有島武郎 「電車の眼が見た」 | 空にはブログ

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私と同じ誕生日(12月10日)の天才詩人・寺山修司氏の第一歌集「空には本」より名前を拝借した「空にはブログ」です。趣味のこと、好きなことなど、綴っていきます。基本的に毎日更新。…シーズン中は、野球ブログみたいになります( ̄▽ ̄;)…

再び、こんばんは~。

活字中毒きみどんです。

私の好きな作家に、有島武郎がいる。

名作多数、その中でも特に「小さき者へ」は、今でも古臭さを感じさせない。

ちなみに有島武郎の長男は、名優・森雅之である。←これ知ったときは、びっくりした

「羅生門」は、三船敏郎より森雅之よ~!(≧▽≦)

数々の名作を残した有島武郎だけど、詩作もしている。

その中に「電車の眼が見た」という作品がある。


「電車の眼が見た」

省線の高土堤をひらめきゆく電車の眼、
その眼が見る土堤下の人の渦巻き、
かげろうの見えがくれ、
葉巻の煙が風に揺られて、
するりと横さまに飛び消える。
何んでもない、
人は睦まじく生きたがっているじゃないか。
その祈りが横さまに飛び消える・・・・・・ひらめき消える。


省線というのは、省線電車の略で、国電の旧称である。

初めてこの作品を読んだのは、20代だったけど、なんだか衝撃的だった。

「小さき者へ」同様、全く古臭さを感じさせない。

この作品に色をつけるとしたら、ちょっとグレーのかかった白。

たぶん、曇り空の午後が舞台かな、と思う。

私の、好きな詩の一つなのです。

(文中敬称略)