採卵数が何個だと最も妊娠しやすいかはとても気になるところです。
予想されることですが、ある程度の採卵数がある方が妊娠率が高くなるという報告が多く出ています。
採卵から新鮮胚移植をして、そのあと融解胚移植まで行いそれらの成績を合わせた累積生児出産率がを考えた場合、採卵数が幾つが好ましいかについての報告がHum Reprod.にありましたので紹介します。
方法
2009年から2013年までベルギーの大学で行われました。
18–40歳の1,099名が参加しています。
刺激方法はアンタゴニス法(固定式)で、150–225 IU の遺伝子組み換えFSH製剤を用いています。
新鮮胚移植、凍結胚移植の累積生児出産率で調べています。
採卵数により以下の4群に分けています。
① 1–3 個 (Group A)
② 4–9 個 (Group B)
③ 10–15 個 (Group C)
④ >15 個 (Group D)
結果
新鮮胚移植における累積生児出産率はグループAと比較し、グループB、C、Dは有意に高い結果となりました。 (P < 0.05)
OHSSは11/1099 (1%)に発生しました。
累積生児出産率は採卵数と比例して上昇しました。
グループDはグループA、グループBに対し有意に高い出産率を示しました。(P < 0.001)。
グループDはグループCに対しても有意に高い出産率を示しました(P = 0.014)。
グループAよりグループBの方が良い結果が得られたましたが(P = 0.002)、グループCと比較すると累積出生率は有意に低下しました(P = 0.02)。
結論
累積生児出産率は採卵数と比例して上昇しました。
この結果から言えること
この論文からは採卵数が多いほど累積生児出産率が高まることがわかります。
分母が多くなればそれだけ良好胚ができる確率が高くなるため当然とも言えます。
更に第2子のためにも最初の採卵で採卵数を多くするという事は有利という事になります。
ただOHSSの副作用もあるため、余りにも強い刺激をして強引に結果を出すことは問題がありますので、採卵数は10〜15個が好ましいかと思います。
Hum Reprod (2016) 31 (2): 370-376.
Ovarian response groups | |||||
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Group A 1–3 oocytes n = 83 | Group B 4–9 oocytes n = 471 | Group C 10–15 oocytes n = 327 | Group D >15 oocytes n = 218 | P-value | |
Age (years) | 32.8 (3.9) | 31.6 (4.1) | 30.5 (3.8) | 30.3 (3.5) | <0.001 |
Oocytes retrieved | 2.3 (0.7) | 6.6 (1.6) | 12.1 (1.7) | 22 (7.6) | <0.001 |
Live birth in the fresh cycle | 14 (16.9%) | 140 (29.7%) | 111 (33.4%) | 70 (32.1%) | 0.02 |
Cumulative live birth | 18 (21.7%) | 187 (39.7%) | 165 (50.5%) | 134 (61.5%) | <0.001 |