アメリカの金融機関が抱える不良債権のものすごさは、次々と公になり、表面化している。
2010年10月19日、バンク・オブ・アメリカは、なんと470億ドル(4兆円)もの損を出した。
それが表面化した。
住宅ローン債権担保証券(MBS)を売りつけた分だけで4兆円もの損失金が明るみに出てしまったのである。
アメリカは相当に危ないのだ。
米二大住宅金融公庫(公庫と名乗っているが本当は国営企業ではない)のフレディーマックとファニーメイは、自分たちが自ら発行する債券である“機関債”と、これとは別に、これらの政府系金融機関(特殊法人)が保証を付けるMBSで、累計5兆2000億ドル(530兆円。当時)の損失が表面化した。
2008年7月のことだ。
リーマン・ショックの起きる2カ月前のことである。
もうすぐフレディーとファニーが債務不履行を宣言することだろう。
それもかなり近い話だ。
2011年に入ったので、このデフォルト宣言がいつ起きてもおかしくない。
特にフレディー・マックが危ない。
大変な大騒ぎになるだろう。
日本もただ事ではすまない。
他人事ではすまない。
この打撃に襲われる農林中金や三菱UFJや野村證券、日本生命たちは大変だ。
いったいどうする気だろう。
あまりにも巨額の損失に遭って、気が狂って死んでしまうのではないか。
そして、今度はそのMBSを入れたCDOやらの仕組み債が、またパーになってしまう。
あらゆるデリバティブの中で一番危ないのは、“CDS”という、企業そのものの命を生命保険のように仕立てた証券化商品だ。
それと、このCDSをもぐちゃぐちゃに組み合わせた「シンセティックCDO(合成債務担保証券)」というのまである。
これらの契約(発行)残高が、今もまだ400兆ドル(3.2京円)ある。
その1割である40兆ドル(3200兆円)が、実質(実体、実需)で絶対に何としても処理しなければすまない損失金である。
アメリカは、地獄の底で、のた打ち回るようにして、この3200兆円をこれから20年間かけて処理することになる。
日本が1990年のバブル崩壊からの20年間、地獄の苦しみを味わったのと同じことがこれから起きるのだ。
これらのCDSやCDOは、今さらもう、NY金融バクチ10大銀行どうしの話し合いの、“解け合い”や“抜け解け合い”で消し去ることはできない。
この残高は、2008年のリーマン・ショック直後のピーク時には、この2倍の800兆ドル(8京円)あったのである。
円ドル相場は、米ドルがこの後もさらに落ちて行く。
この動きは止められない。
1ドルは2011年の春までには70円台になり、そこで動くだろう。
それから2012年の60円台の動きへとつながる。
アメリカ政府が躍起になって「追加の金融緩和」で景気対策をやっても、米ドルの信用は世界的に下落していく。
さらに裏の真実は、アメリカ自身がドル安を画策し、望んでいるからだ。(輸出は伸びるし、借金は減るし)
株価や債券もこれから暴落していく。
アメリカは、ニューヨークの株式市場でPKO(株価維持政策)をさかんに行っている。
無理やりアメリカ政府の財政資金(税金)を、「30種(30銘柄)の重要な株式にだけ限定して」ここに集中的に投入している。
だから今も米株式は1万1000ドル台なのだ。
FRBによる相場操縦だ。
そうやって、やらせの値段でNYダウ平均株価を維持している。
それで1万1000ドル台という高値を守っている。
日本もアメリカ様の指示(命令)でPKOをやって、株価1万円台を作っている。
こんな人為的な操作の違法な株価操作をやってはいけないのである。
もうすぐこういうことはやっていられなくなる。
NY株式は今の1万1000ドルが1万ドルを割り込んで、やがて7000ドル、6000ドル台になる。
その時、日本の株価もさらに道連れにされて、8000円、7000円、6000円台に落ちていく。
なぜアメリカ政府(米財務省とFRB)が、こんなに米株価の維持に執心するのか。
それはアメリカの銀行と大企業群が株式を運用資産として保有しているから、これが下落するとアメリカ全体の資産勘定にヒビいてくる。
アメリカの企業(法人)全体の決算書類の「資産の部」を、粉飾で資産状況がよいように見せかけなければならないからである。
そのため、アメリカ政府自身が音頭をとって無理やり株価を吊り上げている。
そうしないと真実の壊滅的な資産状況がバレてしまう。
これがいつまで続くか、続かせることができるかが、目の前の現実となっている。
どうせ近いうちに、これら粉飾された数字が崩れる。
【帝国による帝国の為の戦争 】
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