キャスト:吉岡秀隆/堤真一/小雪
配給:東宝
公開:2007年11月
時間:146分
前作の大ヒットを受けて2年後に公開された続編。今夜はまず,前作での山崎貴との共同脚本で,映画デビュー作にしていきなり日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を獲った,このシリーズの脚本家・古沢良太を取り上げておきたい。
代表作である『リーガル・ハイ』(フジテレビ)をはじめ,『探偵はBARにいる』シリーズ,『寄生獣』シリーズ,『エイプリルフールズ』や近作『ミックス。』(2017年・東宝)にも見える彼の脚本の魅力は,“日常のようで非日常な意外性”と,それらが“計算して描かれる面白さ”。散りばめられたパズルを組み立てるように進むストーリーの中で,伏線とその回収が,見る者に心地よさを植え付ける。ドラマ,映画,舞台で数々の話題作を生み出し,それらを“ヒット作”にしてしまう注目の脚本家の1人だ。
今作の舞台は,前作のエンディングから4ヶ月後の昭和34年(1959年)春。日本は東京オリンピックの開催が決定し,高度経済成長期を迎えようとしていた。そんな中,東京下町の夕日町三丁目にある“鈴木オート”に,親戚の娘・美加(彩夢)が預けられることになる。父親の大作(平田満)が事業に失敗し,出稼ぎに行くのだ。則文(堤真一)は快諾するが,根っからのお嬢さん育ちで,下町での生活に馴染むことができない美加。トモエ(薬師丸ひろ子)や六子(堀北真希),そして一平(小清水一揮)にも反発してしまう。
一方,黙って去って行ったヒロミ(小雪)を想い続けながら,淳之介(須賀健太)と親子のような生活を続けていた竜之介(吉岡秀隆)の元に,淳之介の実父である川渕(小日向文世)が,再び息子を連れ戻しにやって来る。人並みの暮らしをさせることを条件に改めて淳之介を預かった茶川。安定した生活と,ヒロミに一人前の自分を見せられるよう,一度は諦めていた“芥川賞受賞”の夢に向かって執筆を始めるのだった…。
オープニングからフルCGの“ゴジラ”の登場で,一気に“三丁目ワールド”に魂を持っていかれる。前作よりもより丁寧に,キャラの一人一人の物語が綴られてゆく中で,特に美加の変化の描写は秀逸。川渕も武雄(浅利陽介)も,そして見る者の全てを,この“三丁目”は温かく迎え入れ,各自の中にある“忘れかけていたモノ”を優しく思い出させてくれる。
第31回日本アカデミー賞では,前作に引き続き吉岡秀隆が最優秀主演男優賞に輝いた。
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◆シリーズ一覧◆
『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』(2012年)