上海健太の務め -2ページ目

中国においてヤカンを買うときに注意するべきこと

 中国に来て15年目。その間自分でお金を出して買った「薬缶」は3個ある。
5年間で一つの薬缶というのは、多いのか少ないのか・・・って考えるとわりと多い方ではないか。(特に比較する資料もないんだけど・・・感覚) うん、やっぱり自分としては、薬缶ってそうそう買い換えるもんでもないとどこかで思ってる。そう、頑丈で、使っていればなんだか黒光りしてきて、底の部分の煤なんかを年末の大掃除の時に金タワシでこすったりして。
  
 今日また一つの「薬缶」の命が終わり、それについて考えてみる。私が中国で買った3つの薬缶、その一つ目は、学生寮に住んでいた時のものだ。これは、寮を去る時に先人の置き土産として後輩に託した。
 二つ目の薬缶はIKEA上海で買った物だ。これはデザインが可愛い感じなので気に入って買ったものだ。黒い取っ手部分がプラスティック素材になっており、お湯が沸くと、「ピュー」とか音がするそんな薬缶だ。いい加減な図だが、大体こういう感じの薬缶だ。

上海健太の務め-2代目ヤカンの図

 何年かは使えていたがこの薬缶を考案したデザイナーは、中国で生活をしたことがないのだろう。中国の一般家庭にあるガスレンジは火力が強すぎる為、取っ手の付け根部分にまで熱が伝わってしまい、徐々に溶けていく(赤丸部分)。最後はこのままでは危ないと思い捨てたのは、去年の秋頃だったか。*勿論気づいてからは火を加減して使っていたが、薬缶でお湯を沸かす時はフルパワーで使用したいではないか。

 3個目の薬缶がつい先日死んだ。去年の10月頃から今月16日までの短い命だった。私の不注意で薬缶を一時間も火にかけたままにしておいたからだ。この薬缶を買った経緯は、IKEA上海で買った薬缶が短命(結果的には2代目のほうが遥かに長寿であった)で終わった事、特に薬缶に対してブランドとかを意識しなかった、安かろう悪かろうだが、まあ、基本性能は同じだろうと上海の地元スーパーで買ったものだ。

勿論、お湯が湧いたら「ピー」となる笛も付いていない。単にお湯をわかすことが出来、くちばしからお湯を注ぐことが出来るそれだけのものだ。
 薬缶をかけたあとタイマーを掛けず、あれやこれやと仕事をしていたら、すっかり忘れていた火にかけたヤカン。丁度宅急便がきて仕事場から出たら、なんだかキッチンが凄いことになっている。宅急便屋さんにかまっている場合ではなく、慌てて火を止めてガスの元栓を閉め、薬缶に大量の水をかけた。大惨事にならないで良かった。宅急便屋さん本当にありがとう。
 
 実は20年程前、京都の友人F宅で同じような失敗をしたことがある。(私が20年間進歩ないのを証明してしまった)その時はもっと長い時間薬缶を火にかけていたはずだ。薬缶が真っ赤になっているのを覚えているから。今回は一時間程火にかけてしまったのだが、どうなったか、想像できるだろうか?答えは写真のとおり。

上海健太の務め-3代目ヤカン1


上海健太の務め-3代目ヤカン2

 この薬缶は上海の近所の地元スーパーで買った物だ。確かに上等な物ではないが、1時間火にかけていた結果がこんな状態とは・・・たしかに私が不注意で火にかけていたのだから悪いのは私なのだが、まさか底が溶けてしまうなんて。金属が溶け出してガスレンジに張り付いていた。家の中で知らぬ間に溶接加工していたのか・・・うぅ、恐ろしい。
 
このような体験から、中国で薬缶を買う時は以下の事に注意をして欲しい。

1:湧いたときにピーッとなる笛の付いた物にすべし。
2:持ち手部分はプラスティック無し、又は上部のグリップ部分のみで金属製の物。
3:薬缶を買うとき最も注意しなくてはいけないのは、底の厚さだ。もし万が一薬缶の火を止め忘れても分厚い金属の上等の薬缶だとすぐに破れたりはしないだろう。ヤカン一つ10元、20元でも買えるがマンションなどで火災が発生してしまったら自分命だけでなく、人様の命に関わる。絶対にやってはイカンのだ。鍋はケチってはいけない。

更にキッチンタイマーを併用し、それでも不安な場合は火の元から離れるな、ということだ。そういえば、子供の時に親にも先生にも教わった気がする。健忘症なのかもしれない。猛省。

日本には打ち出しの鍋や、南部鉄など良質の鉄で作る良い鍋がある。私のこの件をアピール材料に安全で強い鍋を安全と信頼のジャパンブランドで売り出すのはどうだろうか?にひひ

うう、笑っていられるのも気付いたからだが・・・思い出しただけでも寒気がするわガーン ホント、皆様もお気をつけ下さい。



中国の携帯電話(自分史編)

