鬼も泣かない去年の話 -その2- 『トナカイブルース』+おまけ | 落語・ミステリー(もしくは落語ミステリー)・映画・プロレス・野球・草バンド活動のよもやま話、やってます。好きな人だけ寄ってって。

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鎌田善和です。売れてない分時間はありますので、遅まきながらブログ始めました。記事は落語やミステリーが中心ですが、映画・野球・プロレス・草バンド活動(野球でいう草野球の事)もリストアップしておきます。気になる、興味がある、と思う人にだけ伝われば。

 な、なんと!3日続けてブログを更新するなどという快挙(じゃなくて暴挙だろって?放っといてください)を達成しようとしています。ほんの1年前まではこんなの当たり前だったのに・・・。
 さて、昨日書いたブログに、鬼さんが”泣く”もしくは”怒る(祟る)”といった反応を見せませんでしたので、調子に乗って今日は、昨日よりさらに時間を遡って、昨年12月25日に中野 ザ・ポケットで観た『GENKI produce vol.13  トナカイブルース』について書こうと思います。さらにおまけとして、一応これでもミステリー三文文士ですので、新春スペシャル企画としてゴク短いショートショート・ミステリーを書き下ろそうと思います。ただし、それを『トナカイブルース』の記事のあとにくっ付けると、スルーされる危険性が相当高いですからね、おまけの問題篇を先に持って来ちゃいます。そして、『トナカイブルース』の記事を書き終えてから解答篇を載せます。ちょっとあざとい作戦ですが、解答篇を明日に持ち越さないところは良心的ですよね。誰です、解答篇を明日に持ち越しにしたら、そもそも問題篇をスルーされる(どうせクダラナイ解答に決まってるから、明日それを読む気はしない。だったら問題篇なんか読んでも無駄、無駄!」)からだろうなどという邪推をしている人は。その考え、ほぼ正解なだけに文句も言えないじゃないですか・・・。
 気を取り直して(立ち直りが早くなければ三文文士稼業はやってられません)、おまけを書きます!!
   新春特別企画:書き下ろしミステリー 『不幸な幸運』 -問題篇ー
 ここに1人の男がいる。名前を阿部礼二(アベ レイジ)という。その名の通り、年収も含めて至極平均的なサラリーマンだ。年齢は37歳。未年の昨年は年男だったが、格別に良いこともなかった。友達以上恋人未満(←うわぁ、表現が昭和)と呼べる女性が複数いるが、その中の誰とも深い関係にはなっていない。いわゆる今どきの草食系男子で、そのうちの誰かと時に食事をしたり酒を呑んだり映画や芝居を観たりはするが、その距離感は保ったままだ。酒も映画も趣味といえるほどのものではなく、ギャンブルも付き合い程度に競馬と麻雀はやるが、これも趣味の領域には達していない。もし婚活でもしていて、趣味の欄に何か書かなくてはならないなら、それはスポーツジムに通うことと御朱印を集めることとの2つになる。そうそう、恋人未満のうちの1人は、彼が通っているジムのインストラクターだ。身体を動かすことは嫌いではないので、天気の良い日に何も約束がなければ、神社仏閣をブラブラ歩く。御朱印はそのついでに何となく集め始めたもので、特定の宗教にハマっていたりするわけではない。正月には住まいの近くの神社に初詣に行くし、両親の命日には墓参りもする。ハロウィーンも愉しむし、クリスマスにだってケーキを食べたりプレゼントの交換をしたりする。こういう風俗習慣に関しても普通の日本人だ。そうそう、今、両親の墓参りといったが、彼の両親は3年前に交通事故で亡くなっており、一人っ子の彼は、親から譲り受けた新宿区にある一軒家に住んでいる。新宿といっても、彼が住んでいるのは、都庁周辺の高層ビル街や歌舞伎町などという繁華街からは少し離れた、大学と病院と小さな商店街のある下町的な古くからの住宅街の一角だ。両親は資産家だったわけではなく、相続したのは30坪ほどの土地とそこに建つ築30年の平屋が主な資産で、株や預金は大したことはなく、かき集めても彼の年収ほどだった。つまり、遊んで暮らせる身分ではないが、あくせく働かなくてもとりたてて生活には困らないという、生活に関してもその名の通りの典型的な中流なのだ。
