264.揺れる心と卒業~苦くて甘い感情が着慣れないチマのチョゴリに隠れて見えない細い紐のように | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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卒業式前の最後の登校日 スニョンとヒスンにせがまれて 卒業アルバムに皇子のサインを貰うべく ランチルームに赴くチェギョン達に付いて行ったら
う… ギョ ギョン… なんであんたまで居るのよっ!

冬休み 私達の贈ったナイトウェアを身に着けて ついに皇子とそうなった…////
と報告してくれたチェギョンは それから2ヶ月の間に すっかり皇子と仲良しになっちゃったのね…
でも私には スニョンやヒスンみたいに イチャイチャラブラブな二人を見慣れるなんて事はまだ難しくて… つい目を逸らしちゃう
あ゛ 別にケガラワシイとかじゃなくてよ?
…なんていうか 眩しすぎるっていうの かな…
幸せオーラに包まれてて…
…別世界に行っちゃった二人 みたいな

私のカワイイチェギョンは もう居ないんだな…
なんて 思ってたらギョンと目が合った
ヤだな…
あんたまでナニ目逸らしてんのよ 大人の関係になった二人を直視できないお子様な私と違って… あんたはそんなのへっちゃらでしょうが


スニョンの叔母さんの店に行く予定だったのに ギョンがご飯食べて帰ろうなんて言いだすから逃げ帰りたい気分だった
正直 これ以上ギョンと居たくなかった…
だけど どうせ行けないとは解ってはいたけど…
行きたがるチェギョンが皇子からダメ出しを喰らってて…
そんなチェギョンを想うと 逃げ帰るなんて間違ってると思った
今 ギョンから逃げてたら 友達にも戻れない
関わりなくなっちゃうよね…ギョン王立大学だし…
喧嘩らしい喧嘩もしてないけど 一応ちゃんと…和解?しなきゃよね…

はっ!
ぼんやりしてる間に 感じ悪い女が皇子とチェギョンに話しかけてきた
御近付きになりたいとか…東宮殿にお邪魔させてくれだなんて 私達でも気安く言えないのに
皇子も黙っちゃってヘンだったし…何者!?と思ってたら
王族で 音楽科の声楽コースの女で… 先週だか 国民栄誉賞を受賞したんだって


あの女が話しかけてきてから 皇子明らかに変だったから
何か有るのかと思ってたら…
ファンのお母さんが経営するお洒落なカフェの二階で カン・インが教えてくれた

「あの女さ… 実は シンとヒョリンの写真を新聞社に売った女なんだ…」
更にこうも言った
「音楽室から出てくる二人を撮影したとこ捕まえたんだけど 只の皇室マニアだと思ってたのに
スキャンダルになっただろう?言わなきゃと思ってたのに 色々有ったあと夏休みに入ったし すっかり忘れててさ…
シン… この前の受賞祝賀パーティーで あの女に渡された桃のシャンパン飲んでアナフィラキシー起こしたらしい」
納得…危険人物だから警戒して口を利かないのか…

「でも東宮殿に遊びに行きたいって言うのは流石に断るべきじゃ…?」
「とにかく なんか 俺たちには話せない裏事情があるんだろうな」
事情ってなんだろう…チェギョンは知ってるのかな?
皇子の様子がおかしかった理由 あの子もちゃんと解ってる?
じゃなきゃまたあの子 不安になっちゃうよ?
そうやって
私がチェギョンを心配して暗いの渦の中に囚われている間に みんなで翌々日の一般参賀に 一緒に行くことが決まってた
皇室マニアのスン姉妹に付き合って景福宮へ行った事は有るけれどあの時はチェギョンもこっち側だった…
今度はそこに… 皇子の隣に あの子が チェギョンが並んで立つんだって


チェギョンは いつもの人懐こい笑顔と違う プリンセススマイルをしていた
美しい大礼服とカチェを身に着けて皇子の隣で笑うチェギョンはもう…
私の可愛いチェギョンは もう 本当に居ないんだね…

ギョンが またご飯食べてこうとか言うから 私は 昨日行きそびれたスニョンのおばさんの店がイイと言い張った
店の前で躊躇するギョン
フンッ!何さ!私達の三年間の想い出よ!?
ギョンなんか 嫌なら来なきゃいい!
「ガンヒョン 御曹司くんたちの口に合うわけないじゃない ほかの店に行こうよ~」
謙遜なんかすることないじゃない!美味しいのに!!
半ギレ気分をなんとか押さえて馬鹿にした顔でチラリと見ると 意外にもリュ・ファンとカン・インは平気そう
だけど やっぱりギョンは抵抗感じてるのね
一年半ギョンと過ごして こういう大衆食堂に入った事なんて一度も無かった
私とは住む世界が違うって事 今頃実感した?
それでも
「別に普通にみんな食ってるじゃん ギョン何躊躇ってんの?」
ってカン・インの言葉とあたしの視線が悔しかったのか
「た ためらってねえよ!」
って言い張って入った

