10月23日にびわ湖ホールでドニゼッティのオペラ≪ドン・パスクワーレ≫を観た。
筋を超簡単に言うと、ドン・パスクワーレは、甥とノリーナとの結婚に反対してたが、友人と甥の策略で、ドン・パスクワーレとノリーナを一旦結婚させてそれを破断させることで、恋仲の二人の結婚を認めさせ、ハッピーに終わるという喜劇。
舞台は、とても面白かった。
何と言っても、甥のエルネストを歌ったシラグーザが最高!太陽の国イタリアを思わせる輝かしさ。高音の伸びはどこまでも続く、もう陶酔の極致。
この声を聴けただけで、もう大満足。
他の人も良かった。
題名役の牧野さんはおどけた雰囲気で早口の歌もなんのその。何度か指揮とずれたのが残念。難しいんだろうな。
友人マラテスタの須藤さんは安定した美声で楽しませてくれた。
ノリーナの砂川さんもいつもどおりよかった。声も姿も美しくないとね。でも装飾音は少し苦手なのかしら?
指揮の沼尻さんと、管弦楽の日本センチュリー交響楽団も快速なテンポで緩むことなく、音楽を締めていた。
演出は、前半の屋敷の壁(絵画で埋まっている)が、後半には何もない壁になり、ノリーナの放蕩ぶりが目で見えて面白かった。
また、その壁に星を投影して夜にしていた。そこそこきれいな舞台になっていたと思う。
使用人たちの振る舞いもおしゃれで気持ち良かった。
ということで、満足した。したんだが、シラグーザの歌があまりにも輝かしかったためか、音楽がもっとよかったら、もっと楽しいイタリアオペラの世界を楽しめたのではないかと思ってしまった。
シラグーザの歌の輝きがあまりにまぶしくて、まわりが見えなくなってしまったのかもしれない。
ということで、楽しんだけど、ちょっと複雑な気持ちで会場を後にした。すごく贅沢な話ではあるんだけど。