467冊目 1日3時間しか働かない国/シルヴァーノ・アゴスティ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国」シルヴァーノ・アゴスティ著・・・★★★★

秘境のユートピア「キルギシア」では…1日3時間以上働く人はいない。残りの時間は自分自身のために使う。政治家はボランティア。学校は「人生の谷」と呼ばれ、勉強がなく学びがある。18歳を迎えると1軒の家が贈られる。刑務所はなく、警察官もいない。武器の墓場がある。誰かと愛し合いたいと思ったら、みんなにそれがわかるように、胸に小さな青い花を飾る。各家庭に菜園があり、お年寄りが耕す。お年寄りは「人生のマエストロ」と呼ばれる…。イタリアでベストセラーの未来社会モデル、おとなの寓話、本邦初訳。


大人の童話シリーズ第2弾。。。(^人^)


仕事は1日3時間。

残りの時間は自分自身の為に使い、勉強は無く学びがある、政治家はボランティア、犯罪は無く、警官もいない、誰かと愛し合いたければ胸に青い花を飾る。。。


そんな、バカな話がある訳が無い。

確かにそんな幸せな国は世界中捜しても無いし(中東あたりにあるかも)、実現可能だとも思わない。

ユートピア「キルギシア」は現代日本からすれば絵空事である。

かと言って、今の日本に(震災以前でも)満足している人がそんなに大勢いるとも思わない。


戦後日本は経済成長を最優先に、無駄な消費を促し、過剰な財産を貯めてきた。

そこに、日本人は”幸せ”を追い求め、夢を生み出した。


しかし、バブルが弾け、対症療法的社会は次から次へと問題を生み、モグラ叩きの如く叩いたものの、国の借金は膨れ上がり、格差を生み、犯罪が増え、挙句の果てに原発が爆発し。。。

こんな絵空事(逆の)を誰が想像しただろう。。。


超巨大津波は世界最高の防波堤を飲み込み、家は跡形も無く押し流され、原発が制御不能に陥って安全神話は一瞬のうちに崩れ落ち、電気という戦後日本の消費と便利な暮らし、豊かさという幸せの幻想を支えてきた源泉が破壊された。


確かに、日本の暮らしは便利に快適に進化してきた、しかし、どれほど幸せになっただろうか?

ほんの少し前まで、携帯電話は無かったし、インターネットも無かったし、TVゲームも無かった。

しかし、人と人の繋がりは強く、紙芝居屋が来て、ラーメン屋が来て、友達と缶蹴りし、風鈴屋が来て、扇風機だけで夏を乗り切った。

昔は今よりもずっと不便だったが、それが当たり前の生活だったから不便だと感じた事は無かった。
便利さと引き換えに、多くのものを日本人は失った。


今回の震災は多くの日本人の意識を変えつつあると思う。

自然の猛威の前で、人間の余りのか弱さを知り、分かち合うことの大切さを知り、電気への過大な依存と過剰な消費を思い知らされた。

その一方で、日本人の礼儀正しさや忍耐力、冷静さを改めて(海外メディアにより)認識され、人のあたたかさ、団結力などいい面も知る事ができた。


これから暫く日本は苦しい道を歩む事になると思うが、この国のあり方を考え直すいいチャンスでもあると思う。

目も眩む位明るいコンビニの店内(コンビニ自体が過剰)、街中の過剰な屋外電飾看板、OLが凍える程のオフィスの冷房。。。etc

オール家電を推奨しておいて、危険な原発を次々と建てて電力不足を補うような消費構造を改めないと、この国に住めんくなるわ。。。゛(`ヘ´#)


この本を読み、ぼちぼちこの国も違ったアプローチで幸せになる方法を考えてもいいように思えた。

「キルギシア」のようなユートピアは絵空事だけど、理想とする社会のひとつとしてヒントがあるような気がする。


いや~、今日は力が入ってるわ。。。(;´▽`A``


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