ALWAYS 三丁目の夕日 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:山崎貴
キャスト:吉岡秀隆/須賀健太/小清水一揮
配給:東宝
公開:2005年11月
時間:133分




タイムマシンの登場はまだまだ先になりそうだが,リアルな映像でのタイムトリップが叶う技術の進歩は素晴らしい。3夜連続で,日本を代表するVFX制作会社“白組”のトップディレクター山崎貴監督の魔法で,そんな60年前の日本をバーチャル体験できる作品を紹介しようと思う。

原作は,西岸良平の人気コミック『三丁目の夕日』。スマホもインターネットもまだ夢の話で,コンビニもない時代。現代と比べると不便だが,日本中が活力に満ち,人と人のつながりも深かった。そんな古き良き昭和の世界が再現されるこのシリーズ。時代はやがて平成から次へと進もうとしている今,見る度にその印象を変化させ,懐かしさと新鮮さが入り交じった不思議な感動で包み込んでくれる作品だ。

舞台は昭和33年。建設中の東京タワーを望む下町・夕日町三丁目。ある春の日,短気だが家族想いの父親・則文(堤真一)と,優しい母親・トモエ(薬師丸ひろ子),そしてやんちゃな小学生・一平(小清水一揮)が暮らす小さな自動車修理工場“鈴木オート”に,青森の中学を卒業し,集団就職で上京した星野六子(堀北真希)がやって来る。しかし,立派な会社をイメージしていた六子は失望した様子。そんな六子に一平が,「もうすぐうちにテレビがやって来る」と元気づける。

その“鈴木オート”の向かいにある駄菓子屋の店主は,しがない小説家の茶川竜之介(吉岡秀隆)。秘かな想いを寄せる一杯飲み屋の女将・ヒロミ(小雪)に頼まれ,酔った勢いで,身寄りのない少年・淳之介(須賀健太)を預かることになっていた。縁もゆかりもない淳之介を露骨に迷惑がっていた竜之介だったが,自分の執筆する『少年冒険団』の大ファンだと知ると,満更でもない様子。この2組の家族を中心に,人情たっぷりの三丁目の物語が始まる…。

当時を象徴し,またストーリー中の時間経過を表す建設途中の東京タワー,六子が到着する古い上野駅,街を走るオート三輪や路面電車などをリアルに描くVFX。4億円を費やして作られた巨大オープンセットの夕日町三丁目では,鈴木家が買ったテレビに集まる近所の人々,氷を使った冷蔵庫から電気冷蔵庫への買い替えなど,当時の庶民生活が再現される。特別な政治や事件を扱うのではなく,東京下町を舞台にした,個性豊かな人々が織りなす心温まる人間模様が“タイムトリップ感”を強くさせる。誰もが明るい未来を信じていた60年前が,とてつもなく心地よく“自分も日本人”だと再認識させてくれる。

第29回日本アカデミー賞では全13部門にノミネート。うち12部門で最優秀賞を獲得している。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

ALWAYS 続・三丁目の夕日』(2007年)

ALWAYS 三丁目の夕日'64』(2012年)