150.皇太子の寝室Ⅱ~東宮殿の皇子に興味津々のお前に腹が立って…意地悪ばかりしてたんだ | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→149.皇太子の寝室Ⅰ~俺がこの手を放すまで此処に居ろ
このお話は 148.茗禪堂(ミョンソンダン)~だけど今更どうする?皇太子位は返せても 皇太子妃は返せない に続くシン目線ですl


額に…何か触れたか?
「熱はないみたい…
どこがどんなふうに具合悪かったの?頭?お腹?眠れてるからもう大丈夫かな…?」
チェギョン?
いつのまにか眠っていた俺の枕元に チェギョンが立っていた
「ごめんね…あたしが悪かったのに…ちゃんと謝らずに逆切れなんかして
ホント バカだよね…」
ああ…そうだな…お前が悪い 逆切れなんて以ての外だ
「いっつも怒らせてばっかりで…出来の悪い妻でごめんなさい…」
謝るんなら最初から謝れよな 夫の従兄と時間も忘れて楽しそうに歌ってたくせに…
俺がどれだけ傷ついてるか まるっきり解っちゃいないんだろう?

暫くじっと見てる気配が有ったが なんでだか俺の椅子を持って来てベッドサイドに座ったようだ…
ふっ 夢でみたっけな…
子どもの頃 お前がそうやって俺のこと看病してるつもりで 絵本を読んで聞かせてくれた
あれは夢であって夢ではなく 俺の記憶なんだろう…
たどたどしくて 聞き取りにくくて 邪魔なんだけど… 一生懸命で なんか憎めなくて…
あの夜みたいに 俺の上に突っ伏して眠ったら…俺はどうすればいい?
あの夜そうしたように 俺のベッドの中へ入れても…いいのか?
ふいに 睫毛に何かが触れた…チェギョンの指?

「お おやすみなさい ゆっくり休んで」
え?待てよ…もう行くのか?
立ち去ろうとするチェギョンを 咄嗟に手を伸ばして摑まえた
あ…何やってんだ俺… 摑まえてどうするっていうんだよ…
「此処に居ろ もう少しだけ 此処に」
なんとかそう言ったけど 目を開ける事が出来ない…
「お…起きてたの…ですか?」
そりゃそうだよな…驚くよな…
「いや 寝てた お前に起こされた」
「やだ!ごめんなさい…」
「罰として 俺が眠ってこの手を放すまで此処に居ろ」
我ながら…上手い言い訳を思いつくもんだ…くっ
「は…はい…」
おとなしく座りなおしたチェギョンは…
おしゃべりのクセにじっと黙りこくって… 俺に手首を摑まれたまま 本当にただひたすら俺が眠るのを待って居るのか?

「お前…幼い頃の事 何も覚えてナイのか?」
「はいっ!?」
「俺は 覚えてる事が有る
俺が風邪ひいた時 お前が看病のつもりか知らないけど 本を読んでくれて… 迷惑した事」
「はいぃっ!?」
やっぱり何も覚えていないんだな…お前にとって俺なんてその程度の存在ってことか?
「しどろもどろで 聞き取りにくくて 面白くなくて… 迷惑だった」
ムカつくからそう言ってやった
「うそ?ホントに?」
「ああ… おまけに俺が先に寝たのか お前が先だか知らないが 俺の上に突っ伏して寝てくれて 重くて目が覚めた」
ふんっ お前は今もあの頃も 俺をイライラさせるのが得意だよな
「ぎゃ そんなことが有ったの?」
「ああ… またそれをやられるのかと思ったよ くっくっくっ」
チェギョンの慌てる様子が 目を開けなくても目に浮かぶのが面白くて 笑い声を漏らしてしまう
「わ 笑う事 無いじゃない…」

なあ…チェギョン…お前あの頃 ユルが好きだったんだよな…
今はどうなんだ?それともまだファンが好きなのか?
女官達は俺の味方だって言ってたぞ?
お前は 俺とユルだったら…どっちが好きなんだ?
「なあ…」
「うん?」
「お前は…………いや…なんでもない
もう寝る やっぱりお前部屋へ戻れ 気が散るし また俺の上に突っ伏して寝られちゃ困るからな」
聞いてどうすると言うんだ…
「もう!またからかうの!? ふ~んだ!おやすみなさい!」
「ああ」
俺とチェギョンは国民的夫婦なんだ…いつかチェギョンが白旗を揚げてもう離婚してくれって言う其の時まではな…


降りだした雨の音が聞こえてくる
あの日木の上で雨に降られたのは夕立だったから 季節は夏… 丁度今頃だろう
風邪をひいた俺の上に突っ伏して眠ったお前をベッドに入れて…目が覚めたらやっぱりお前に移ってて…
ふっ
よく考えたら一度や二度じゃ無かったじゃないか…そうだよアイツ…しょっちゅう眠れないとか言って俺のベッドに潜り込んできてたじゃないか!
くくくっ
ああ確か… チェギョンの誕生日の夜 母上の具合が悪くなって…貰ったばかりの巨大な犬のぬいぐるみを連れて来たときは 邪魔だからあっちにやれって言ったぞ
東宮妃の部屋に在るあのぬいぐるみ…あのときのやつじゃないか…へぇ…
チビだったから巨大だと思ってたが そんなに巨大でもないよな…

俺はだんだん甦ってくる記憶に顔が綻んでくるのを感じる
そうだ…俺たち ホントに一緒に暮らしてた
そして俺は…お前がイチイチ鬱陶しいのに 可愛くて…本当に好きだったんだ
なのに 東宮殿の皇子イ・ユルに興味津々のお前に腹が立って…意地悪ばかりしてたんだ



今日もお読み頂き ありがとうございます
シンくん 色々思い出しました~(‐^▽^‐)ノ

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