ルック・オブ・サイレンス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

ルック・オブ・サイレンス(ネタバレ)

※今回の記事は、非常にふざけた文章が書かれているので、ちゃんとした感想を求めている人は読まない方が良いです。

<心底どうでも良い前書き>

「全人類が観るべきドキュメンタリー『アクト・オブ・キリング』の続編が作られた!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ!」「今度は被害者が加害者に会いに行く!(o^-')b アイニージュ!」なんて聞いたら、そりゃあ僕も「趣味:映画鑑賞」のはしくれですから(苦笑)、当然ながら興味は湧いたワケですけれども。正直、「アクト・オブ・キリング」を観た後、そのあまりに恐ろしい内容のせいで夜も眠れないほどのダウナー状態に陥ったことを考えると、どうにも足を運ぶ気にはなれなかったのです… (´・ω・`) スミマセン

「アクト・オブ・キリング」の予告編↓ 地獄のような映画でございます。



いや、社会的な意義のある素晴らしい作品なんだろうし、例によって衝撃的なんだろうと思うんですが、確実にゲンナリするであろう映画を観に行くのってイヤじゃないですか、やっぱり。だったら「マッドマックス 怒りのデス・ロード」をまた観に行きますよって話であり、毎月アップしている「観たい映画の覚え書き」でも「一応観たい」と消極的な姿勢だったんですが…。尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」で紹介されていた上に、映画駄話の会でお会いするサイモンさんやスタ・エレさん、そしてツイッターで相互フォローさせていただいている方が熱心に薦めてくれましてね。なんとなく「観ておくか… (´・ω・`) シカタナシ」と思い直して、7月下旬、渋谷のシアター・イメージフォーラムに足を運んできました。

夕方のイメージフォーラム。
イメージフォーラム

ロビーには記事の切り抜きがありましたよ。
記事の切り抜き











ルック・オブ・サイレンス

ルック・オブ・サイレンス

原題:The Look of Silence
2014/デンマーク、フィンランド、インドネシア、ノルウェー、イギリス 上映時間103分
監督・製作:ジョシュア・オッペンハイマー
製作:シーネ・ビュレ・ソーレンセン
製作総指揮:エロール・モリス、ベルナー・ヘルツォーク、アンドレ・シンガー
撮影:ラース・スクリー
編集:ニルス・ペー・アンデルセン
出演:アディ・ルクン、アミール・シアハーン、アミール・ハサン、イノン・シア、M・Y・バスラン
パンフレット:★★★(800円/コラム執筆陣が充実してて超良いパンフなのに、解説文が感情的で少しガッカリ)
(あらすじ)
虐殺された男性の弟として生まれた眼鏡技師の青年アディが、オッペンハイマー監督が撮影した加害者のインタビュー映像に強い衝撃を受け、監督と共に加害者のもとを訪問。現在も権力者として暮らしている加害者に無料の視力検査を行なうことで彼らの警戒をそらしつつ、核心をついた質問の数々を投げかける。やがて明らかになる衝撃の事実を通し、「責任なき悪」のメカニズムが浮かび上がってくる。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




100点


超キツかったです… ('A`) ヤッパリ...


観終わった直後は、藤巻十三との死闘を制した姫川勉のような気分でしたよ…(「餓狼伝」第23巻より)。
終わった......


まず、今作の背景を雑に書いておきますよ。1965年にインドネシアで軍事クーデター未遂事件(9月30日事件)が起きると、その影響で「共産主義者狩り」が勃発。100万人規模の大量虐殺がインドネシア全土で実行されてまして(デヴィ夫人はこのころに亡命)。結果、共産主義者と認定された人の家族は生き残っても酷い差別を受けるようになり、殺人を犯した人たちは罪にも問われずに近所でノホホンと暮らしている…どころか、「オレってばこうやって殺してさぁ~ (`∀´)」と虐殺をヤンチャ自慢のネタにしているから口がアングリ。パンフに書いてあった表現を借りると、ホロコースト後もナチスが政権を握っているドイツ」のような地獄であり、そんな酷い状況が今も続いているのです。


オッペンハイマー監督が真意を隠してインタビューをするとヤンチャ自慢をする人ばかり。
加害者たちのビデオ

「私たちの虐殺を本にしてみますた (・∀・)」なんてバカも現れる始末というね。
虐殺を本にしました


で、そんな彼らの“ヤンチャ自慢癖”を逆手にとって作ったのが「アクト・オブ・キリング」だったワケですが、それと時を同じくして、虐殺で兄のラムリを無惨に殺されていた(※ちなみにお兄さんは男性器を切除されて死んでおります… ('A`) ヒデェ)中年男性アディが「加害者に直接会って話を聞きたいです ( ´_ゝ`)」なんて言いだしたから、監督もビックリ。実は監督とアディとの出会いは2003年ごろであり、それ以来、ずーっと加害者たちの自慢ビデオを見続けていたことで、どうしてもいろいろと聞いてみたくなったそうで。彼の決心は非常に固かったため、「アクト・オブ・キリング」が公開される前に命懸けのインタビューを仕掛けまくることになるんですね(撮影中、いつでも国外に逃走できるように準備していたそうな)。