 中国に来て一体いくつの携帯電話を無くしてきたことだろう?置き忘れたり、盗まれたり、故障したり、水没したり…初めて携帯電話を買ったのは2003年だったか。昨年は親友Tの携帯を自分でプレゼントして自分で無くすと言う失態をした。そして今年も早くもなくした。携帯電話は現在世界共通で生活必需品であることは間違いない。しかしここまで無くしたり、故障したり続くと自分には携帯電話は向いてないんじゃないかと思う。生活必需品レベルのものが向いてないって・・・俺ダメじゃん。

いくつか携帯様が無くなった時のことを思い出したい。

 今年のは、単に飯屋で落としただけ。えらい高いメシ代になっちゃったよ・・・日本だったらたいてい戻ってくるが、中国だとたいてい戻ってこない。

 去年故障したのはシャープの携帯電話。日本だとソフトバンクがパントーンカラーとか言って凄いカラーバリエーションがあったやつだ。あれの故障は、不良品レベルだと思う。相棒も全く同じ携帯電話を使っているが、頻繁に同じ故障が起きるのだ。エレベーターに乗ると電波が通じなくなる。「無服務」の状態になる。エレベーターを降りてから再起動して機嫌がいいと電波回復するレベル。機嫌が悪いと10回程電源を入れたり切ったり、SIMカードを抜いてみたりしなくては復旧しない。こりゃ使いものにならない。

 その他、コップの中に水没したり、回転寿司を選ぶのに熱中していたら、気がついたら携帯電話を盗まれていたり・・・ああ、最初のほうにかったやつで、使用期間1年にも満たないのにキーの印刷されてる字が見えなくなって、#とか記号が分からなくなって使用不能になったのもあった。

 はぁ、思い出さなければ良かった。あまり注意深くない自分+盗まれる+故障という3つの要素で大体だいたい半年~1年に一度くらいは買い換えることになる。

 中国でも日本同様iphone、スマートフォンが流行っていて、先日の新年会でも60歳近い先生が、「いや~、誕生日に妻がプレゼントしてくれてね」と嬉しそうに話していた。
i- phoneが羨ましいというより、故障、盗まれたわけでも無いのに携帯電話を交換できるという状況が羨ましい。

ああ、もうここまで生活必需品だったら、いっそのこと、体に埋め込んで欲しいくらいだ。

新年会

 中国では新年だったり先生の日(9月だったかなあ)に恩師を囲んで同期で集まる事がある。日本の友人に聞くと「あ?ゼミの先生?卒業してから一回も会ってねぇ~」なんてよく聞くから、中国の方が先生と生徒の関係は良好なのかもしれない。今日は杭州にそれに出席するために行って来た。
 
 先生は健康そのものでタバコをプカプカふかしながら終始にこやかに、皆の話を聞いたり近況を話して下さった。現在自分たちが大学で教える立場になって、「いや~、先生の苦労が今漸く分かるようになりました。」「最近の学生は勉強しなくて教えがいがないっすよ~」と言っているのを聞いて可笑しかった。(本人たちの学生生活を傍から見ていたので。
 
 皆の近況、今日来ていない同期の様子、先生が学校の近況など一通り話し終わったら、
テーマが何とか先生が亡くなったとか入院している、◯◯が赤ちゃんが生まれた、なんていう話題になっていた。知らぬ間に年を取って、おっさんとおばはんの集まりになったなあ、と思った。だれもアートの話をしなかった。「大学で絵を教えている」と言う事を除けば、版画制作(私の大学の専攻は版画だった)をやっている奴も0。皆デザインだったり映画やってたり・・・。まあ、自分もそうだけど。

先生のお母さんの話。先生のお母さんは、今出来る限り自分の住む団地の敷地内から出たくないそうだ。足が悪いとか、そういう事ではなくて、“知らない街”を歩くのが恐ろしいのだそうだ。杭州は発展に発展を遂げて、確かに私が知ってる限りでも別の街になってしまった。その街で何十年と暮らしてきた人から見たらそれはもう凄まじい変化だろう。こうしたお年寄りが怖くて外に歩けない、知らない街と思えてしまう街は本当に正しい発展をしているんだろうか?そのうち、市政府がそういうお年寄りのことを考えて街中をバリアフリー化でもするのかいな。街中の白壁に昔の古きよき杭州の町並みを映しだしたりして・・・嗚呼、恐ろしや・・・

 今回杭州に行く時に事前に買っていた切符の電車(中国語で“高鉄”という。高速鉄道ってことだろう。)に乗り遅れた。一瞬ヒヤッとしたが、チケットを次の列車のにするのに、並ぶ必要もなければ、面倒な手続き、費用何もなかった。窓口でチケットを出して、次のにして下さいの一言でOK!え!って思うのは私だけ?
 上海ー杭州は高鉄に乗ってからおよそ45分。全てが余りにもスムーズで、なんだか拍子抜けだ。これが新中国なのかしら。