329.温泉と紅葉~「あ~!たった一晩留守しただけなのに…寂しくて | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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女三人旅からのチェギョン目線です

 


立ち込める湯気の中 肩が触れそうな距離に皇后様が!!
それだけでも緊張するのに
「シンは…妃宮に優しくしているか?」
ひぃゃっっ!?!?
「や…やだなお義母様 殿下はいつもすごく優しいんですよ?」
「そなたに シンのことで友人と仲たがいさせてしまって申し訳ない
あの子は閉塞的な世界で生きてきたゆえ 外の者との接し方が不十分であろう?」
「そんなこと… いえ… 確かにありました 私にも 周囲の人にも …いつもみえないバリアを張ってました
でも今は 随分変わりました 私にも周囲にもよく配慮してくださいます」

「妃宮を妃に迎え入れて 正解だったようじゃな」
いぃっっ!?
いつの間にか反対側の肩におばあ様の肩が!
「そのようです」
皇后様も更に数センチ近づいて来て 肩が触れた
「えぇっ!?」
ああ~んもう勘弁してぇ~~~
「わ…私なんて別になにも…っ!」
「そなたの真っ直ぐさが シンを変えたのじゃ
イ・スンレがもっと早く通わせてくれておれば…」
「そうは言っても 母親としては娘に傍にいて欲しいものですし…」
「ほっほっ 그것은/クゴスン/それは…鉄砲玉のヘミョンの事であろう?」
「ええ…もう… あの子の事は半ば諦め 今や私の娘はチェギョン一人」
「へっ?それはどうゆう…」
「イギリス留学を終えたら 帰国前に世界を旅すると決めているのだとか言いだして…」
「えぇぇっ?!お姉さまが?!」
「ほっほっほっ 一国の公主も今や世間知らずでは成り立たぬのだそうじゃ」
「これ以上勝手にはさせられません 只でさえ婚期を逃しているのに…」
「婚期を逃してるだなんてそんな…お姉さまはまだ大学生なのに…」
ふと気が付くと 皇后さまは眉をひそめていらっしゃった
「あ…いえ…そうですよね…皇室の結婚は…早いんでした…ははは」
笑って誤魔化してもあたしを どこか気の毒そうに見つめて 静かに頷く皇后さまは…何をお考えなんだろう…

「妃宮の肌は…水をはじいて白く輝き美しい…」
「まこと 若いということは無条件に素晴らしいものじゃ」

おばあ様とお義母様の御体をむやみに見ちゃいけないと思って緊張するあたしをよそに お二人はあたしの肌が綺麗だとか腰が括れてお尻は丸くて理想的だとか品評するから恥ずかしくて逃げ出したかった
「お二人とももうヤメテ下さいっ!」
「ほほほ 事実を言ったまでじゃ
シンが他の娘と仲良くしたくらい気にすることも無かろう」
「シンは言い寄られただけで 妃宮一筋です!」
「息子を庇う気持ちは解るが…男は女とは違う生き物なのだ
愛情とは別のところに 自分の遺伝子をより多く残すために愛情には拘らぬ一面を持っておる」
「そんな…」
言いかけた言葉は おばあ様の強い視線と首を横に振る仕草に 飲み込むしかなかった

「史劇ドラマにも出て来るが…儀軌にも記されておる
古の王達は実に多くの側室を抱えておった
権力を得る為に娘を側室にと 親戚を養女にしてまで差し出す輩も多かった
派閥を統制する為に受け入れるしかなかった事も有るだろう
王がいちいち全ての側室を 愛したと思うか?」
一度も脚をお運び頂けない者だって居ると聞いたわ…
それでも一旦特別尚宮として宮に召されたら 幽閉されたも同然 御付きの者と寂しく離宮で待つしかないとか…
あたしは黙って首を振る
「代わりに…愛する者が居っても中殿に迎える事は容易では無い
側室や特別尚宮として傍に置いたが… 格下で内命婦での地位は低い
逆に 愛される事の無かった中殿も… おそらく実際にそのような不遇が有ったはずじゃ
そのような過去を思えば…
万に一つもシンが浮気でもしたとしても…あるいは側室を持てと迫られたとしても…
心はそなたに向いておるのだから 大きな心で居れば良い」