「ゆきゆきて、神軍」奥崎謙三さんよりもリスキーなことを始めようとするアディ。
とんでもないことを言いだすアディ

前作で被害者家族のスルヨノが加害者たちと恐る恐る話していたことを考えると、アディの勇気は計り知れませんな… (`Δ´;) ヌゥ
可哀相なスルヨノ


さて、ここからが映画の内容ですが、眼鏡技師として働くアディは「無料の視力検査」と称して近づきまして。その間に「そういえば僕の兄を殺して自慢しているみたいですけど、どんな気持ち?(・∀・) ネェネェ」なんて質問を始めるから、検査を受けてた加害者たちは絶句ですよ。しかも、彼らのヤンチャ自慢は監督がキッチリ撮影済み→言い逃れようがないので、素直に反省したり謝罪したりする…どころか、「過去の話じゃないか」なんて言いだしたり、逆に脅してきたりするから、今度はアディが絶句してしまい、観客はもれなく「てめぇらは死ね!( ゚д゚) クソガ!」と不快になるのでした。


検眼枠を装着させて、視力検査をしている最中に…。
検眼枠

突然、こんなことを言いだすアディ。言われた人たちは反省しているのカナー?
あなたの父親に殺されました

って、反省どころか食ってかかってきた! これ絶対、家の場所教えちゃダメだよね。
家を教えろ

こんな最低なことを言う人間が実は議員だったりするから、つくづくガッカリですな ( ゚д゚) シナナイカナー
また同じことが起きるぞ

実の叔父が見張り役で加担していた上に、まったく反省していなかったりもしてましたよ。
見張りをしていただけです


まぁ、映画はそんな感じのインタビューにインドネシアの美しい風景(撮影が素晴らしい)や、アディの家族の日常描写が挟まったりして、ボンヤリと終わるんですけど(雑な説明)、なんて言うんですかね、観ている間中、超居たたまれないのです… ('A`) アディの立場になってみれば、インドネシアの学校では「共産主義者は死んでザマァだし、その家族も差別されて当然ですよ~ん♪ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!」みたいな教育が子どもたちにおこなわれている現状、被差別者として何か行動したくなる気持ちは当たり前だし、そこから「今も権力を握る加害者たちに会う」こと自体が凄まじいワケで。いくら信頼関係を利用した騙し討ちだろうとも(加害者たちはオッペンハイマー監督を味方だと思ってた)、彼らを責める要素は1ミリもないと思うのです。

とは言え、加害者側の方にも若干の感情移入をしてしまったのは、過去でも現在でも「この人たちと同じことをするかもしれない」と思わされたから。過去に関しては前作と共通する部分ですが、そもそも政府が虐殺を煽動したワケだし、その流れに身を任せちゃうことがないとは言えないよなぁと。そして現在の部分では、彼らの言い逃れる姿に、日本人であるが故の戦争加害者としての立場を重ね合わせたというか(「被害者でもある」ということは置いといて)。過去に日本は酷いことをしたんだからいろいろと謝るのが当然なんだけど、親も戦争に行ってない世代なのにそのことを責められても実感はゼロじゃないですか。ただ、変に言い繕ったりする加害者家族を観ていると、その姿はやっぱり痛々しくて。上手く書けないけど、そういう意味でも気まずかったんですよね…。


最後にインタビューされた家族。白々しくて痛いものの、その気持ちは分からないでもない。
忘れて仲良くしよう


「ザ・コーヴ」のような「テメエの国のことじゃねーのに、首突っ込んでくんなよ」的な見方や、「(例え表面的でも)平和だった状況を壊すのはどうなのよ?」的な意見があって、多少は頷ける部分もあるものの、前作とこの映画がキッカケとなって多くの人々が関心を持って声を挙げ始めたのだから、この“正しさ”は仕方ないんじゃないかと。サイモンさんが指摘されていたんですが、「エンドクレジットの『ANONIM(匿名)』の数が前作より減っていた」というだけでも救いというか。僕的には、出演者やオッペンハイマー監督&スタッフたちが危険な状況を省みずに撮影したということで、とりあえず「作っただけで100点」という気持ちでございます。


前作のエンドクレジットの一部。「インドネシアはずいぶんANONIMって名前が多いんだな」って思ってました…(遠い目)。
前作のエンドクレジット


そんなワケで、作品的には前作の方が好みではあるんですけど、今作も全人類に観てほしいと思った次第。薦めてくれた方々には超感謝しております m(_ _ )m アリガタヤ ちなみに鑑賞後は予想通りのダウナー状態に陥ったのですが(苦笑)、鑑賞前に乃木坂の「ウエスト青山ガーデン」でホットケーキ2枚を食べて多幸感を上げていたことに加えて、「表参道の『NUMBER A』でメルトチェダー&スピナッチを食らう」「映画の舞台となる渋谷で『バケモノの子』を鑑賞」「RHYMESTERと土岐麻子さんのニューアルバムを購入」「行きつけのスナックで飲み」と、JOJO第三部ディオのごとく「逃走経路」をちゃんと用意していたため、事なきを得たのでした。


知らない人のために説明すると、JOJO第三部の終盤、ディオはオラオラで豪快に吹き飛ばされまして。
吹っ飛ばされるディオ

すっかり頭が広がっているので即死かと思ったら、「逃走経路」だって!? Σ(゚д゚;) ナンデスト!
勝ち誇るディオ

なんと通りにあったジョセフの血を吸って復活する作戦だったのです…って、どうでもいいですな。
ジョセフの血を吸うディオ


おしまい (・∀・) ナニコノオチ




ジョシュア・オッペンハイマー監督による衝撃の前作。僕の感想はこんな感じ



ちょっと連想したドキュメンタリー。観ておくと良いです。



前作の感想でも貼ったアイヒマンのドキュメンタリー。こっちと間(ry



一応、こういう本も貼っておきますね。オススメです。