前回までのあらすじ:
藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
本田承太郎は部下の前田と共に上司の倉持に講義を受けていました。
第45話:職場の社内恋愛の是非
本田承太郎が上司の倉持に、
「部下に伝える時に当たり前の話を誰でも理解出来るように解り易く」
と、教えられていたところ
上司と部下の社内恋愛で業績が落ちるという例え話が出ました。
すると本田の部下である前田は
「社内恋愛」というキーワードに食いついてしまい
倉持に対し、
「ところで、倉持部長質問があります。
うちの会社って社内恋愛は禁止なんですか?」
と質問したのでした。
倉持は
「社内恋愛は規則では禁止。
実際にはしても良いけど報告の義務や
処分の判断は直轄の上司に厳しく一任されているわね。
本田君も管理職だから知っていると思うけど
役職者には社内恋愛についての講習会もあるのよ」
「へ~そうなんですか」
ここで、倉持は社内恋愛の是非について語りだした。
社内恋愛については賛否両論の飛び交うところですが
会社の立場では、
ここまで倉持が話してきたように
仕事を全うすると社内恋愛には発展しにくいという見解なので
社内恋愛の噂が出ると仕事面での調査が入る可能性がある。
と言うのがこの会社の特殊な所でした。
倉持個人の意見では
「別に本人たちがちゃんと仕事に影響が無いようにしてくれれば良い」
という考え方だそうですが、
それだけでは解決できないような複雑な事情があるケースもあります。
そもそも社内にめぼしい相手がいない会社なら
そんな心配はしなくても良いのかもしれませんが
相手がいない男女が共に働いていると
自然とそう言う噂も出るようになってきます。
人間の心理として特に男性の場合、
「自分が置かれているグループの中で無意識に一番好きな異性を見つける」
というクセがあるそうです。
男性の方に思い出して欲しいのですが
学生の時に自分の好みで好きなタイプの女の子は別にいるのに
同じクラスの中で一番好きなタイプの子の事を
意識してしまう事があったりしませんか。
これは浮気性ではなく、子孫繁栄の為に
今いる集団の中から子孫を残せる相手を無意識に選ぶ
自然な行動なのだそうです。
つまり、社外に強く好きな相手がいない場合
同じ社内や同じ部署で相手をみつけようとする意識も
無意識に働いてしまうのが人間だと言うことになります。
では、なぜ会社は社内恋愛を禁止にするのか。
倉持の話では飲食店などの直接営業に関わる仕事なら解るけど
事務員どうしが社内恋愛しても影響ないんじゃないの。
と、思いませんか?
では社内恋愛禁止の会社で社内恋愛すると起きる
デメリットを考えてみましょう。
・周りにバレない様に隠さなくてはいけない
・バレたらクビになってしまう
・自然な振る舞いができなくなる
・打ち明けた時に嘘を付いていたと信用を無くす。
・同じ職場の他の異性への対応に困る
・仕事内容を相手に知られているので隠し事ができない。
・怒られたりカッコ悪いところを相手にも見られる
・ケンカしても社内では普通に振舞わなければならない
・まわりの視線が気になり挙動不審になる
大概社内恋愛はバレると言いますが
このような面を隠していくことが難しいのでしょうね。
喧嘩したり、他の異性と話すだけでも
どこか不自然になりますので
そんな違和感を周りは感じ取って反応してしまうのでしょう。
社内の同じグループ内で働くという事は仕事とは言え
ある一定の時間共同生活するようなものです。
そのグループの雰囲気も自分の個人的事情で壊してしまうし
周りからすればその人達のせいで現場の雰囲気が
変わったと感じてしまうかもしれません。
特に恋愛での利害関係は
仕事上での関係と並行していくと
うまくいかないケースが多いようです。
例えば、自分は女性ながら彼氏の上司の時
彼氏が仕事で落ち込んでいるときにプライベートなら
慰めたり励ましたりしますよね。
でも上司の立場で仕事上怒らなければならない時がやってきます。
すると、恋愛に掛け合わせ更に落ち込んでしまったり
喧嘩してしまったりする事もあるのです。
「解っていても止まらない」
社内恋愛が始まる時や終わる時は
突然でそんなものなのかもしれません。
結論を言うと、
社内恋愛をするとそれまでの人間関係を
その人達の個人的事情で壊してしまいまわりの仕事や
自分のやるべき仕事にも影響を与えてしまう。
という事になります。
倉持は、そんな実例を知っていました。
この時の話がまた悲惨な話だったのでした。
つづく