ALWAYS 三丁目の夕日'64 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:山崎貴
キャスト:吉岡秀隆/堤真一/小雪
配給:東宝
公開:2012年1月
時間:142分




続・三丁目の夕日』の5年後に公開されたシリーズ第3弾。前2作では原作漫画をベースに昭和33~34年の下町が描かれたが,この作品の舞台は映画オリジナルの昭和39年(1964年)。ちょうど前回の東京オリンピックが開催された年の物語。2020年の東京オリンピックを控えた今,半世紀の日本と日本人の変化を,感慨深く見つめることのできる1本でもあると思う。劇場公開時には3Dで,とてつもないタイムトリップ感で包んでくれたのを覚えている。

昭和39年。オリンピック開催を控えた東京は,ビルや高速道路の建築ラッシュとなり,熱気に満ち溢れていた。東京下町の夕日町三丁目では,個性豊かな住民たちが元気に暮らしていた。小説家の茶川竜之介(吉岡秀隆)は,ヒロミ(小雪)と結婚し,高校生になった古行淳之介(須賀健太)と3人で仲良く生活している。茶川商店の一角は改装され,ヒロミがおかみを務める居酒屋“新山藤”となった。ヒロミのお腹には,もうすぐ生まれてくる新しい命も宿っている。茶川は『冒険少年ブック』の看板作家として連載を続けているが,新人作家・緑沼アキラに人気を奪われつつあった。編集者の富岡(大森南朋)から「もっと新しい雰囲気で」と言われ,茶川はますますスランプに陥っていく。

一方,鈴木則文(堤真一)とその妻・トモエ(薬師丸ひろ子),一人息子の一平(小清水一揮),住み込みで働く星野六子(堀北真希)が暮らす“鈴木オート”は順調に事業を拡大し,店構えも立派になった。六子にも後輩の従業員・ケンジ(染谷将太)ができ,厳しく指導をする姿はすっかり一人前。彼女無しでは鈴木オートの仕事は回らないほどとなっていた。そんな六子は,毎朝おめかしをして家を出て行く。それは,通勤途中の医者・菊池孝太郎(森山未來)とすれ違い,朝の挨拶を交わすためだった。そんな六子の恋心を温かく見守るたばこ屋のキン(もたいまさこ)は,病院で菊池のとある噂を聞いてしまうのだった…。

多少突飛で雑然としたストーリーではあるが,それこそが“三丁目ワールド”。展開に身を委ね,どっぷりと笑って泣けるというお約束が,キッチリと,最高の形で表現されている,個人的にはシリーズ最高の1本。夕日町の住人たちが生き生きとした5年後の姿を見せてくれる世界で,“実際の5年という時間の経過”と“キャラクターの成長と変化”,そして,すべてのエピソードに流れる“人が人を思いやる愛”が,ノスタルジーと涙腺を刺激する。

単に昭和を美化し,懐かしがって終わりではなく,戦後に別れを告げた高度成長期のピークで,浮かれていた時代の再現性が映し出され,“豊かさと引き換えに日本は何を忘れ,どう道を誤ったのか?”とさえ考えさせられる。”絆”を拠り所に“希望”を模索する今の日本人に振り返ってほしい,3部作の美しい完結だと思う。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)

ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年)