263.似て非なる女(モノ)~「今は無理かな…もう少し時間が経てば…」 違う それじゃ遅いのに… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい

きらきら初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください
お探しのページがあれば目次をお使いください→全体の目次
前のお話→262..皇太子妃の思い~…しますと言ったのは 今思えば運命だったのかも…
このお話は お久しぶりのチャン・ギョン目線です


音楽科声楽専攻のキム・ミニョンから 国民栄誉賞を受賞祝賀パーティーの招待状が届いたのはシンの従兄ユル兄さんの婚約式の翌日だった
なんで俺に?と思ったんだが どうやら最近俺が親密になった女の子と親しいらしく…
ようは二人共シンと御近付きになりたいってわけ ふん まあ 良くあるハナシ
俺が親密になる女の子の大半は俺の背景色々を知ってて近付いてくる子ばかりだったから 別に気にもならなかった
だけど…
こうして実際 妻帯者であるシンと接触を持ちたがる子は稀だったから 流石に退いたね…
で パーティー会場で思いっきりシンに嫌な顔されてんの
シンったらさ 女の子無視して 俺に 付き合う女もう少し選べとか言ってんの(笑)
正直俺も「ほうらね」ってな気分だった

なんだかなぁ~
女の子って 顔が綺麗でスタイル良くて 頭も良くて性格も良い子なんて居ないのかなぁ~
そこいくとガンヒョンは身持ちの堅さ以外は完璧だったよね~

身持ちの堅さ…か…
案外あっちが正常で 俺の周りに集まる子が異常なのかも…
でもなんかもう今更そうは思えないんだよね…
女の子だって結構スキじゃん?えっち…
嫌 嫌って言いながら 濡れはじめると止まんないし めちゃめちゃ乱れるし
あ~ そりゃ解ってるよ?
初めてじゃナイからでしょ?
だから…っていうのもなんだけどさ
ガンヒョンだって…一旦俺の手に掛かればきっと 二度と嫌とか馬鹿とか言わなくなると思うんだけどなぁ…
処女って 難しい…
って
俺なんか一生処女を抱く事なんて無いのかも…
でもなぁ~ 出来れば 出来る事なら ガンヒョンの初めては俺…
って無理無理…初めての子の傷つきやすい心も躰も 俺の手には負えないんだって

いいよなぁ~シンはチェギョンと初めてを捧げあったんだよなぁ~

皇太子妃になり損ねたのがそんなに悔しかったのか…
ユル兄さんのバチェラーパーティーの日 ソ・ジュヨンが  シンのアレルギーを知らなかったチェギョンの事凄い剣幕で怒ってたけどさ
あの後 キッチンでくすくす笑い合ってるシンとチェギョン 凄い幸せそうだったなぁ
二人きりになってちゃんと話したんだよな…
シンは 結婚してるにも関わらず一回拒まれて以来 チェギョンの事それは大事にして 我慢してたんだ
はぁ…俺なんて
単に待てなくてガキみたく騒ぎ立てて怒らせて 意地を張って
自分が情けないや…

卒業式前の最後の登校日 ランチルームでチェギョンと約束が有るというシンに付いて行った
目的は…やっぱガンヒョンなんだよな…
我ながらカッコ悪い…くくっ
やばい…口もきけないのに ガンヒョンばっか見てしまう
気付かれてるよな… みっともねぇ 遊び人の名が廃るね…////
最近じゃ生身の女の裸見たってこんなにドキドキしないのに ガンヒョンのあられもない姿を妄想してしまう自分が恥ずかしいよ…
ガンヒョンから目を逸らしてシンとチェギョンを見てたら それはそれでまたドキドキした
こいつら ぜったい昨日ヤってる… なんか二人してめっちゃ色気漂ってるもん
愛し合ってるせいかな 俺はきっと昨日ヤったくらいでこうはならないと思うな…kkk