あたしは…一瞬息が止まったかと思った
さらりと仰ったおつもりだろうけど おばあ様 声が強張ってた
でも…肩を並べ正面を向いたままのお二人のお気持ちが ゆっくりと染み込んでくるように 解った
そっか…お二人ともそんな経験を…
おばあ様は長く御子に恵まれず…お義母様はお姉さまとシンくんの間が三年開いてる

「妃宮…私がソンを産んだばかりに重圧も多くなるやも知れぬが…
天のお決めになった通りに事は進むものだ
気を楽にして居れば きっと良い方向へ進む」
皇后様が… あたしなんかに負い目を感じる事無いのに…
「ありがとうございます」
皇后さまは…一層眉を顰めて…あたしを憐れむような瞳で でも何度も首を縦に振られた
おばあ様も 大きくゆっくりと頷いていらっしゃった


翌日も良く晴れた青空の元 古い離宮とお寺で紅葉狩りに興じて…
写真を撮ったり土産物を物色したけど…気分は晴れなかった

これからもし…不本意な事を迫られても理解しなさい…ってことよね…
ゆうべ…寝支度をしていたら 皇后さまがイギサも御付きも伴わずにやって来てあたしの部屋のドアを自ら開けて
「妃宮…何もかも忘れて…そなたと只ゆっくり過ごしたかったのだが…
そうできなくて済まない」
「いえ…連れて来て頂けて 嬉しかったです おやすみなさい」
差し伸べられた手を…避けるようについ 一歩下がってしまったのは…何故なんだろう
きっとその一言を言うために おばあ様がお休みになるのを待って わざわざいらしてくださったのに…
そんなあたしの所為か もうそれ以上は 何も仰らなかった

帰路の車窓は紅葉した山々を眺めてた ひたすら何も考えないようにしながら


愛情とは別のところに それに拘らず遺伝子を残そうとする…か
好きな人が居てもあたしとの結婚を受け入れて…子孫を残すつもりのシンくん…
もしあたしがシンくんの子を授からなかったら…

いいの いい…
いくら考えても成る様にしか成らない 皇后さまの言う通り 気を楽にしてればきっと…すぐに…
ううん もう何にも考えずに紅葉を楽しもう!
景福宮の銀杏の葉も…黄色に染まったかな…
去年の今頃は…まだ離婚してやれないなんて言われて泣きたくなっちゃったけど

 

 

その約束を帳消しにして欲しくてやっと好きだと伝えたのよ

 

 

告白してからのシンくんは…急に男の子らしい要求をするようになって…ドキドキしたっけ
はぁ…早くシンくんに会いたくなっちゃった
あ…また考えちゃった(笑)


帰宮するとまず車寄せで出迎えてくれたチェ尚宮お姉さんに飛びついた
「あ~たった一晩留守しただけなのにお姉さんに会えないと寂しくて!」
「まあ 妃宮さま 随分お上手になられました」
「妃宮さま私達は?!」
「ニャーン」
パン女官お姉さんとチョン女官お姉さんがJiJiを抱っこして駆け寄って来る
「あはは お姉さんたちもJiJiも 会いたかったよ
ところで…あの…シンくんは…」 
「殿下は 皇帝陛下と思政殿(サジョンジョン)…いえ千秋殿(チョンジュジョン)で執務中で御座います」
思政殿の両隣に有る千秋殿と萬春殿(マンチュンジョン)は…オンドル(床暖房)部屋
そっか すっかり寒くなっちゃったから執務室 移ったんだね

会いたいな…
ウズウズ…
行ってみちゃダメかな?
ダメだよね…でも…こっそり覗くくらいなら…いやダメか
ガマンガマンッ!

あ そうだ!
「コン内官のアジョッシ~~~ッ!」

 

 

 

 

今日もありがとうございましたカムサハムニダ
続きは2/1(月)→330.貴い娘~やれやれ…無事に帰ってくれねば困るぞ妃宮

 

 

 


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