ふふふ
真っ赤なトッポギやチゲ鍋が出てきてギョッとしてる
でも…
食べてびっくり なんだ美味いじゃんっ!て顔してるギョンが可愛く見えた
なのに…
スニョンの叔母さんが あんたの彼氏はどの子なの?ってからかって…
スニョンだってそんなんじゃないって言ってるのに

「じゃあフリーなのは俺だけだし 俺が立候補しようかな?」
って えっ…!?
あ…あんた…そるま… あたしの親友まで食っちゃう気なの?!
みんなそう思ったよね?みんなそんな顔してるもん…

「じょ 冗談だよ…なんでそんな驚くの…ヤダナ」
冗談?
ウソ…
冗談でそんなこと言うなんて… あんた… ちょっと 変なんじゃない?
空気読みなさいよね!
「あんたが言うと冗談に聞こえないのよ」
なんとか口をついた私の言葉に…
 
「ヤダなぁ~ 俺だって流石にガンヒョンの親友とそんな…
も~ ガンヒョンは相変わらず綺麗な顔してキツイなぁ…
俺なんだかんだ言って 結局今でもガンヒョン一筋なんだよ?」

は?
何言ってるの?

伸びてきたギョンの指に 髪を掬われて… くるくると弄ばれて…
私の頭は真っ白になってく
頬が熱い…顔が赤くなっていくのを感じて焦った

「ガンヒョンは本当に綺麗だよね
俺 ガンヒョンに振られて自棄になって俺の本当の白鳥を探すなんてほざいてるけど…
やっぱりガンヒョン以上に好きになれる女なんて居ないのかも
今からでも ガンヒョンが心を開いてくれるなら 何でもするのにな…」

ギョン…
あんたどうかしてるわ?
あんたは今や 何人もの女を手籠めにすると周知のプレイボーイなのよ?
そんなあんたが
あんた以外と付き合った事も無い
真面目で美術オタクでダサい眼鏡女の私以上に好きになれる女が居ないなんて そんなの
あんたの相手をした女達が聞いたら ブチギレられるわよ?
勘弁して…
そんな冗談 ダレが本気にするもんですか!
って我に返ってなんか言い返そうと思ったら…
既に スン姉妹に滅多切りされてるギョンは…
すっかり黙りこくって…
「帰る」
と一言だけ言って テーブルにポケットから無造作に出した大金を置いて出て行った

ちょっと!?
あんた馬鹿なの!?
こんな大金 お釣がいくら来るか解ってんの!?
釣!貰って行きなさいよ!

哀しかった
こんな大金を無造作にポケットに突っこんでるって事に驚きはしなかった
知ってたから
そもそも私とじゃ 何もかもが違っていた
微妙にズレてるんじゃ無く 何も一致してなかった

ギョンは相変わらず可愛かった
だけど
肝心な部分が 変わってしまった
以前は私だけに注がれた「好き」って言葉を 沢山の女に平気で言うんだと聞いた
そのくらい…別れたんだからもう仕方のない事…
それでも スニョンと付き合ってみようかと言った傍から
私が一番だとか…
人の心をぐらぐら揺さぶる言葉を軽々しく口にするなんて

そしてそれでも私…
スニョン達に怒鳴られてしゅんとしちゃってるあんたを 可愛いとか可哀想とか思ってる…?

心の奥に居るあんたを好きで諦められない私が 此処に居る
まだ此処に居るって自己主張するの…
お願い もう止めてイ・ガンヒョン往生際悪いわよ!


カン・インとリュ・ファンがしきりに誤ってた
「ギョンのこと 悪く思わないでくれないか?
あれでもガンヒョンに振られてすごい落ち込んで 今も立ち直れてないんだ」
「誤解だよ!
スニョンとヒスンにはギョンがただガンヒョンと寝たいと言ってるように聞こえた?」
「そうじゃ無いけど…でも他の子とは実際そうなんでしょ…?」
「他の女は簡単に寝るんでしょうけど ガンヒョンはあたしらなんかよりずっと乙女なの!
まったく 気安く他の女と比べないでよね!」
「比べてるわけじゃなくて…そもそもギョンの頭の中で 女の子はガンヒョンかそれ以外の女の子か…って それくらいに線引きされてるんだ 解ってやってよ」
「ガンヒョンならわかるよね?チェラチャラしてるように見えて 実は純粋なんだって…」

とにかく 興奮してるスニョンとヒスンには 暖簾に腕押しで…
お釣をファンに預けて 帰って貰った


「ガンヒョン ホントはまだギョンの事好きなんでしょ?
やり直して見たら?ギョンはイマイチ信用できないけど…
いつも傍に居るカン・インとリュ・ファンがああ言うくらいだもん ガンヒョンに振られて壊れてるだけなのかも…」
「え~スニョン!ナニを言うでござるか!女の敵チャン・ギョン!絶対ダメよガンヒョン!」

