めるばかりじゃ進歩がないでしょう。


この映画の色彩感覚はスゴいです。
原色バリバリビックリマーク
障子だって白くないですよ。

紅葉が描かれているのは大人しい方で、シーンによっては格子が菱形で三原色。
ほとんどステンドグラスです。

音楽もスゴイ。
ブルース、ムードジャズ、メタル、ポップス、タンゴ、スィングジャズとPOPですぅ。

韓流ドラマ 『女の香り』 (ヨイニ・ヒャンギ)(2011年)でタンゴを堪能しましたが、愛が高揚するシーンにタンゴはいいですね。

これだけぶっ飛んだ世界観に負けていないのが、土屋アンナ。
いつものガラッパチな演技ですが、およそ江戸時代の “(いき)” とか “(きゃん)” という言葉。

後生の我々が思いこんでいる “偶像” とは違って、実は江戸時代の人たちにしたら、場違いな土屋アンナのようなキャラを示したのかもしれません。

だから、これでいいんです!!

ちなみに私が一番好きなカットは、月と土屋アンナ。

このシーンのBGMは、英語の女性ボーカルが切々と歌いあげるムードミュージック。

ありえないですねぇ。
でも、これがいいんです。

あと、映画冒頭から金魚がよく出てきますが、「これはよく考えた」と感心するのが、吉原の大門の上に金魚の水槽があるという設定。

こんな吉原は初めて観ました。

実際には飼育困難かもしれませんけど、過去の時代劇映画にとらわれない映画だという主張を感じます。

監督は写真家の蜷川実花。
だから、映像美を追究できたのですね。

こういうぶっとび映像で私の知ってる好きな監督は、絵本『パコと魔法の絵本』(2008年)や『下妻物語』(2004年)の中島哲也。

おや、例に挙げた2作は奇しくも、いずれも土屋アンナが出てますね。

中島監督の映画はすごく色や照明に凝ってます。

もちろん そればかりじゃなくて、やっぱり映画が面白いんですけど。



               



最後に、ぶっとび時代劇映画といえば紀里谷和明監督の『GOEMON』(2009年)を挙げておきましょう。

時代考証、一切無視ビックリマーク

ゲームから飛び出したような、“ありえない” 戦国時代が繰り広げられます。

これは信長の居城、安土城をバックにした茶々。

どんだけ~(ノ゚ο゚)ノ

そしてこれが徳川家康。

この裃のデザインは秀逸ビックリマーク
背景も含めて、絶対にここは日本じゃないぞ~。



※ GOEMONはよかった。実写映画『CASSHER
(キャシャーン)
N』
は最悪。