そのまま別れるのが名残惜しくて 飯食いに誘った
「腹減ったからなんか食べて帰ろうぜ」
「うんうんペゴッパ~」「トッポギ~!」
「いいなぁ~あたしも行きたい~」
「お前はダメだ」
「ちっ ちょっとくらいいいじゃんケチー」
「ダメなもんはダメなんだ 卒業式の前に一般参賀も有るんだぞ
お前はすぐ食い過ぎるから 用意した服が入らなくなる」
妙に色気を漂わせた二人が目の前でイチャつくから ドキドキした
「あ!も~!ダイエットしろってご命令通りちゃんとダイエットしたから2キロ痩せたんだよ!」
「俺は別に命じてない それに べつに痩せなくても グラマーな方がいいと言っただろう?」
「え~!サンキンサン……モゴモゴ…」
うわ! もう無理見てらんね…
どんな秘密を暴露されそうになってんだか チェギョンの口を押さえるのに後ろからハグだぜ?
勘弁して
「あ~はいはいごちそうさま ランチルームで人目も気にせずイチャつくなよ皇太子夫妻~!」
なのに
国民栄誉賞を受賞したあの女が話しかけてきてから シンの様子が変わった
多分 俺だけじゃなくみんな変に思ってた
けど
立ち去るキム・ミニョンの後ろ姿があまりにも ガンヒョンにそっくりだったから 俺はその事で頭が一杯になった
シン目当てなのかもしんないけど ガンヒョンよか…貞操観念緩そうだよな…
俺にも堕とせるかも…
っておい…本人目の前に何考えてるんだよ
はぁ…いったい俺は何人の女をガンヒョンの身代わりにしようとしてるんだ…情けねぇ…


シンとチェギョンが帰って 男三人女三人飯食いに行った

ファンの母さんが経営しているカフェの二階
俺とインは何度か来たことのあるその店で
ファンのおすすめを頼んで待つ間 さっきのシンが なんかヘンだったって話題になって…
此処だけの話だぜ?って前置きしたインが 言いにくそうに口を開いた
「あの女さ… 実は シンとヒョリンの写真を新聞社に売った女なんだ…」
「「「「「ええっ!!」」」」」
全員の驚く声がこだまする
「音楽室から出てくる二人を撮影したとこ捕まえたんだけど 只の皇室マニアだと思って黙っててやったのに…スキャンダルになっただろう?
言わなきゃと思ってたのに 色々有ったあと夏休みに入ったし すっかり忘れててさ…
シン… この前の受賞祝賀パーティーで あの女に渡された桃のシャンパン飲んでアナフィラキシー起こしたらしい」
「桃にもアレルギーが?」
「らしい」
「うそ…それ 知っててわざとなの?」
「解らないけど 多分そうなんじゃないかって… ちょっとヤバイ女みたいだ」
「それでヘンだったの?」
「でもそれにしても どうしてそんなことしでかした人が お近づきに…とか行ってくるのよ?!」
「そうよ!おかしいわ?それにそれなら殿下の対応もおかしいわ?」
「もっと怒ったり警戒したり…」
「警戒してたのかな…?」
「でも東宮殿に遊びに行きたいって言うのは流石に断るべきじゃ…?」
「とにかく なんか 俺たちには話せない裏事情があるんだろうな」
「そっか…」
重たい空気が流れるなか スニョンが雰囲気を変えるように明るい声を上げた
「あ ねえそれよりさ せっかくだから明後日 一般参賀に行かない?殿下とチェギョンが二人並んで勤政殿前に立つの初めてなの!」


混み合う景福宮に妊婦のチェ・シネは連れて行けないから ファンも来なかったんだけど 飯食いに行くって話してる時に電話が掛かってきたから誘ったら ファンだけ出てきた
「来なくて正解だったよ
こんな大変な思いしてあの二人を観に行かなくても 明後日又学校で会えるのに(笑)」
そう言ったら みんな笑った
せっかくだから食事して帰ろうって言ったのは もう少しガンヒョンと居たかったから

