314.初対面~そうか?前からだろ? | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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きらきら初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください

「チェギョン?そんな所で何やってるんだよ 用が済んだらすぐに戻って来いよ」
壁に張り付いて様子を窺っていたのがバレてて ガシッと腕を掴まれた うぎゃぁっ!
「ば…バレてた? あはははは」
ひえぇ~ん 超カッコワル! 超ダサイ!! 超みじめ~~~!!!

こっちはヒョリンさんのこと皇太子の彼女って噂されてたからよく知ってるけど クリスマスに東宮殿へお邪魔したときはまだ許嫁だと聞かされる前で…
シンくんとは一応挨拶したけど ヒョリンさんとは一言も話さなかったもん…向こうは私のことなんて覚えて無いよね…
シンくんは付き合ってなかったって否定してたけど…真相がどうあれ シンくんがプロポーズして断られたの あたしは目撃した…
留学が決まるなり急にどっから湧いて出たんだか胡散臭い子が 後釜どころかイキナリ皇太子妃になるなんて!
ヒョリンさんにしてみれば自分に好意を寄せていた 超イケてるナムチン(男友達)に 突然変な虫が着いた感は否めないじゃない?
まあ シンくんのおじい様である先帝が決めた正式な相手だから結婚までしたんだけどね
シンくんが訪仏を知らせたとしても わざわざ空港まで会いに来た理由は あたしの事どんな子か 見定めようと思って来たはずよ!

それがよ…天下の皇太子妃だってのに 隠れて夫と元カノとの様子を窺ってるし
バレて首根っこ掴まれてるし…
こんなのが初対面なんて…トホホ 第一印象最悪じゃんか…

なのにシンくんは そんなあたしの胸の内を知ってか知らずか お構い無し
あたしの首をガッチリホールドして ヒョリンさんに向かって あたしには見せないあの飛びきり子供っぽい笑顔を向けた
「ヒョリン!これが俺の妻 シン・チェギョンだ」
笑顔で差し出された手を取り握手を と思ったら
「わぁっ!」
いきなりヒョリンさんに抱き締められた
「ずっと貴女に会いたかったの 初めまして ミン・ヒョリンよ」
そう言ったヒョリンさんは本当に綺麗で堂々としてた
こんな人の胸中を 随分勝手に勘繰ったりしてる自分が恥ずかしくなってくる
「シン・チェギョンです」
ヒョリンさんは…皇太子の彼女と噂されていた頃よりずっと綺麗になってる
夢に向かって真っ直ぐに歩んでいる自信なのかな?


インくんからの電話に ヒョリンさんが惜しげも無く「愛してる早く来て」と言った時には あたしなんて シンくんがプロポーズを断られて失恋したのを目撃した時のようにヒヤリとしたのに
「どうかした?」
って シンくんの眉間の皺を 気にも留めないヒョリンさん 流石 大物だな…
なんて思ってる処にインくん登場で あたしは思わずあんぐりよ
抱き合ってキスをする二人を直視するのは気が引けた
目のやり場に困ってシンくんを見上げると…おもっきし眉間に皺寄せて退いちゃってるじゃん
ううう…ヒョリンさんはよくもまあイケメン皇太子のシンくんをこうも軽んじられるものよね

聞けば二人は幼稚園児くらいから知り合いで小学生の頃はインくんも一緒にバレエをやってたんだって 中学時代もずっと友達で 恋人になったのは それこそヒョリンさんの留学が決まってからなんだとか…
一緒に食事してる間も 二人はずうっとラブラブ
シンくんは…平気かな…ってついついチラチラ見たりして…あたしってば馬っ鹿みたい

ヒョリンさんが留学して シンくんがあたしとの婚約を発表した夏休みから もう二年も経ってる
結婚した頃は”いつか離婚する”なんて言ってたけど それはもうナシにした
シンくんが今でも当時と変わらずヒョリンさんを好きなわけは 無い
それは 解ってる うん
でも 同じ二年の間に 遠距離恋愛の二人がこうも親密になってるのに 毎日一緒に居るあたしたちの間には… 微妙な間があるんだもの…
ううん それも解ってる シンくんには簡単には人に気を許せない事情があるんだもん
その上で 少しはあたしに気を許してくれてる事も 感じる

