319.ビブリオテーク・ナショナルⅡ~何処に行きたいの?なんだったら僕が案内するよ? | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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きらきら初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください


昨日シンくんが遊覧船の上から怖~い顔して睨みつけてたガラス張りの近代的な建物 ビブリオテーク・ナショナル
今日は逆に その建物の中からセーヌ川を見下ろしている
といってもあたしだけ シンくんは今 会議中
去年来れなかったあたしは その間に 『外奎章閣図書』の現物を見せて貰うことにした

296冊全てではないし 手に取ることさえできなかったけれど ガラスケースの中に在るそれらは ああ もう なんて素敵なのっ?!
絹に韓紙…真鍮 美しい装飾 図画署(トファソ)の絵師たちが描いた図画の数々 これはもう図書館に在るのが勿体無いくらいの芸術品よ
描かれているのは儀式の風景 衣装 小道具 楽器 祭事の料理
こっちは…この儀式の招待客リストだろうか…
お城の建築工事について書かれた書にも 沢山の人の名簿が…
いにしえのお役人達の あたしには読解できないくらい達筆な文字で 数百年前の朝鮮の全てが書かれているんだ…
あたしは思わずゴクリと生唾を飲んだ
学者さんたちにこれを研究してもらって あたし達の…韓国の未来に役立てたい
皇室の一員になってまだ浅いあたしでさえそう感じた

でも… 『外奎章閣図書』に目を通したあとは
む~ すっかり暇を持て余しちゃった
あたし 美術館なら全~然飽きない自信有るんだけどぉ… 図書館はちょっとね…(汗)
なんか読もうにも殆どフランス語だし… うっかり手を出して 人目の有る閲覧室で居眠りでもしようものなら 後で厳粛な皇太子様にガツンと叱られちゃうからね~ あはははは~

セーヌ川を行き交う遊覧船や 河川敷を歩く恋人達や公園でキャッチボールしてる子供たち ランニングしてる人 自転車 それらを眺めながら
明日は何処に行こうかな…いやそもそも行けるのか?
新婚旅行ごっこは昨日で終わりだったなのかな~?
会議はどれくらいで終わるんだろう?
スムーズに解決するんだろうか…あたしにできることなんて… ナイか?

あれ?
チェ尚宮お姉さんは何処行ったのかな?
振り返ったらそこに居たアジア系の男の子と 目が合った
いや男の人?…年の頃はあたしとそう変わらないくらいか?
そんな事を考えてたら声を掛けられた
「君…もしかして韓国人だったりする?」
あ…韓国語だ
でも良かった あたしのこと 知らないみたい
イギサのお姉さんが目の色を変えて部屋の隅から駆け寄ってこようとするのを あたしは咄嗟に小さく首を振って止めた
「え ええ貴方も?」
「残念 僕は一応これでもフランス人
母さんが韓国人なんだけど 韓国には行ったこと無いんだ」
ああ…なるほど それでね
「一人旅なの?」
「ううん!とんでもない!あたしフランス語は全くわかんないの 此処へは…
か…彼の仕事で来て 仕事が終わるのを待ってるの いつ終わるんだか…
スムーズに行くといいんだけど…観光なんてきっと出来ないわ」
「へぇそうなの?残念だね…何処に行きたいの?なんだったら僕が案内するよ?」
「ふぇっ?あ~ そうできたらどんなにいいか…でも多分無理だわ」
「変なの 連れてきておいて放ったらかすんなら 連れてこなきゃいい
しかもフランス語の本読めないんだろ?なのに図書館なんかで待たせて可哀想に…自由に観光もさせてくれないのか?」
え?いやそんな… 色々事情が有っての事だし…
さっきまでチェ尚宮お姉さんが一緒だったのよ?
振り返ったら居なくて たまたま今は一人だけど あたしは全然可哀想なんかじゃ…
説明するのもくどいし…
あたしはオーバーアクションでクェンチャナヨ(平気だ)というしかない
「いいのよ!もう昨日一緒にパリの街を散策したの いっぱい色々買って貰ったし
あたしが海外旅行に連れて来て欲しくて実現したんだもの 充分満足よ?
あ でもルーブル美術館には行きたいな~」
「へぇ!観光スポットとして行くには随分地味なセレクトだね?」
「ああ違うの あたしこれでも芸術高校の美術科を卒業して 大学も芸術学部に通ってるんだ」
ちょっぴり得意げに話すと…なんと!
彼も美術系の大学生でアメリカに留学中で 近代美術を専攻してるんだって
「ルーブル美術館は勿論素晴らしいけど…」って 近代美術を取り揃えたおススメの美術館を紹介してくれたの

