ヘッド・ショット(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ヘッド・ショット(ネタバレ)

ヘッド・ショット

ヘッド・ショット

原題:Headshot
2016/インドネシア 上映時間118分
監督:ティモ・ジャヤント、キモ・スタンボエル(a.k.a.モー・ブラザーズ
製作:マイク・ウィルアン、スクデフ・シン、ウィッキー・V・オリンド、西村信次郎
脚本:ティモ・ジャヤント
撮影:ユヌス・パソラン
音楽:ファジャ・ヤスキマル、アリア・プラオギ
アクション演出:ウワイス・チーム
出演:イコ・ウワイス、チェルシー・イスラン、サニー・パン、ジュリー・エステル、後藤洋央紀
パンフレット:なし
(あらすじ)
頭部に銃弾が打ち込まれ、瀕死の状態だった男(イコ・ウワイス)は、2カ月後にようやく目を覚ますが、自分の過去や名前といったすべての記憶を失っていた。徐々に回復した男はイシュマエルと名付けられ、治療にあたった女医アイリン(チェルシー・イスラン)と次第に惹かれあっていく。死んだはずの男が生きていることを聞きつけた犯罪組織のボス・リー(サニー・パン)は、イシュマエルをおびき出すためにアイリンを誘拐。アイリン救出のためリーのアジトへ乗り込んだイシュマエルは、刺客たちとの激しい戦いを繰り広げる中で、失われた記憶がよみがえっていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


昨年11月に発売された「映画秘宝 2017年 01 月号」でその存在を知ってからずっーと観たくて、「2017年に絶対観たい新作映画10本」にチョイスするほど楽しみにしてましてね。3月中旬に新宿武蔵野館で観てから、4月半ばに横浜ニューテアトルで2回目を鑑賞してきました。「それでいい ( ´_ゝ`)」と偉そうに思ったり。


新宿武蔵野館の1番スクリーン、1日2回上映だとしても満席だったのはスゴいですな。
新宿武蔵野館1番スクリーン

昨年、「ロスト・バケーション」を観て以来、好感を抱いてる横浜ニューテアトル。
横浜ニューテアトル

売店でお菓子と飲み物を買ったりして。観客は4人程度でした。
飲み物とお菓子

僕の気持ちを代弁する愚地独歩を貼っておきますね。
それでいい


お話に関しては、誰もが「えっ、またそういう話!? Σ(゚д゚;)」と思うぐらいに既知感が強い内容。雑に書くと、記憶を失っていた男(イコ・ウワイス)が“ヒロイン的立場の女医(チェルシー・イスラン)”や“拾ってくれたオッサン(諏訪太郎さん似)”とノホホンと暮らしていたら、実は凶悪な犯罪組織のトップ暗殺者だったので容赦なく命を狙われるも、全員返り討ち→皆殺しにしまして。最後はボスから名付けられた名前「アブディ(「忠誠心」という意味)」ではなく、女医がウフフ気分で命名してくれた「イシュマエル」を選んで、めでたしめでたしーーといった感じですよ。


要は「記憶を失っていた男、実は殺人マシンだった」映画(by ギンティ小林)なのです。
何か思い出した?


正直、いろいろと雑な部分があるのは否めないです。ハッキリ言って、インドネシア警察の役に立たない振りは半端じゃない…というより、むしろ主人公を狙う犯罪組織が何でもありすぎてビックリするというか。犯罪組織のボス・リー(サニー・パン)を救う“命知らずの部下”がいるのは良いとしても、普通のバスをいきなり襲撃して乗客をバンバン殺害したり、警察署に乗りこんで警官を皆殺しにしたりと常軌を逸したレベルなんですよね。まぁ、インドネシアは「アクト・オブ・キリング」な国なので、現実でもこんな感じなのかもしれませんが(インドネシアの人が読んだら激怒しそうな偏見)、さすがにディストピアすぎるじゃありませんか。


「荒波の悪魔」「地獄の父」など素敵な異名を持つリーですが、さすがにやりたい放題すぎだったような…。
リー(サニー・パン)