キム・スニョンの叔母の店だと言う小さな食堂の前
怪訝な顔なんかしたつもりなかったんだけど 小さな食堂に入るのなんて初めてだったから
微妙に緊張が顔に出てたのかな?
「あたし達が三年間通った店よ
あんた達の口に合うかは保証しないけど
文句言わないでよね
あたし達ホントはこの前 最後に此処に寄るって決めてたんだから」
「なに言ってんのよガンヒョン 御曹司くんたちの口に合うわけないじゃない
ほかの店に行こうよ~」
キム・スニョンが遠慮がちに言うけどユン・ヒスンは…
「なに言ってるの~ 安くて美味しいでござるよ?ささ中へ」
う…俺は… あんまり冒険はしたことなくて…
だけど インが窓から見える客を見ろと顎をしゃくる
「別に普通にみんな食ってるじゃん ギョン何躊躇ってんの?」
インは兄貴も結構ワイルドだし ファンも従兄弟姉とか居て 割りと冒険好きで…
俺は一人っ子だし…従弟妹とかはみんな年下で…
ガンヒョンが冷やかな流し目で俺を見てる…
くそっ…お坊ちゃんって馬鹿にしてんな!
「た ためらってねえよ!」
「お いいね~ギョン」
くっそ~ ハメやがったなイン

女の子たちのオススメを頼んで待つ間…
さっきのシンがカッコよかったと騒ぐ二人を 微笑んで眺めているガンヒョンは…
やっぱし綺麗だった

「お待たせ~」
「「「「「「いただきま~す」」」」」」
スニョンの叔母さんが運んできてくれた真っ赤な海鮮チゲにチャプチェ チヂミにトッポギやホットックを みんなで取り分けて食べる
へぇ…
意外にもどれもこれも美味い
見た目ほど 激辛でもないし…

「で?スニョ~ン今日はいい男が三人も一緒じゃな~い
あんたの彼氏はどの子なの?」
叔母さんが姪のスニョンをからかう
「ちがうの!そんなんじゃないんだから!」
「あら~ 照れることないじゃな~い」

俺は 助け舟のつもりでジョークを言った
「じゃあフリーなのは俺だけだし 俺が立候補しようかな?」
みんなが一斉に驚いた顔で俺を見詰める

「じょ 冗談だよ…なんでそんな驚くの…ヤダナ」

「あんたが言うと冗談に聞こえないのよ」
「ヤダなぁ~ 俺だって流石にガンヒョンの親友とそんな…」
あ なんか空気おかしい?
「も~ ガンヒョンは相変わらず綺麗な顔してキツイなぁ…
俺なんだかんだ言って 結局今でもガンヒョン一筋なんだよ?」
一昨日俺は ガンヒョンを前に緊張して無口になってしまって… 只見詰めるだけだった
でも今日は…なんとかきっかけが欲しかったんだ
友達でもいいから これからも俺と会って欲しくて…

震える指でガンヒョンの長い髪を一筋掬い取った

「ガンヒョンは本当に綺麗だよね
俺 ガンヒョンに振られて自棄になって俺の本当の白鳥を探すなんてほざいてるけど…
やっぱりガンヒョン以上に好きになれる女なんて居ないのかも
今からでもガンヒョンが心を開いてくれるなら 何でもするのにな…」
真剣にそう言ったのに

ガンヒョンが何か言う前に スニョンとヒスンが怒りだした
言ってる意味がよく解らなかった
ただ…
俺が遊び人になっちゃったから もう何を言っても信じて貰えないんだなってことだけは 解ったから なんも言えなくて
「帰る」
って逃げて来ちゃった
終わりだな…


あんな沢山の人出だったのに シンが 俺達を見付けたと言ってくれた事が
なんだかとてつもなく嬉しくて 泣きそうになった
「なんだよ?俺には話せないのか?」
いや そうじゃなくてさ…シン…俺の事なんか気にしてくれんの?

どんだけ女抱いても女心がまるで解ってないって インってばキッツイなぁ…
でも確かに 俺ってば自分の思い通りになる子としか寝てないしね
シンもインも それにファンも 愛してる女の気持ちだけ解れば 他の女の気持ちなんて解ろうとも思わないなんて言って ヤダな…幸せ者はいいよね…
俺はさ
女の子達がどうして欲しいか 俺に何を望んでるか 本能みたいに直ぐに解っちゃうのに ガンヒョンの事だけが解んないんだ…
ホント 皆の言う様に 俺だってガンヒョンさえ俺に心を見せてくれたら…
そう思っているのに…

ガンヒョンに恋して…いっぱいアピールして…ダブルデートして…
OK貰って…楽しかった日々
我慢の日々 馬鹿みたいにガンヒョンを怒らせて別れて… 落ち込んで…
なのにあっさりと他の女に逃げたりして…

