317.長く伸びた影~あの日を今日思い出したみたいに いつか 今日を思い出す | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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きらきら初めての方は本編
はじめましてから順に読み進めて読みください

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前話→316.セーヌ川から眺む~明日の事…まるで考えてなかったのはあたしだけだよね…
に引き続きチェギョン目線です


ガンヒョンにはクラシックな洋書の形の小物入れ ヒスンはPOPな色合いのアクセサリーハンガー スニョンには取っ手が硝子の靴になってる乙女チックなアンティークの小物入れ
ユル先輩とミルには普段使いに良さそうな洒落たペアのシャツとブラウス… ミニョンさんには黒猫と白猫のピアス… モネには… アッパオンマには チェジュンには… おばあ様には… 両陛下には… おっとイケナイ恵政殿皇太后様にもね…
あ~ お土産だけでこんなに買っちゃった

「お前自分の物は何か買ったのか?」
「あ~ まだ…」
「あんなに可愛いを連呼してたのに とっておきは無かったのか?
可愛いの基準値が低すぎるんじゃないのか?」
「ぶぅ~ 違うもん!全部ホントに可愛いの!
でもさ 欲しい物を一つだけ選ぶのって 楽しいけどどこか寂しくも有るよね…」
「?」
あ…この人は全然解ってないな?
ひとつを選ぶことは他を全部捨てる事と同じなんだぞ!
シンくんはふたつ望めばふたつとも手に入る暮らしに慣れてるんだもん仕方ないよ
こういう感覚の違いは そうそう埋まらないもんよね…

あたしは…シン君を選んで…全てを捨てたのに
シくんは何一つ捨てたりなんか… してるか…
でも!断然あたしの方が多くを手放したわ!
そういう問題じゃないか…こんな只のショッピングでどんだけ思考飛ばしてんだか…はは

「こら 今なんか諦めただろ?」
「あれ?バレました?」
たまたま握ってた手のりサイズのカエルとカタツムリのタオル地のぬいぐるみを チャクリと奪い取られる
「悪趣味だなこんなもんが可愛いか?却下だ」
諦めたのはそれじゃないのに(笑)
でも… シンくんがそうくると別に欲しかったわけじゃないのに つい意地になっちゃう
「うそ やだ~ 返してよ~ ソレ買うんだから! すみませ~ん コレいくらですか~?」
「こら!そんなの誰が必要なんだ!?」
「忘れてるの!シンくんには可愛い弟がいるじゃない!」
「ああ…ソンに…?」
「うん…」
”あたし達もソンみたいな可愛い子が欲しいね…”
すんなり口を突いて出てこない言葉を口に含んだまま シンくんのほっぺをカエルのぬいぐるみでパンチした


「楽しかったな」
「うんっ」
って 大好きな声を振り返れば…
両手に紙袋を下げた長身でスタイルのイイ超イケメンが立ち止まって… スキップしながら歩くあたしを ちょっと呆れたように見てた
紙袋からは 透明のビニールにリボンをかけられたカエルとカタツムリのぬいぐるみも飛び出してる

こんな風にこの人に 荷物を持たせてパリの夕暮れを歩いたりして いいんだろうか?
この人は… 明日には皇太子殿下に戻らなきゃならないけど 今は只のイ・シン あたしの旦那様… で いいんだよね?
手を伸ばしても届かない距離まで先を歩いてた事に気付いて 急いで縮めた
勝手に前を歩いたりして! あたしってばバカね
可愛く見られたかったら一歩後ろを歩かなきゃ!
なのに彼は黙って 繋いだ手が離れないようにしっかりと指を絡めてくれた
胸に じんわりと わけわかんない何かが込み上げてくる
照れ隠しに 無駄遣いだと指摘した
結構なんだかんだでいっぱい買ったのはあたしの方なのに… あのシンくんが一言も反論せずにそうだなって言った…それも な~んか楽しそうに へへ

ふと 中学の頃 少ないお小遣い握り締めてガンヒョンと明洞を散々歩き回って買い物した日を思い出す
夕焼け色に染まる街を並んで帰る影が長く伸びて…ちょうど今みたいに 楽しかった一日が終わってしまう寂しさに襲われた事 妙にハッキリ記憶してる

あの日を今日思い出したみたいに いつか 今日を思い出す日がきっと来ると思った

「シンくん あたし 今日の事絶対忘れない」
「ああ 俺も
でも またいつかこんな時間を持てるように 努力するよ」
「ううん いいの その気持ちだけで充分だよ ありがとうシンくんっ!」
「ごめんな…ホントは ソウルの街が良かったよな…明洞(ミョンドン)とかさ」
あ…
そんなはずないのに 今 あたしの脳裏に在るノスタルジーをシンくんに見透かされたようで くすぐったかった
「な~に言ってんの!パリだよ!パリ!皆に自慢しちゃうもんね!へっへ~ん♪」
「さ~て 夕飯は何かな~ ご馳走食べまくるぞっ! お~っ!」
今日はまだ終わらない
あたしはわざとはしゃいでシンくんと繋いだ手を天に突き上げた

「お前は今日ランチを食い過ぎたから 質素にとチェ尚宮に連絡してあるぞ」
「ええぇっ!?そ…そんなぁ…うそでしょ?うそだよね?」
「何言ってるんだ 持ってきた服が入らなくなるぞ」
「え~!じゃあさ買えばいいじゃん!ほら 此処はお洒落の街 フランスのパリだよっ!」
「あぁっ?どの口が言ったんだ?国民の金で贅沢するなって」
「えええっ!今それを持ちだす!?
ほら 今日は新婚旅行の真似事したけど 明日は国立図書館に行って抗議するでしょう?
朝鮮王朝の大切な儀軌を返して下さい!って 大事なお仕事だよ?!
腹が減ってはいくさは出来ぬ!って言うじゃない」
「は?お前は戦しに来たのか?怖いな…
戦なんてしない 交渉するんだぞ 友好的にな」
「そ そんなの解ってるけどぉ~」
「なら良かった 質素な食事で明日に備えて早く休もう 歩き回ってくたびれたぞ」
「ええ~やだよぉ 殺生なぁ~ 歩き疲れたからご馳走が必要だよ!!
あたしはフランス料理食べるのをすんごく楽しみにしてるのにぃ~~~」

シンくんてホント意地悪なんだから!
「笑ったなぁ~!!」
「あ!ずる~い!殿下!走ってはなりません!」
「ここはフランスだ!宮中のしきたりは忘れろよ!」
ぐんぐん走ってくシンくんは 声を上げて笑ってる なんか楽しい!
「ちょっと!妃宮を置いて行く気なの~!?
待ってよぉ~ シンく~んっ
待ちなさいよっ!!ヤ!イ・シン!!」
夕暮れのパリの歩道に伸びたシンくんの影が胸に焼き付いた
大好きだよ シンくん
ね シンくん あたしの事 どれくらい好き?



今日もありがとうございますカムサハムニダ
金曜はお休みします

 
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