あと、本作の主人公は「組織を裏切って処刑される→死ななかった」ということだったんですが、彼が組織を抜けようとするキッカケとなった出来事を描いてほしかったなぁと。ボスのリーに「幼いころにさらわれて、1人になるまで井戸の中で殺し合いをさせられる」といった蠱毒ライクな試練を課せられるなど、少年兵のようなハードな生育環境で強烈に洗脳されていたワケだし、兄弟同然に育った仲間たちと別の道を選ぶなんて、よっぽどの理由があったハズじゃないですか。団地での銃撃戦が100点の映画「泣く男」のように「罪のない少女を殺してしまった」とまでなるとヘビーすぎますけど、「それなら裏切るよネー (´・ω・)(・ω・`) ネー」とスムースに感情移入できる理由を見せてほしかったです(一応、「もうイヤになりました (´・ω・`)」といったボンヤリな説明はありましたが…)。


こんな仲が良かったころがあっただけに、組織を抜けようと思った原因はちゃんと観たかったなぁ。
仲良しだったころ


ただ、基本的にはスゲー楽しかったです (´∀`) ヨカッター 偉そうに分析すると、同じR指定アクション連発ムービーの傑作「ザ・レイド GOKUDO」と比べると、戦闘のバリエーションが少なくて飽きやすい面はあるし、擬態シーン(主人公を舐めてたチンピラを自動的に体が動いて半殺しにする的な大好物の展開)がもっとほしかったところはありますが、警察が無力なマッドワールドでシラットを駆使して、ゾンビのようにボロボロになりながらもサバイブするイコ・ウワイスの姿は実にカッコ良くてね…(しみじみ)。組織からの刺客もキャラの立った人が揃っており、興奮しながら鑑賞いたしました。


主人公の本格的なアクションは、惨劇が起こったバスの中からスタート。
バスでの惨劇

現場に駆け付けた警察に逮捕されるも、かつての仲間たちが襲撃! 素早いショットガン使いと戦闘だッ!
vs素早い奴

そいつを倒したら、同じようなビジュアルのデカい奴が襲ってくるも返り討ち。
vsデカい奴

ちなみに回想シーンでは、ヤクザ役っぽい後藤洋央紀選手とのバトルが流れたりしてね(短め)。
vs後藤洋央紀

組織のアジトに向かってみれば、自分に憧れていたという警棒使いベシが立ちはだかりまして。
vs警棒使い

さらにちょっと恋仲っぽかったナイフ使いリカ(ジュリー・エステル)も襲ってくるのです。
vsナイフ使い

そしてラストは、リーとの素手バトル! このビジュアルが素敵すぎる… (´Д`;) ハァハァ
ラスボスとのバトル


まぁ、さっきは文句を書いちゃいましたが、ドラマ部分はちゃんとしているところもあって。例えば、「過去に悪いことをしていた人の更生を許すか問題」ということが描かれているワケですが、その選択を迫られる女医のアイリンがとことん酷い目に遭うあたりは、フェアな感じがしないでもない。だからこそ、ラストの「ボスに道連れにされそうになる主人公を後ろから引っ張って助ける場面」が感動的であって(まぁ、本作に関しては「※ただし、イケメンに限る」感が強いんですが…)、「抑圧的な親からの解放」という要素もあるし、意外と「いろいろなことを考えさせられる映画」だったりもしたというね。その他、面白かったのがチンピラ描写で、最初に出てきた時はリーに怯えて可哀相に見えるほどだったのに、女医のところに来ると恐ろしく凶悪なムードにトランスフォームするあたり、なかなかリアルでイヤな気持ちになりましたよ ('A`) イヤーン


映画序盤はイシュマエルのこんな話も舐めた顔で聞いてたアイリン。
舐めてたアイリン

さらわれるわ、レイプされかけるわと散々な目に遭うも、最終的には彼のことを許すというね(直接的には彼のせいじゃないしね)。
散々酷い目に遭ったアイリン

このチンピラの怯え方が最高なだけに、後のイヤなムードが際立ってました。
インドネシアのチンピラ


なんて言うんですかね、そりゃあ既知感が強い内容ですけど、僕的にはハードな素手アクションの連発が観られるなら、このぐらいのシンプルかつストレートな話で十分というか、むしろ「それでいい ( ´_ゝ`)」という偉そうな気分。本作を撮ったモー・ブラザーズには今後も頑張ってほしいのはもちろんのこと、韓国映画「怪しい彼女」ように、本作もさまざまな国でリメイクされたらいいのにな、そうだったらいいのにな (・ε・) オシマイ




モー・ブラザーズ監督作。僕の感想はこんな感じ



大好物すぎるイコ・ウワイス主演作。僕の感想はこんな感じ



インドネシアがイヤな国に思えてくるドキュメンタリー。ハードすぎる姉妹編もあります ('A`) ゲンナリ



6月にはBlu-rayが出るんですが、買うべきか… (ノω・、) オカネガ...