ジョジョ・ラビット | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Jojo Rabbit
監督:タイカ・ワイティティ
キャスト:ローマン・グリフィン・デイヴィス/トーマシン・マッケンジー/タイカ・ワイティティ
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開:2020年1月
時間:108分




今夜紹介するのは『マイティ・ソー/バトルロイヤル』の奇才タイカ・ワイティティ監督が第二次世界大戦下のドイツを舞台に描くヒューマン・ブラック・コメディ『ジョジョ・ラビット』。ヒトラーユーゲント(ナチス青少年団)の立派な隊員に憧れる10歳の愛国少年が,自宅にユダヤ人少女が匿われていることを知ってしまい,少女との思いがけない秘密の交流を通して真実に目覚めていく姿が,戦争への辛辣な眼差しとともにユーモラスに映し出される。出たがりワイティティ監督が,主人公の想像上の友だち(イマジナリーフレンド)であるヒトラー役で出演したことでも話題となったアカデミー脚色賞受賞作。

第二次世界大戦下のドイツ。母のロージー(スカーレット・ヨハンソン)と2人暮らしの10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は,憧れのヒトラーユーゲントの合宿に参加する。そんなジョジョを助ける友だちは,空想上のアドルフ・ヒトラーこと“アドルフ”(タイカ・ワイティティ)。しかし,訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは,教官のクレンツェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)から“ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ,仲間たちからもからかわれる羽目に。

そんなある日,ジョジョは自宅の片隅に,小さな部屋が隠されていることに気づく。そこにこっそり匿われていたのは,ユダヤ人の少女エルサ(トーマシン・マッケンジー)だった。忌み嫌うユダヤ人を前にしてパニックになるが,やがて皮肉屋で口うるさいアドルフやヒトラーユーゲントの教えに反し,エルサに心惹かれていくジョジョだったが…。

登場するドイツ人がみんな英語を話すのに,ちゃんとドイツの匂いがする。何より,マオリ人とユダヤ人のハーフで偏見にさらされて育ったワイティティ監督がヒトラーに扮したことに意味がある。ジョジョの目を通して綴られるジュブナイルものの爽やかさと,社会を風刺するブラックユーモアと,迫力の戦争描写。そこに寄り添うように,同時に自己批判するように常に現れるヒトラー。目まぐるしく色彩を変える音楽と恋愛要素が,この作品の完成度を高めている。

ちなみに,ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイヴィスは,『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や『キングスマン/ファースト・エージェント』の撮影監督ベン・デイヴィスの息子。ローマンの双子の兄弟もナチ・クローン役で出演している。


映画クタ評:★★★★


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