あたし達 色々すれ違ってきたけど 愛してるし 愛してると言ってくれるし…
お互い 周りの期待に応えてそろそろ子供だって欲しいと思ってた事も ちゃんと確認できた
充分解ってるはずなんだけどな…なんで心がざわざわするんだろう?
お茶とお菓子を前にお喋りを愉しむ間もずっと 時々目を合わせては腕や肩に触れたりスキンシップをする二人 幸せそうなヒョリンさんとインくんを見てるシンくんは 呆れながらも 楽しそうで 優しい顔をしていた
そうね…
きっと 好きだった人って よっぽどの事でも無きゃ嫌いにならないものじゃない?
それが 親友と交際してて順調なら まあいいかお幸せにって思うもんよね…
穏やかに整理できるといいね シンくん

順風満帆のヒョリンさんは 早ければ来年ロイヤルバレエ団に入団できるかもしれないと言う
「入団試験を受けることが許可されれば 試験に受かる自信は有るの」
自信満々のヒョリンさんは やっぱり輝いてる
「凱旋公演楽しみにしてるぞ」
って言うシンくんを真っ直ぐに見据えて当然だと答えられるなんて…本当に凄いな

ところが…
ヒョリンさんが入団したらインくんは軍へ入隊しようと考えてるって言葉で シンくんの表情がグッと硬くなる
その後…話題が変わっても シンくんは相槌をうつばかりで 何か他の事を考えているようにも思えた なんだろう…この感じ あまり良い気分とは言えない


二人が帰ったあと キム内官さんから今後の予定を聞いた後シンくんは 一週間過ごしやすいように持ってきた荷物を自分で整理すると言った
本当に ただ荷物整理をしているだけかもしれないけど シンくんの背中が あたしを拒んでいるような気がして 急に寂しくなった
宮殿を離れて二人でのんびりしたくて 公務にかこつけてこんなに遠くへ来たのに 肝心なあたし達の心が遠く離れてるような気がして 急いでシンくんを捕まえた

「ん?どうした?」
背中に耳をくっつけて聞いたその声が 至って普通だったから 少しホッとした
「シンくん…大丈夫?」
彼が振返ろうとするのをシンくんのボディーにしがみついて阻む なんか色々悔しいから顔を見られたくなくて…
「なんだよ?どうしたんだ?」 
「ヒョリンさん…綺麗に成ってたね」
「そうか?前からだろ?」
うぐ…そりゃあ…彼女が綺麗なのは今に始まったことじゃない
あたしから言い出しておいて拗ねるのも筋違いだけど でも! そんなにあっさりと悪びれもせず妻以外の女性の魅力を認めなくても…
まあ…あなたの妻は美人の類(タグイ)じゃないから…比べる対象にもなりませんよね
ぷ~んだ!
「むう…それは…そうだけどぉ…
インくんと…すごく親密なんだね…驚いちゃった」
「なんだよ 羨ましいのか?」
羨ましい…って言葉が当てはまるのかなんだかよく解らなかったけど シンくんのたった一人の特別な女友達であり インくんにあんなにも愛されてるヒョリンさんが 羨ましいのは確かかな…
「………羨ましいよ」
口に出して見ると 驚くほどしっくりきた ふふ ヘンなの

腰に巻き付いて拗ねてたあたしを… どうやったんだか魔法みたいにするりと躱して その胸に抱き寄せてくれる

「羨む事なんか無いだろう?アイツらは普段遠く離れているんだ 長い夏休みくらいしか一緒に過ごせないんだから 俺達はいつも一緒で羨ましいとインも言ってたじゃないか うん?」
低く甘い声
射竦められそうに意地悪なのにどこか優しい瞳
指で髪を梳くように撫でてくれる
こんな風に優しく諭されたら…あたしもかなり幸せ者じゃんって思えてきて…
もう何を拗ねてたんだか解らなくなってくるよ…
ホントあたしって単純
「こっちに来る前あたしの言ったこと…覚えてる?」
「忘れるもんか 心配するな 俺がただのイ・シンでお前が只のシン・チェギョンで 誰にも気兼ねしないで居られる時間が欲しいんだろう?」
そうだよね いじけてないで 負けないくらいラブラブに成っちゃえばいいんだ!あじゃっ!

早速シンくんの為すままに 穏やかに始まったフランス最初の夜が 更けて行った


今日もありがとうございますカムサハムニダ

 
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