不妊ドックのすすめ | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

人間ドックなどの検診はなぜ重要なのか言うまでもないともいます。

会社や個人等で多くの人が受けていると思われます。


しかし不妊ドックというのはほとんど行われていないと思います。


一般の病気と同じで不妊も未然に防ぐという事がある程度可能です。

不妊ドックを受けて不妊の予防をする、そういう考えです。


不妊になる可能性について考えた事がありますでしょうか?

普段健康だから不妊にはならないとお考えでしょうか?


健康な男女が妊娠を希望した場合一回の排卵周期あたりの生殖効率は

平均25%~30%程度と言われています。意外に少ないです。

つまり

3カ月以内に50%

6カ月以内に70%

1年以内に80%

2年以内に90%

の男女が妊娠成立する事になります。


現在約7~8組の男女に1組が不妊と考えられています。

割合にすると約13~15%程度になります。


妊娠を希望する年齢である20代から40代の方にとって

癌、高血圧、糖尿病等の成人病の罹患率と比較すると

15%というのはかなり高い事になります。


しかし不妊は生命にかかわる事ではないためか

社会的にも個人的にもかなり関心が低いと思われます。

TV等で不妊特集を組んで放送するという事はないように思います。


それでは不妊ドックで具体的に何を行うかというと

①超音波検査(子宮筋腫、卵巣のう腫)

②ホルモン検査(AMH、FSH、LH、PRL)

③クラミジア感染症検査(抗体検査)

④精液検査

⑤問診

大体以上の検査を行う事になります。

これで大体不妊になりやすいかそうでないかがわかります。


検査後の流れですが、もし

①超音波で子宮筋腫や卵巣のう腫があった場合

 ⇒妊娠に影響しそうな場合は手術等の説明

②ホルモン検査で卵巣予備力が余り無い場合

 ⇒早期の治療開始をすすめる

③クラミジアに感染している場合

 ⇒夫婦ともに抗生物質の投与

④精液検査にて精子が少ない場合

 ⇒体外受精、顕微授精を考慮し早期の治療開始


病気には原則として早期診断早期治療という原則があります。

早い段階で異常があるとわかればすぐに対処して

後々不妊に悩む可能性が低くなると思われます。


以前実際にあったケースですが結婚後10年近く避妊されていた患者さまで、いざ妊娠希望との事でトライするも妊娠しないため、来院して検査したところ無精子症であったというケースがありました。


結婚後間もないとか、今は仕事が優先等で、今すぐに子供が欲しいと思っていない方でも、今後いつかは子供が欲しいと考えている方は、とりあえず一度不妊ドックを受けに来院される事をお勧めします。