ハート働く女性たち…「赤ちゃんポスト 涼子」(こうのとりゆりかご) 28話

駆け込み居酒屋として有名になったJR西大路駅近くの「洋風居酒屋ポン吉」のブログ及び掲示板には全国からの女性の深刻な悩みの相談が月に10回は来ていた。このブログのコメントや掲示板は公開されているのでプイバシーに問題がある場合はマスターの音吉やママの幸子のEメールでのやり取りになっていた。

その掲示板には宮崎の23歳の涼子が18歳から23歳の5年間住み込みのスナックのホステスをしていた。そしてまじめに働いてお金も少しは貯まったので京都の音吉さんのマンションに入居したいという簡単な問い合わせだった。音吉の経営するワンルームマンションは1棟16室で今は満室だが、来月に一室空くがこの部屋の元の女性が再婚するために家具や電化製品、それに調理器具、ベッドまで置いていくといっているのでどうかというと「涼子」は喜んでそれらを使わせてほしいといった。

そして部屋が空くと同時に宮崎からダンボール5個の涼子の荷物が届いた。本来入居には親または兄弟の保証人が必要だが、この音吉はここに来るすべての女性が訳アリだと知っているからそれらも要求しなかった。この涼子も他の仕事が見つかるまでは週に3日は店を手伝うようになっていた。この涼子は色白美人の上になんせ23歳と若いから駅近くの一流の会社の独身サラリーマンの話題の人になるのには半月もかからなかった。

この涼子のアルバイトは週に3日だから残りの4日はほとんど外出していた。幸子も涼子が京都観光をしているぐらいだと思っていたが、ある日、涼子は幸子に身の上話を打ち明けた。

この涼子は母子家庭で育ち生活保護を受けていた。高校に進学したころ家が生活保護を受けているというのでなにかと「いじめ」を受けていた。そして登校拒否にそうなると不良からの誘いがありこの転落への道筋はここに書かなくても相場が決まっている。そのころ二つ上の俊也というトラック運転手の安アパートで同棲をしていた。やがて涼子は妊娠に気が付いたが、すでにその時は妊娠七か月で医師からは堕胎は無理だといわれていた。この二人は生まれてくる赤ちゃんのために産着などの用意はしていたものの知識はまったくなかった。

そんなころ涼子が急に産気づきアパートで女の子が生まれた。俊也も涼子も気が動転してその赤ちゃんを産着と毛布にくるんでとりあえずは俊也のトラックで走り出した。涼子はてっきり近所の病院に行くのだと思っていたが、俊也の行先は隣の熊本県の病院の「赤ちゃんポスト」だった。そこにまだ名前もついていない女の子は俊也の手で入れられていた。

涼子は産後すぐの出来事になんら抵抗もできないままに俊也のいうことを黙って聞いていた。
「涼子、お前はまだ17歳だ、俺も若い、こんな俺らに子供を育てることはできない。お前もそうだが、こんな貧乏人の家で生まれたばかりに俺は中卒で働いた、涼子もそんないい目はしていない、この女の子もいずれ涼子と同じ人生になるより、どこかの金持ちに育てられたほうがいいに決まっている」

その数か月後に俊也は交通事故で亡くなっていた。涼子は住み込みのスナックのホステスとして5年間を暮らした。幸子はこの涼子の話を涙を流して聞いていた。そして、
「涼子、なぜ京都に来たの?」
「はい、それからテレビの「赤ちゃんポスト・こうのとりゆりかご」という特集番組を観たの、その時に5歳の女の子が特別養子縁組をして京都府のどこかで元気に育っているという話があって、もしかして私の子供かと思いこの京都にきたのです」
「しかし、それって~涼子の子供を探しているの?これはこれで問題よ…」
「いえ、探しているというより、同じ京都で同じ空気を吸いたかったの」
「う~ん、それも、わかる気もするが…」
「それで、京都の街をブラブラ歩いて5歳ぐらいの女の子を見つけたら、親に許可をもらって写真を撮っていたの…もう、その数も1000枚ぐらいになります。この中にきっと私の子供がいると信じて…」
「そうだったの~しかし、私はそんなことより、涼子がいい人を見つけて幸せな家庭を築くことがその「赤ちゃんポスト」に入れた赤ちゃんへのお詫びになると思うの…」
「はい、ママ、私もそう思うようにします」

それから半年ほど経ったが、涼子は店の客で駅前の一流企業の「フラワー」の30歳の田口義一と付き合っていた。義一は結婚を前提に付き合ってほしいと涼子に愛を打ち明けていた。涼子にとっては忘れようとしても忘れられない過去があった。そこでこの過去を義一に打ち明けるかという相談をしていた。ママの幸子は、
「なにをいっているの涼子、過去といっても戸籍が汚れているわけでもないのに…」
「でも、もし義一さんがそれでもいいといってくれれば…」
「あのね~その昔に「貴女の過去など知りたくないの、済んでしまったことは仕方がないじゃないの」という歌があったが、そんなものは大嘘で男というのは何かがあるとそれをネチネチ持ち出すのよ!涼子!、で、それが嫌になって離婚すれば母子家庭に生活保護、それなら涼子の人生の振り出しにまた戻るだけよ~」

それを聞いていたマスターの音吉も涼子の過去は知らされてはいなかったが一般論として、
「ここは駆け込み居酒屋といわれているが、ここを卒業したものはすべて幸せになってまだ一人も戻ってはいない。だれもが壮絶な人生を経験したものばかりなのに…過去を振り返るより未来を見つめるほうがいい」
涼子は、
「そうでしたか~あれは過去だったのですネ~ところでママさんのその壮絶な過去の人生ってなんだったのですか?」
「過去ねえ~私もママ業で忙しく、それにこうして涼子などの悩みを聞いているうちに忘れてしまったは~ホホホ…あんなに苦しみ悩んでいたことなのに」
「そんなもんですか…過去の悩みって…」
「そう、「済んでしまったことは仕方がないじゃないの」は、男がいう台詞ではなく女がいうものよね~マスター」
「そう、女は賢くしたたかに生きなければならない」
というママの専売特許の台詞を音吉も涼子に伝授していた。
(ママの幸子の壮絶な人生は 18話)←ここからこのドラマは始まりました。
 
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