私はただ 弱く笑うしかなかった

私の中の ギョンを好きなままの私
私さえ心を開いたら… 他の女なんて要らない?ホント?信じてイイ?
馬鹿言わないでよ! 私は… 私は…
イイとこの御嬢さんでも中身は安っぽい御嬢さん達みたいに 気安くあんたと寝たり出来ないの!
だって…あんたのこと…まだ…ううん…ずっと ホントに好きなんだから…

私の事待てなくて 他の女抱きまくっちゃったあんたなんかに気を許したら…
私の鉄の貞操観念も一瞬で崩されちゃうのかも…
どうしよう…
あの頃ギョンとそうなりたい気持ちは… 確かに有ったのに…
今の彼は もう あの頃の彼じゃないから…
あの頃ならまだしも もう信じられない ギョンが何を言っても 後で冗談だよって言われちゃいそうで…
チェギョンが変わってしまったように ギョンも もう 私の知ってるギョンじゃ無い
イイ女をいっぱい知った彼の事だもん…
私の事抱いてみたら なんだ 別に大したこと無かったってがっかりするに決まってる


三年間通った学校を いよいよ卒業する時を迎えても 私の心は曇ったまま
校門前のロータリーまで花のアーチを潜ってく間に 目が合った美術部の後輩に”先輩おめでとう”って声を掛けられた
潜り抜けて やっと… ホントにこれで終わりなんだって実感した
なのに…
あたしの後ろで悲鳴が上がった

そこに居た筈のチェギョンに覆いかぶさる韓服姿の女性はチェギョンのオンマ
それにイギサのお姉さん
制服や頭が真っ白に…小麦粉…?!

見覚えの無い男子が チェギョンを守る二人に袋ごと小麦粉をぶちまけている
靴のラインで 2年生だと解る
でも…ウソ…なんで?ダレなのこの子?!

呆然とするばかりで 身動きが取れなかった
自分でもよく解らなかった
チェギョンがこんな目に合うのは あの子が私の知らない手の届かない人に 皇太子妃になったから…
それ以外に理由なんて考えられ無い

マスコミに果敢に向かっていくスン姉妹やギョン達
迎えの車に乗って去って行く皇子とチェギョン達
取り押さえられている下級生の男も後に来た車に乗せられるのを 私は只見ていた

「ガンヒョン…けんちゃな?」
ギョンの声に 顔を上げた
「…チェギョンが…あたし…何も出来なくて…」
「大丈夫 大丈夫だよ お母さんが守って下さってたみたいだし シンも付いてる」
「でも…」
「大丈夫だ 後で迎えに来るから 今日は一緒に帰ろう ね?」

ギョンに付き添われて 教室へ戻って…
最後のホームルームに チェギョンの姿は無かった
あ 写真撮りそびれちゃった…
大学も別々なのに…!
チェギョン
チェギョンが 手の届かない処に行ってしまった

涙が零れた ポロポロ ぽろぽろ… とめどなく


「ガンヒョン 迎えに来た 一緒に帰ろう」
ギョン…
「平気よ 自分で帰れる」
今ギョンに凭れかかっちゃダメ 私に解るのはそれだけだった
「いいから 今日だけ 今日だけ送らせて?
この前はなんか俺 またガンヒョンに失礼な事言っちゃったみたいだし…」
こんな時なのに 思わず笑っちゃうような事言うの ギョンらしい
しかも笑われる意味も解んないの? ごめんね 疑って
やっぱり あの言葉には全然悪意なんか無かったのね
本心だったんだ…そう思うと
苦くて甘い感情が まるで 着慣れないチマのチョゴリに隠れて見えない細い紐のように
胸がきゅうっと締め付けられる
「しょうがないわね…あんたってホント」

ホントに… やり直せるものなら…
さりげなく私の鞄を取り 肩を抱いてスマートに歩き出すギョンの仕草…
ううん もう無理か…

後部座席に並んで座って 私の手を握ろうとするから 急いで手を引く
「チェギョンの事は シンに任せて置いていいはずだ
アイツ ホントチェギョンを大事にしてるから」
「うん 解った」
「じゃあ…また…」
っていう言葉に意味なんか感じていなかったから普通にうんと言ったのに
また 会ってくれるのかって確認された
そっか…
今のは 適当に返事しちゃダメだったのね?

「今は 無理かな… もう少し時間が経てば」
ギョンが困惑した顔をする
「うん…でも また」

卒業したら きっと会う事なんて 無いわ?
それでも ”また”って言うの?
どうしてあんたって そうなの?


今日もありがとうございますカムサハムニダ
ガンヒョンも 遠くなっちゃったチェギョンとギョンを想って 苦しんでます

3/25(水)は少し遡った215話あたりの裏のお話となります→
215-sideB.幸福の影~もはや肩書きだけの母親でしか…

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