そんな場面で…急に痛みを訴え顔を歪めたまだ名前も聞いて無かった彼
その手を掴んでいたのは…超不機嫌な表情の韓国の皇太子殿下イ・シンくんその人だった
うわっ 何っ?!すっごい怖い顔してる~
ハッ!
あたしは いつぞやシンくんが済州島でミノの腕を捻り上げた事を鮮明に思い出した

107.済州島皇室リゾートⅡ~目を閉じてても感じる…あの唇が…

お前はもう韓国の皇室の一員で 気安く触れられる躰じゃないんだって 凄い剣幕だった…

イケナイッ!また肩に触れられてた~っ!? 
で でもこの人は韓国人じゃなくてフランス人で あたしの事なんて韓国の普通の女子大生だと思ってんのに
わざわざ「皇太子妃であるぞ!ひれ伏すがいい!」とか言えないよ~(泣)←(いやそんなあなた…誰もそこまで言えとは…ははは)


「テオ!…★△?▼#&▲☆*…☆※★*?…●+◎▽*?○÷!!!」
駆け寄って来た館長さんが フランス語で怒鳴り散らしながら彼に向かって拳を振り上げてる
「◎?●?▼#&▲☆*…*?…●+◎▽*?!?Princess??!!!」
と その拳から逃げまわる彼もフランス語 …あ… 聞き取れたのは”テオ”と”プリンセス”だけだった
テオが…彼の名前?…なんか彼 館長さんに怒られてる?ヤバイ…?
彼はおそらく…言い訳をしてる まさかあたしが韓国の皇太子妃だなんて思わなかったって…
あっ!シンくん!何その顔!
ニンマリしちゃって 人の不幸を喜んでるのね!?

芸高祭のダンスのあとの…キスを思い出した

113.50周年の芸高祭Ⅲ~お仕置きだ…

大勢の生徒たちの前で おおっぴらにキスされて… 女の子達は羨んでいたけど
あれは羨むようなものじゃ無かった
勿論 愛されていたんなら 恥ずかしくても嬉しかったかもよ?
でも…
あのキスは まるで自分の持ち物に記名するくらいの軽さでありながら 逆に重く重要な意味を持ってた

あの頃の彼は…
不慣れな事をさせられて必死になってるあたしの境遇を 面白がって いつもおちょくってた
あの日も 不慣れなダンスのラストでヘマしてすっ転ぶ寸前だったあたしを とりあえず助けて置いて キスしたあと… ”ザマーミロ”なんて言って シニカルに嗤った
皆の目の前で 貴い彼からの口付けを受けたあたしは それまで居た世界から残酷に切り離されたの
解っててそうしたくせに シンくんはまるでちょっとからかっただけみたいに何食わぬ顔で あんな…
あたしにとっては衝撃的な出来事だった
その事に 誰も気付かないから余計もどかしくて悔しかった
今でも思い出すと切なく成る 他人の面倒を見るのは苦手だとか平気で言う 冷たかった彼の記憶

そうよ!ちょいちょいあたしを傷付けては 満足気に嗤ってさ
冷たくしたり優しくしたりして きっとあたしを飼い馴らそうとしてたんだわ

 

結局あたし 好きだとか言っちゃってさ…
っち…シンくんの思う壺だよね だって元々好きだったんだもの ふ~んだ

(あれれ?あの日シンくんは(渋々だけど)そうじゃないって言ったのにな~ →         

234.バチェラーパーティーⅣ~ショックって… なんだよ?そんな風に思っていたのか?

やれやれ…
だいぶ丸くなったと思ってたけど…王子病は簡単には抜けないのね…
やっぱりシンくんにとっては フランス人だろうと庶民は庶民でしかないんだわ…

館長親子の追っかけっこを眺めつつ そんな事を思い出して哀しくなるあたしを振り返ったシンくんの表情が…うぬっ!?怒ってる?
な…何よ?
「こらっ!俺はお前のナンピョン(夫)じゃなくてナムチン(ボーイフレンド)だったのか?」
うげっ!ヤッバ!…ここは…逃げとこっ ビュンッ!!

 

 

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
続きのお話が書けていなくて 更新ペースをスローダウンしてます
暫く金曜日はお休みします
続きは11/16(月)→320.ラプンツェル~いいのか?早く俺を置いてバスルームに行けよ
 
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