313.シャルル・ド・ゴール空港~愛してる 早く来て | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→312.初めて二人で海外公務~ どういたしまして 俺は胸の中で呟く
に引き続きシン目線です

 


内人達によって入国審査を済ませ 荷物を積み終わるまで待機する部屋の前で壁に凭れ トイレに行ったチェギョンを待って居た俺の耳に その声が届いた
「シン!」
こんな嬉しいサプライズだ 自然に顔が綻ぶのは止められない
「ヒョリン!どうしたんだよ
わ~ 一年ぶりだな 今回は連絡してなかったのに どうして解ったんだ?」
「インよ コッチに来てるの 夏休みは丸々こっちで過ごすんですって 小さな部屋を借りてるのよ?」
俺が先週インに電話した時 インは既にフランスに居て その部屋で一緒に過ごして居たところで… 二人で空港に迎えに行って驚かそうと思って黙っていたのだと言った
「へぇ~ やるなぁ」
俺は フランス映画で若いカップルが仲良く暮らすアパルトマンを思い描いてニンマリする
「あ!勘違いしたでしょ!私はちゃんと毎日寄宿舎に帰るのよ?!」
「なんでだよ 一緒に住めばいいじゃないか 夏休みは帰省する者も多いんだろう?」
「スクールは夏休みだけどバレエ団は夏の公演真っ盛りなの 休みなんてないんだから!
それに ルームメイトのリサがパリジェンヌなの 彼女帰省しないから
でも寄宿舎はガランとしてるでしょ?
一人にするのも悪いし 私も自主練はちゃんと毎日やりたいから…インの部屋に行くのは公演に出ない日の午後だけ
勿論門限までには帰るわ…」
とそこまでは普通に話していたのに…
急にからかう様な目つきに変わる …ん?

「ねえ 今回は奥さんも一緒なんでしょ?ちゃんと紹介してくれる?」
流石ルームメイトがパリジェンヌだというだけあって 流暢なフランス語でそう言った
な なんだよ… 俺の語学力を試してるのか?
「やだね お前 俺の妃に意地悪するだろう?」
俺もフランス語で返す
くすくす笑って俺に耳打ちする
「貴方の可愛い奥さんがあの壁の向こうからこっちを窺ってるわよ?
いつかもこんなことが有ったわね…懐かしい
まだ牽制し合ってるの?好きなら好きとハッキリ言わなきゃ」
げ なんだよそれ
チラリと視線を泳がせば 確かにチェギョンらしい姿が 陰に潜んでこちらを窺っているのが 対面の硝子に写っている
「ふん バ~カ 余計な御世話だ 仲良くやってるさ」

ちょんとヒョリンの額を小突いた俺の手を引いてギュッとこの腕に縋りつく 夏服のヒョリンの胸の感触が 腕に伝わる
こら!何するんだよ チェギョンが見てるだろう!?
コイツ!面白がってわざとやってるな
「言ってるさ 愛してるんだ 解ったよ ちゃんと紹介してやるから 俺をからかうなよ」
ヒョリンの腕をほどきながらそう言う俺を 可笑しそうにくすくす笑うその笑顔は 相変わらず奇麗で憎たらしかった

「チェギョン?そんな所で何やってるんだよ
用が済んだらすぐに戻って来いよ 待ちくたびれたぞ」
つかつかと歩み寄り 壁の向こうのチェギョンの腕を掴む
「えっ!?うそ…ば バレてた?」
俺は無言でチェギョンの潜む姿が写っていた対面のガラスを指さす
「や…やだな カッコ悪…あはははは」
チェギョンの首に腕を回して引き寄せ背後に回る
「ヒョリン!これが俺の妻 シン・チェギョンだ」
ヒョリンも近付いて来て チェギョンへと手を差し出す
「嬉しいわやっと会えた!」
チェギョンは…突然現れたヒョリンを警戒しているのか おずおずと 差し出された手を取り握手を交わす…
かと思ったら チェギョンの手を引き寄せたヒョリンが俺から毟り取る様にチェギョンをその懐に包み込んだ
「わぁっ!」
慌てるチェギョンをひとしきりハグして満足気に開放するヒョリンは 眩しい笑顔で
「ずっと貴女に会いたかったの 初めまして ミン・ヒョリンよ」
そう言った

