INUUNIQ presents SOUND THEATER
君と僕のかたちのない世界 終章 遥
at 梅田 amHALL
写真と物語を織り交ぜて記します。
サウンドシアターを体感した人もしてない人も楽しんでもらいたいシリーズ。
no.2 《承》逃げ出した夢の中
書き手:vo.竹下咲
※no.1では誰がこう操作して、と事細かに書きましたが、今回からそれを省いて書いてみます。
効果音は基本的にサラウンドシステムから出てます。映画館みたいにお客さんの周りで、色んなところから鳴ってるのをイメージしてみてください。
▼▼▼▼▼
暗転した暗闇の中。
ここは夢の世界。
遠くで微かに雷の音が聴こえる。
ポツポツ…ザァーッと、雨が降り出す。
ドーン!
近くに大きな雷が落ちた。
その音で瞼が微かに開くように、
辺りが少し明るくなる。
夢の中で、
夢から目覚める。
虚ろに、甘いような、柔らかいような。
薄暗い部屋の中でシーツに包まって。
雨の音が響いてる。
穏やかな、日常のうた。
そっと、そっと。
『雨の唄』
ポタポタ…
ザザーン。
雨の音が波の音へと変わって行く。
次の夢へ。
ここは真っ暗な海辺。
砂浜に立ち尽くした女が、
黒い波と空の間を見つめて歌っている。
愛する人を海の魔物セイレーンに連れて行かれた女。
『セイレーン』
海辺で女と一緒に立ち尽くしていたはずなのに、
気付けばふたりは大きな渦に巻かれ、海の底に引きずり込まれて行く。
ゴボゴボと音を立てて、
底へ、底へ、深く、深く。
闇。
恐怖。
ここはどこ?
生と死の狭間?
『境界』
夢の中でも追い詰められていくふたり。
次の夢
次の夢へと
逃げ渡る。
氷に閉ざされるような
『時の回廊』
炎に巻かれる
『落日』
逃げ場なんてない。
夢の中でも、僕らは。
ただ
幸せになりたかっただけなんだ。
ふたりで笑いたかっただけなんだ。
(続く)