 さて、例年の習慣に倣って元日に家の近くの神社で初詣を済ませた彼は、家に戻って居間のソファーで、届いたばかりの年賀状に目を通していた。春かと思うほどの暖かい日に、彼は、オイルヒーターを点けっ放しにして出掛けていたので、コートを脱いでトレーナーになっても、ちっとも寒くはなかった。
そんな暖かさの所為か、昨年末と年の始めの曜日周りの所為でゆっくり出来なかったツケが廻って来たのか、いつの間にか彼は、ソファーでうたた寝をしてしまった。
 「礼二さん、礼二さん」
 頭の中に鈴を転がすような声が響いた。ボンヤリした頭を振りながら、上半身を起こして目をこすると、目の前には人影があった。
 「礼二さん、起きた?」
 その人影が彼に微笑みかけている。よく見れば礼二の目の前には、つい今しがた賽銭を投げて手を合わせた先におわした弁財天がいた。その神社には弁財天が祀られており、そこは新宿七福神の1つに数えられている。
 「べ、弁天様・・・?!」
 ついそう口にした礼二に向かって、相変わらず微笑みを湛えた弁財天が、ゆっくりとした優しい声で、
 「礼二さん、いつもお参りしてくれてありがとう。お礼に、今年中に、貴方が毎晩、大金の上で寝られるようにしてあげる」
 「へっ?!た、大金?!」
 弁財天は相変わらず微笑みを絶やさないまま頷いた。
 「大金・・・?!それはギャンブルで、ですか?それとも宝くじかTOTOで?」
 「全部そうとも言えるけど・・・。でも、貴方は未来の運命を知らない方が良いと思うわ。未来は自分で切り開いてね」
 そう言い残して、弁財天は消えて行った。消える間際、ウインクしてくれたように見えた。
 『なんだか西島さんの宝くじのCMみたいだな』
 ハッと気づくと、もう辺りは薄暗くなっていた。初詣から戻ったのは午後2時半頃だったはずなので、2時間近くうたた寝をしてしまったようだ。
 『なんだ、夢か・・・。夢だよな大金だなんて。それにしても不思議な夢だったな』
 礼二は苦笑いした。
 「『夢金』か『芝浜』みたいだな・・・」
 今度はちゃんと言葉が口を突いて出た。そういえば礼二は落語も好きだった。
 「待てよ・・・、初夢ー、初夢っていつ見る夢なんだったっけ?」
 早速パソコンに向かって調べてみると、初夢というのは元日の夜から2日の朝、もしくは2日の夜から3日の朝にかけて見るものらしい。
 「でも”初夢”だぞ。文字通りの意味だとしたら、今年初めて見た夢のことだろう?だったら今のは、正真正銘の”初夢”じゃないか!これをただの”夢”だと無視してしまっていいのか?ひょっとすると、ひょっとするぞ」
 次の日から礼二は宝くじやTOTOはもとより、競輪競馬などの公営ギャンブルにもお金を注ぎ込んだ。ところが、1月は何一つ当たらなかった。ひょっとしてと思って調べた、初夢を見る前に20枚買った年末ジャンボ宝くじも、300円が2枚当たっていただけだった。
 「くそ~、弁天様も意地悪だな~。何が当たるか教えてくれれば、それに全財産を突っ込むのに。でも、こうしていれば、いずれ必ず大金が手に入るんだ。もう少し、もう少しの辛抱だ」
 2月、3月と礼二は1月と同じようにした。が、結果は1月と同じで芳しくなかった。
 『次こそはー』・・・・礼二の挑戦は続いた。
   (問題篇:終わり)
 さて皆さん、礼二さんは弁天様が教えてくれた通り、今年中には、大金の上で寝る生活を手に入れます。それはどうしてでしょう?

 え~、思い付きでこういうことをやるもんじゃないですね。ここまで書いて来て、困ったことが2つ起きてしまいました。
①こういう問題篇になるはずではありませんでしたので、解答篇が異常に短く、かつ、怨嗟の声を受ける様な類のものになること、あらかじめお断りしておきます。
②おまけが長くなりすぎて、『トナカイブルース』の記事が書けません。ということは、心ならずも、解答編も含めて明日この続きを書くということにしないとならなくなってしまいました。
 といったようなわけで、今日は”おまけの問題篇まで”でブログを終了させて戴きますね。申し訳ありませんが、続きはまた明日(誓って”炎上商法”みたいな真似をしたんじゃありませんからね)。