チェギョンも驚いたが俺も驚いた
ヒョリンってこんな風に初対面の相手にフレンドリーだったか?
もっとこう…俺と同じで…
周囲に壁を作って踏み込ませないような…警戒心の強い子だったような…
「シン・チェギョンです」
「可愛いわ 遠くからこっそり見てた時思ってたよりもずっと 何倍も!
シンがメロメロに…」
こら!何を言う気だよ!
「おっと!それよりインは?一緒なんだろう?」
ヒョリンの言葉を遮って話題を変える
「もう来てるかと思うんだけど…此処で待ち合わせたから」
丁度ヒョリンの携帯電話が着信音を鳴らす
「ええ 今会えたわよ! ええ うんそう 待ってるわ 愛してる 早く来てね」
俺はその会話に耳を疑う そんな風にあっけらかんと電話なんかで愛してるとか早く来てなんて言い合ってるのか?

早く来て…か なんか…やらしい響きだな…
「どうかした?」
電話を切ったヒョリンは 明け透けな愛情表現に唖然とする俺とチェギョンを 怪訝な表情で交互に見る
「あ…いや…なんでもない」
妙な妄想してる事がバレたかと しどろもどろに成りかけたところに インが現れた
「ヒョリン!」
「イン!」
駆け寄る二人はまるで映画のワンシーンのように 抱き合ってキスをした
おいおい…やっぱり去年よりずっとエスカレートしてるぞ?!
目のやり場に困りふと周りを見渡すと 同じように再会を喜ぶカップルがウジャウジャ居た
ああ…此処はフランスだったんだっけ?
でも…お前らは二人とも韓国人だぞ しかも久しぶりに会ったならともかく昨日も会ったんじゃないのか?!大体イン…俺と会うのも結構久しぶりだぞ?
っと 呆れ果てて眉間に皺を寄せている俺をチェギョンがマジマジと見上げていた
「なんだよ?」
「えっ?!いやその…えへ…あは…あはははは~」
変だぞ?
いくら知り合いのキスシーンが珍しくても そんなに挙動不審になること無いと思うが…

インとヒョリンを迎えの車に一緒に乗せて ホテルへやって来た
四人で食事している間も 手に触れ顔に触りスキンシップする二人は 俺達が居る事なんか忘れてるんじゃないのかってくらいイチャつく
お前らいい加減にしろよと言う俺に あっけらかんとインが言う
「お前らはいつでも一緒に居られるから解らないんだよ 久しぶりに会うと燃え上がるんだ
ここはフランスだし 人目なんか気にもならない」
燃え上がる…か…参ったな…

ヒョリンがロイヤルバレエスクールに編入して丸二年 早ければあと一年でバレエ団に入団できるかもしれないと言う
「入団試験を受けることが許可されれば 試験に受かる自信は有るの」
「そうか…凄いな 頑張れよヒョリン 凱旋公演楽しみにしてるぞ?」
「ええ 勿論よ」
「だけどイン ヒョリンが入団したら今よりもっと会えなくなるんじゃないのか?」
「ああ…だから俺 そうなったらちょっと早いが軍に行ってこようと思ってる」
「軍か…」
俺は言葉を失う 韓国男児の義務
なのにと言うべきか… 次期皇帝の皇太子である俺には無縁のもの
インは 俺とは別の意味で言葉を失くしたヒョリンに笑みを向けて言葉を掛ける
「そんな顔するなよヒョリン 誰だっていつかは行くんだ」
俺は行かないけどな…
「解ってるけど…」
そしてまた イチャイチャが始まる
やれやれ 参ったな チェギョンが目のやり場に困って俺に救いを求めてくるから 俺も困ってしまう

イン達が帰った後やっと 届いた荷物の荷解きをしていたら 急にチェギョンがつつついとやってきて ピタッと背中に張付いた
「ん?どうした?」
「シンくん…大丈夫?」
振返ろうとしてもしがみついて顔を見せまいとする
「なんだよ?どうしたんだ?」 
「ヒョリンさん…綺麗に成ってたね」

 

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ

 

 

金曜日はお休みして 続きは10/26(月)です→314.初対面~そうか?前からだろ?

 
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