不妊ドック ② 不妊のリスク因子を減らす | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

今日は不妊の予防について考えてみたいと思います。


他の病気がある程度予防できる事と同様に

不妊もある程度は予防できる、

そういう考え方です。


例えば一般的に病気の予防といえば

①病気のリスクを減らしていく事

②人間ドックを毎年受けるという

この2点で予防している事が多いと思います。


不妊の予防も同じように

①不妊リスクの軽減する

②不妊ドックを受ける

この二つが大切と言えます。



不妊の予防を考えてみる前に、

気の予防としてまず第一に挙げられる

癌」と「生活習慣病」の予防について

考えてみたいと思います。


「癌の予防」の場合以下の予防法が有名です。

これは誰もが一度は目にした事があるかと思います。

(国立がんセンターが2005年に発表したもの)

①禁煙

②適度の飲酒

③食事はバランス良く

野菜、果物を多く取る。

減塩を目指す。熱いものは避ける。

④定期的な運動の継続:

毎日60分程度の運動

⑤体重の維持(太りすぎない、やせすぎない)



「生活習慣病の予防」も同様ですが

以下のものが主にあげられます。

①運動

②バランスのとれた食事

③禁煙

これらの予防を踏まえて

不妊の予防という事を考えてみます。



不妊ドック については以前の記事で

その重要性を説明しました。


定期的に不妊ドックを受けて自分の現状を

把握する事は非常に大切と言えます。


その一方で不妊のリスクを減らす努力も

不妊ドックと同じ位大切です。


しかし不妊のリスク因子を考えて

生活している人は余りいないと思われます。

不妊のリスク因子を減らす事イコール

不妊の予防になります。


そこで今回は不妊のリスク因子について

考えてみたいと思います。


不妊のリスク因子として代表的なものに

以下のものが上げられます。

①ストレス

②喫煙

③アルコール

④性行為感染症

⑤体重

⑥年齢


以下具体的に説明します。

①ストレス

過度のストレスはホルモンバランスの異常をきたし

月経異常、排卵障害等、不妊につながる恐れがあります。

そのため適度のストレスを貯めない事が大切と言えます。


②喫煙

喫煙により卵巣年齢が高くなる事は証明されており、

精液所見の低下も証明されています。

やはり夫婦ともに禁煙することが望ましいと言えます。


③アルコール

アルコールの過度の摂取は妊娠しにくい状況を

作るため、控える事が望ましいといえます。


④性行為感染症

性行為感染症の中で不妊との関係が

はっきりしているのはクラミジア感染症です。

しかしクラミジア感染症は症状が出にくく、

受診が遅れる事が多く、そのため他人に

感染させる恐れも多くなります。

早期に抗生剤の治療を行わないと

卵管炎や骨盤腹膜炎になり

卵管性不妊の大きな原因となります。


⑤体重(肥満、やせすぎ)

肥満の場合は過度のエストロゲンのため

妊娠しにくくなり、やせすぎの場合は

ホルモンバランスが乱れ月経異常、

排卵障害等になる恐れがあります。


⑥年齢

加齢に伴い卵巣内の卵の数が減少します。

卵巣年齢を表すAMHも年齢とともに

低下していきます。

精子と違い、卵が新しく作られるという事はありません。

また受精卵の染色体異常が起きる確率が

高まり流産率が高まります。


なお精液所見に影響を与える因子 については

別の記事にまとめてあります。


これらのリスクを理解し、正しい生殖機能の

知識をつけてもらいたいと思います。

そしてそれが不妊の予防につながります。