インド南部、タミルナードゥ州のティルチラパッリ空港から対岸のスリランカ・コロンボへ
スリランカ航空で向かいます。(飛行時間は1時間)
昨日、ティルチ市内のスリランカ航空オフィスで
「空港は警備がとっても厳重だから3~4時間前にチェックインするように」
と言われたのですが、こんな田舎空港でそんな必要があるかどうか疑問でした。
念のために、言われた通り3時間前の午前6時に空港に到着したらようやく意味がわかりました。
早朝6時 ティルチラパッリ空港 新ターミナルにて
中東方面(ドバイやシャルジャ)へ出稼ぎに行く家族の見送りで混雑しています。
この空港、インドの他の空港より機関銃で武装した兵士が多いのが気になります。
先日のムンバイのテロを首謀したと言われるパキスタンのテロ組織ラシュカレ・タイバ(LeT)が
南インド諸都市で大規模テロを計画しているという情報を当局が入手し、警戒レベルが
上がっているようですが、大都市チェンナイよりもティルチのほうが警戒が厳しいのは
何故なのかこの時は理解できませんでした。
コロンボ行きは09時10発で現地に10時10分到着予定。
チェックインの時も「定刻」と表示されていましたが、チェックインを終えて保安検査を越えた
人にはこっそり遅延が知らされていました。どうして最初から遅延と表示しないのでしょうか?
X線荷物検査は厳重で預け入れ荷物の目覚まし時計をすぐに指摘され、乾電池を抜くように
言われました。次の出国審査はまるで江戸時代の関所のようで、怖そうな役人が一人5分くらい
かけてあれこれと質問する方式で、えらい時間がかかりました。
その後、チェックポイントが数箇所あり、コロンボ行きとそれ以外の行き先で乗客が
分離されました。コロンボ行き乗客は氏名と座席番号のチェックがあり、特別レーンで
厳重なチェックを受けることになります。
免税店は酒タバコ香水を売る小さな売店が一か所のみ。
期待していたサモサ屋もありませんでした。
コロンボ行き乗客は待合室も他の行き先の乗客と隔離(左上の写真)されました。
売店もなく軟禁状態ですることもなく暇です。
緩慢な動作で床をほうきで掃くサリーのお婆さんがいました。
定刻どころか、コロンボ到着予定時刻を過ぎた後にようやく搭乗開始です。
先程の出発時間変更はもしや時限爆弾テロ対策の計画的時間変更でしょうか?
飛行中に時限爆弾が爆発しないために、出発時刻を予告なく変更することは紛争国では
よくあることなので、今回もその疑いがあります。
実際、その後もティルチ→コロンボ便だけは毎日2~3時間以上遅れていました。
(他の路線は定刻)
スリランカは旅行の前月に停戦合意しましたが、タミル人反政府組織「タミル・イーラム解放
の虎」(LTTE)残党がインド側のタミルナードゥ州へ敗走し潜伏している可能性もあるというので、
対岸のティルチに彼らがいてもおかしくはありません。
タミル勢力地のティルチからシンハラ人を中心とする政府軍の中心であるコロンボへ
向かう便が狙われるのは納得がいきます。(LTTEは自爆テロを厭わないので)
飛行機へはバスで向かいます(右)
写真は左からエアインディア・エキスプレス(ドバイ行き)、スリランカ航空(コロンボ行き)、
エアアジア(クアラルンプール行き)です。
駐機している飛行機の周りも重武装した兵士に囲まれています。
■スリランカ航空 UL132 ティルチラパッリ→コロンボ A320
タラップの上ではもう一度スリランカ航空乗務員によるボディーチェック。
機内には最小限の持ち物しか認められていませんが、ポケットの中まで
調べられる人もいて、検査に合格した人から機内に通されていました。
機内にも保安要員としてか?客席に座るエクストラクルーが乗ってました。
スリランカ航空の他の路線ではこんな厳重な検査は無かったので、ティルチ-コロンボ路線の
特性のようです。
ちなみに(南アジア系の方々以外の)外国人乗客は我々夫婦のみでした。
写真はティルチ空港の旧ターミナル 最近、エアアジアのクアラルンプール線などが
開設されて空港が大幅に拡張されました。
この記事をまとめると、南インド諸都市でのラシュカレ・タイバ(LeT)のテロ脅威情報、
そしてスリランカの「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)拠点の対岸という地理的脅威という
二重のリスクからティルチ空港のセキュリティーレベルは高いのだと推測します。
外務省の注意喚起にも特定の航空路線のリスク情報は載ってないので、現地で乗ってみて
初めて気が付きました。こんなセキュリティーはパキスタン訪問以来久しぶりです。
逆にセキュリティーは厳しければ厳しいほど安全なんですけどね。