「Web2.0を企業に活かす七つの方法」をエンタープライズ2.0に置き換える | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

第23回 Web2.0を企業に生かす七つの方法 @ ITpro


ここに書かれている7つの方法は、既に多くの書籍やIT系の情報サイトで取り上げられている内容にはなりますが、この7つの方法を企業内で活かす場合を考えてみたいと思います。



1. リッチクライアント技術を企業に導入


まずは社内にWeb2.0「風」システムを 」で書いた様に、実際企業内のWebアプリケーションの画面設計は軽視されている場合が多く、そのほとんどで旧態依然のつまらないWebインターフェースが継続的に使われています。

それは、そのWebアプリケーションが業務の改善や効率化を行う事のみでしか考えられていないためで、外向けのサービスに比べて、利用する側のことを考慮されていないためです。

ですので、ExcelのスプレッドーシートをそのままWebの画面に貼り付けたような、多種多様な情報を入力しないといけない(しかもエラーが判明するのは、全ての情報を入力し終わった後)など、利用者の負担が大きい画面が多くあります。


これには多くの利用者がウンザリしています。

リッチクライアントのような画期的なギミックを施す事で利用者の負担を軽減し、業務を効率化するはずのシステムにストレスを感じさせないことは、その業務アプリケーションを最大限に活かすために必要な仕掛けとなるはずです。(言わずもがなそのアプリケーションが業務に画期的な効果をもたらす事が前提)



2. タギング技術をナレッジマネジメントに適用

エンタープライズ2.0ってナンだ!? 」で書いた様に情報を活かす技術と言うのは、昔から企業内には存在しています。

情報自体は企業を支える最も重要な要素の一つですから、それを如何に活かすかということに対して、企業内では、あれやこれや試行錯誤が繰り返されているわけです。

しかし今までの多くは、決まった書式で登録した情報で、その取り出し方も既定のものが多く、利用者自身の負担も大きいものでした。

また、それ故に情報がそこにあるにもかかわらず、情報を取り出せないというケースも多々ありました。


そういった既定の方法から脱却し、より利用者の考えに近い情報をタグとして埋め込む事で、情報が埋没する事を防ぐ事は可能になるかもしれません。

ただし、そのタグをつけるという行為に何処までの自由さを許容させるかは重要な問題になるかもしれませんが。



3. 企業間の調達・販売業務に利用


WebサービスやAPIを介してのシームレスな企業間の連携を図るという点は昔からあるところですが、あまり実装されている事は聞きません。

よく聞くのは、ある一方のシステムを、他方に解放させるというものです。

つまり、A社とB社で取引きがある場合、A社のシステムにB社の専用アカウントを作って解放すると言うもの。


BtoBで直接企業間を結ぶ事は思った以上にコストがかかることですし、それに見合う効果があるのかは難しい判断になります。

むしろより効果があるのは、もう一つの調達・販売情報にタギングの情報を活かすというものでは無いでしょうか。


企業内で持っている情報は思った以上に統制が取れていません。

部門間で持っている情報はばらばら。そしてそれらの情報は部門の「壁」によって共有される事が少ない。

そいう言った情報に対して、先のタギングをナレッジマネジメントに活かすというものと同様に情報活用に適用させる事で調達・販売業務をより効率化できる方法はあるのだと感じます。



4. マススケールかつパーソナライズされた広告を実現


この内容自体は、外向けのサービスについて語られているところですが、パーソナライズと言う点は企業内部でも十分に魅力的に働く技術となります。

社員一人一人に与えられたミッションは異なるものであるため、それぞれに必要な情報は異なってきます。

それに対して、必要な情報や機能を個々に割り振っていく事は十分に効果が出る事です。

その効果とは具体的に何かは、次に書くコミュニティにつながる基盤となりえる点では無いでしょうか。



5. コミュニティやソーシャル・ネットワークを使って従業員の協業を支援


企業内はコミュニティの塊で形成されています。

もちろん企業自体も一つのコミュニティです。


企業内のコミュニティは、部門であったり、課であったり、PJ推進チームであったり、小さなものでは同期というのも一つのコミュニティとなっています。

SNSに代表されるコミュニティでは、この企業内のコミュニティとは違い、小さなコミュニティにこそ魅力を感じている人が多いのではないでしょうか。

より親近感が沸いてくるとか、大きな強制力が働かない事にストレスを感じないこととか、自分の声が「通る」こととか。


企業内のコミュニティを活かすのもこういった方法が良い気がするわけです。

今でも部門のコミュニティを活かすために、例えば部門内のポータルサイトを構築し、情報をやり取りする試みはあったりしますが、決められた枠組みの中で情報交換と、あまりに大きすぎるコミュニティのため、自分の発言が通らなかったり、また発言する事が億劫になったりする場合が多いです。


小さなコミュニティを形成し、そこでの円滑な情報交換を行う。

小さなコミュニティは、連携し統率すると部門と言う大きなコミュニティになりえるといった具合です。

この場合、部門と言う大きなコミュニティは、小さなコミュニティをまとめるだけの枠組みと、全てのコミュニティを統率する情報を発信するぐらいにとどめ、個々のコミュニティに対してあまり大きな強制力を持たせない方が良いと思います。



6. コミュニティ・リサーチによる商品マーケティング


先に書いたように、企業内の情報と言うのは思った以上に統制が取れていません。

また、企業内で各役割を明確化するために分割された部門と言う単位でさえ、同じような業務をしていたりするところがあるなど、最適化が行われているとはいえない状況です。

同じ部内で分割された業務チームでさえ、そういった状況に陥っている事は多々あります。


ある業務で必要な情報を欲しい時、周りのごくごく狭い範囲で聞いて回って終わるという事は多いでしょう。

しかし、そういった最適化されていない情報体系であれば、企業内の誰かがその欲しい情報を持っている可能性は多いにあります。


先ほど形成したコミュニティへ問いかけを行えば、どこかのコミュニティでその反応が返ってくるだけでなく、それ以上の付加価値が返ってくることさえもあるでしょう。

そして、その方法は自分が足を運んだりメールでやり取りをすることより数倍簡単で、効率的な方法です。



7. ブロガーを通じたパブリック・リレーションズ


ブロゴスフィアを覗けば、アルファブロガーと言われる人たちが日々活発に情報を発信しているように、企業内でも、そういった活発に情報を発信してくれる人は存在するはずです。

ただし、そういった人たちの声が届くのはごくごく一部の人であり、多くはチームや部門などの垣根によって、かき消されます。


そういった情報を活発に発信してくれる人の声をもっと重宝すべきですし、その声からヒントを得たり、またその声から企業内での新たな推進体制が生まれたりするでしょう。



- まとめ


Web2.0の特性は幾つかあるものの、その一つにコミュニティの意識と言うものがあると思います。

Web2.0のサービスを成功させるには、そのコミュニティを如何に意識させるのかだと感じています。


エンタープライズ2.0でも同様の事が言えると思います。

元々コミュニティによって成り立っている企業は、そのコミュニティをより意識させ活性化する技術を導入すべきだと。

ここで出てきた、ユーザーによるタグ入力(タギング)、BlogやSNSはそうでしょう。

また、私個人としては企業内外の情報を効率的に共有する方法として、ソーシャルブックマークなども有効に働くのではと感じます。


何れにせよ、そういったコミュニティを意識させ、情報を発信しやすい環境とその自分が発信した情報により誰かを幸せにできる環境を構築する事が、新しい企業内での関係を築いてくれるものだと思います。