そんなことを考えていたら 卒業式は終わってた
俺の三年間ってガンヒョンの思い出ばっかりだな~

下級生に見送られて花のアーチを潜ったら校門前のロータリー…
って え? うそ ナニコレ?
チェギョンのお母さんの韓服とイギサのお姉さんの制服や頭が真っ白になってた
卒業式のイベント…小麦粉… ってなんでチェギョンに?!
シンがチェギョンに駆け寄るのがスローモーションのように見えた
いったい誰が…
取り押さえられている下級生の男
俺は周りを見渡す
ファンとインと俺は 写真を撮ってるマスコミの群れに向かって走り出す
「ふざけんな!撮るなよ!誰だと思ってんだ!
誰がこんな事!許されると思うなよ!
帰れ!見せもんじゃねえんだ!関係ない奴は帰れよ!」
教室で最後のホームルームが有るのに 
チェギョンをコートで包み込んだシンは公用車に乗り込む
チェギョンを守って真っ白になったお母さんも 後に続く公用車に乗り込んだ

スニョンとヒスンはイン達と一緒にマスコミを追い払ってたけど…
震えるガンヒョンは呆然と佇んでいた

「ガンヒョン…けんちゃな?」
「…チェギョンが…あたし…何も出来なくて…」
「大丈夫 大丈夫だよ お母さんが守って下さってたみたいだし シンも付いてる」
「でも…」
「大丈夫だ 後で迎えに来るから 今日は一緒に帰ろう ね?」
俺は ガンヒョンの肩を抱いて教室へ連れて行った

衝撃的な卒業式だった
韓国では日本の統治時代に入って来た制服というシステムからの卒業という意味で 卒業式に明日から着なくてよくなる制服に小麦粉を巻いて 祝うというか騒ぐというか…
そんなちょっと馬鹿馬鹿しいイベントが存在する
俺達は親の会社が日本と取引もあるし 無駄に反日感情を抱く必要は無いと教わってきているが 未だに若者の中にも若干の反日感情は存在する
親日家を嫌う物が親日家を狙って…なんていうのもあるし
それに 反日感情とかじゃなく このイベントの意味も知らずに馬鹿騒ぎするヤツらも多い
だけど…
相手は妃殿下だぞ?
確かにチェギョンは第二外国語で日本語を専攻してる親日家と見られても仕方ない
詳しい事情はまだ分からないが コレは反日というより アンチ皇室か…もしくは
この前のキム・ミニョンみたいに 皇太子妃になりそびれたとか…
いや 取り押さえられたのは男だったな…
でもとにかく 皇太子妃シン・チェギョンに対する敵意を示した犯行なんだろう…

「ガンヒョン 迎えに来た 一緒に帰ろう」
「平気よ 自分で帰れる」
「いいから 今日だけ 今日だけ遅らせて?
この前はなんか俺 またガンヒョンに失礼な事言っちゃったみたいだし…」
ガンヒョンがふっと笑った
「しょうがないわね…あんたってホント」
ぐ…傷付くなぁ…
でもホント 何がいけなかったのかも解んないんだから しょうがないヤツなんだよね…

俺んちの車でガンヒョンを家まで送った
ホントにただそれだけだった
さりげなく触れようとした手も 避けられてしまったから…

「チェギョンの事は シンに任せて置いていいはずだ
アイツ ホントチェギョンを大事にしてるから」
「うん 解った」
「じゃあ…また…」
「うん」
「また 会ってくれる?」
ガンヒョンは 頬を少しだけあげて 力なく笑った
「今は 無理かな… もう少し時間が経てば」
違う それじゃ遅いのに… でも俺は ガンヒョンに強く言えない
「うん…でも また」
ガンヒョンはもう一度頬を上げただけで 何も言わなかった

俺…どうしてこんななんだろう…



今日もありがとうございますカムサハムニダ
ギョンの切ない胸の内 語りたいことが多くて長くなっちゃいました みあねよ
次は誰目線? 勿論あの子の目線で語って貰います

にほんブログ村 ←ポチ↓ペタ お願いしますふわハート


お久しぶりのペタボタンですね…