第46話:社内恋愛の結末 | 本田承太郎

本田承太郎

飲食店開業を目指す為に学ぶべき知識。
スキルと資金・経験を積んで
自分の城を持つ為にやるべき10の事。

前回までのあらすじ:
藤堂物産で働く本田承太郎はこの会社で10年働くサラリーマン。
本田承太郎は部下の前田と共に上司の倉持に講義を受けていました。
そこでは本田の部下前田が質問した社内恋愛について
倉持が今まで経験してきた話を始めていました。

第46話:社内恋愛の結末

倉持は社内恋愛で実際に昔社内で起こった事件の話を始めました。

登場人物は、山田を主人公としてこのようになります。

山田(仮)34歳男性社員
鈴木(仮)28歳女性事務員
佐藤(仮)32歳女性事務
長谷川係長(仮)山田の上司
岩本(仮)30歳男性社員で役員の息子


山田は鈴木と同じ部署内で
密かに付き合っていました。

社内恋愛は禁止なので周囲には秘密にしていて
よく飲み会では山田に対し同僚や上司が


「いい年して彼女いないのか?紹介しようか」と
声をかけられたりからかわれる存在でした。


ある時そんな噂を聞いたのか鈴木(彼女)の同僚である佐藤(女)が
山田の事をタイプだと周囲に話していたそうで

飲み会の席で二人をくっつけようという
動きが画策されていたのでした。

当然山田は鈴木(彼女)と付き合っているので
佐藤(女)に対しては興味を示しませんでしたが
周囲の社員やおばちゃん連中はおせっかいで
やたらとくっつけようとするのでした。

そしてある時、この会社の重役の息子「岩本」が
山田の彼女である鈴木に言い寄ってきたそうです。

山田と鈴木は密かに付き合いながらも
周囲には相手がいないと話していたので
余計に面倒なことになったのです。


それ以来、山田と鈴木の関係はギクシャクしてきて
プライベートでもストレスが溜まる一方です。

いい加減ヤバイと思った山田は鈴木と相談し、
お互い社外に相手が出来たことを公表して
難を逃れようと思いました。

しかし、周囲の反応は

「こんなにしてやったのに」
「こんなにいい子を・・」と

二人の評判はどんどん悪くなっていきます。

そして、ある日直属上司の長谷川に
山田は呼び出されこう質問されました。

「山田、正直に話して欲しいのだがお前鈴木と付き合ってるのか?」

「は?」

なぜ、係長が自分たちの関係を知っていて
呼び出されてまで問い詰められるのか理解できませんでしたが
社則に反する行為なので山田にはしらばっくれるしかありません。

「知りません」

すると、長谷川は意外にも

「山田、解ってる。これは処分するような話ではなく
上から回ってきた話なんだ」


と言います。


訳が分からず聞いてみると

自分の彼女である鈴木に対して、
重役の息子である岩本が好意を寄せて
正式に付き合って欲しいと申し込んでいるそうでした。

岩本は社内でもエリートで
ゆくゆくは重要なポストが約束されているらしく、
権力のある役員の息子ということで周囲は
簡単には逆らえない存在として有名だったのです。


そして重役の岩本(父)も
跡取り息子の相手を早く見つけて欲しいと画策し
社内でめぼしい相手を探して調査していたということだったのです。


そこで鈴木の名前が上がり、気に入った岩本は
交際を申し込んでいたのでした。

これまで自分には相手がいないと言っていたのに
急に彼氏ができて自分の交際を断るという事に
腹を立てているそうで

周囲への圧力や真相を追求する動きを見せていて
この話が長谷川係長のもとに回ってきたのだと言います。

かねてから実は気付いていた長谷川は
山田に協力すると言ってくれていたのでした。

そうして、もう隠しておくことはできないと思った
山田は一大決心し鈴木に結婚を申込みました。


見事OKをもらい「これですべてうまくいく」と
二人は安心していたのですが現実はそうもいきませんでした。

嘘をついて付き合っていた事に腹を立てた岩本は
執拗に山田を目の敵にして父である重役の岩本からも
圧力が掛かり、


山田には仕事のポストやいい仕事は回ってこなくなっていたのです。


山田にフラれてしまい、
今までマークしてなかった鈴木に
油揚げを持っていかれる形となり、怒りが収まらない
佐藤(女性事務)も周囲に悪い噂を流して二人の評判を落とすように
言いふらしていたのでした。



倉持によると、

結局このあと二人は社内での仕事環境も改善せず、
プライベートでも彼女は軽うつになりかけていたので
会社を二人で退職することになったそうです。


付き合っていた時期は楽しく、幸せな時間だったのかもしれませんが
結果泥沼化してしまい自分たちの居場所を失う結果となりました。


この事から倉持はいくつかの対処法はあるけど
結局は良い事がないし、うまく立ち回るのは難しいので
あまり社内恋愛はおすすめできないと言います。


「なんだか嫌な気分になりますね」


前田はポツリとこう言いました。


最後に倉持が話したのですが、

この二人の後日談として言うと
元上司の長谷川係長のつてで別の会社に入社した山田は
鈴木と結婚して今は2児の父となり幸福に暮らしているという事が
この話の救いでした。


社内恋愛をするとロクなことにならないという教訓なのでしょうが
ある意味社外に出て幸せになったと言うことは皮肉なのかもしれません。


・決められた事を守らなかった二人が自業自得なのか
・裏で画策していた岩本親子が悪なのか
・振られた腹いせに悪い噂で社内にいられなくした佐藤が悪いのか
・こういう体制の会社を退職して幸せだったのか


色々な意見があると思いますが
こういうケースはいくらでもあるし
結果幸せに慣れない場合もいくらでもあります。


「そうなる前に自分でどちらを選ぶか決めて置くこと」

と言うのが倉持が前田に言ったアドバイスでした。


「部長、そろそろ時間ヤバク無いですか?」


本田承太郎がそう言った時には
既に予定時間をオーバーしてこの講義は
次回持ち越しとなりました。


本田承太郎がそう言った理由は、
この後に会議が入っていて本田の直属上司である
藤森部長以下の部署の成果報告が待っていたのでした。


つづく

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