卵巣のう腫手術とAMH | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

卵巣のう腫手術とAMHについて


卵巣のう腫の手術をやらなければいけない時に

卵巣機能(AMH)を下げないで卵巣のう腫をとる

これが出来る事がポイントです。


以前の記事で手術と体外受精との関連 について

取り上げましたが今後の妊娠を考えると

卵巣のう腫を取るだけではなく

卵巣機能を温存したまま

いかにのう腫を取り除くかが大切です。


ただこれはあくまで理想論であり、

手術により卵巣予備能が下がるのであれば

手術をしないでARTを行うという選択肢も

検討しなければいけません。


要は手術の技量にかなり多く左右される事になります。

手術により卵巣予備能が下がらない確証があれば、

まず手術を行った方が良いと思います。


腹腔鏡手術は施設間格差、医師間格差が

開腹術と比較し大きい事が指摘されています。


また論文で様々な比較検討が行われていますが、

施設や術者の技量までは加味されておらず、

どこまで正確に検討されているか

一概には言えないと思います。


以前は卵巣予備能を図る検査の一つとして

FSHがありましたが、FSHは月経周期により

ばらつきが出るため最適ではありません。


近年AMHが簡便に測定できるようになり、

このAMHは月経周期によりばらつきが出る事はないため、

いつでも正確に卵巣予備能が図れる事になりました。


つまり術前術後においてこのAMHの変化が

出ない事が可能な施設であれば、

卵巣のう腫を先に取り除き、

その後ARTに進むという流れが理想通りで

最も好ましいと言えると思います。