AMH については以前の記事でも何度か取り上げました。
卵巣年齢を知る事が出来る非常に有用なホルモン検査です。
AMHとは「抗ミュラー管ホルモン」といわれ、発育過程にある卵胞(前胞状卵胞)から
分泌されるホルモンです。この下の図の7ミリ以下の卵胞から分泌されます。
近年論文や学会等でAMHについての報告が多くあり、
現在AMHはトピックとなっているため再度説明したいと思います。
①卵巣予備能を正確に表す最も優れたマーカー といえる
(他にもFSHや胞状卵胞等がありますがAMHが最適です)
②低反応群を予測できる
(卵巣刺激をしても反応しない症例を事前に把握できるため過剰な刺激を避けられます)
③高反応群を事前に予測できる
(体外受精の重篤な副作用である卵巣過剰刺激症候群:OHSSの予測をする事ができるため、事前に発症を防ぐ事が可能になります)
④生理周期の影響を受けない
(FSHは生理中に測定しなければいけませんがAMHはいつ測っても同じ値になります。以下の図の左側のグラフを見てもわかりますが周期にかかわらず一定の値を示しています。また右側のグラフのように年齢が上がるとともに低下する事もわかっています。)
⑤前周期のピルやスプレーの影響を受けにくい
(FSHはピルの影響を受けるためわかりにくいですが、AMHは前周期の治療の影響を受けません。)
⑥AMHにより排卵誘発法を決定できる。刺激法を個別化できる。
(AMHにより最適の刺激法、刺激量で卵巣刺激を行う事が出来るとの報告があります)
⑦閉経の時期を予測できる
(AMHと閉経の時期は相関しているとの報告があります)
⑧妊娠率が予測できます
(以下の図のようにAMHが低いと縦軸の妊娠率が低い事がわかります)
Anti-Mullerian hormone as a predictive marker in assisted reproductive technology
⑨男性不妊症にも応用できる
女性のみでなく男性不妊とAMHの関係についてもいくつか報告されています。例えば非閉塞性無精子症の場合は血清中AMH濃度が低い事や、閉塞性無精子症では精液中AMHが検出されない事等が報告されています。しかし正常男性との比較が困難な事もあり単独では判断が困難との事です。
AMHの今後の問題点
AMHは検査費用が5千円~1万円と高い事が問題と言えます。今後検体数が増えるにつれ安くなることが予想されます。その際には毎年測定したり、卵巣のう腫の術前術後に測定したりして卵巣予備能を手軽に測れる時代が来ると思われます。。