第8部 悲しみの雨 第14章 最後の審判 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

涼太は事件のニュースを予備校の休憩室で知った。一つの講義が終わりジュースを飲んでいた時だった。ニュースをみていて自分が住んでいたマンションが映し出された。見覚えのある女性の顔が映し出されて、死亡のニュースが流れた時、一縷の望みが絶たれ、呆然となった。それから授業が手につかなかった。あいつらは事件後も何くわぬ顔でのうのうと勉強に勤しんでは、偏差値があがっただの下がっただのいって気に病んでいたが、あの女が亡くなったことについては何の言及はなかった。涼太は5つの学校を受験し3つ落ちて、2つ受かった。そのうちの一つに進学した。皮肉なことに涼太の父親は弁護士で、自分も父親に憧れていたから法学部に進学したものの、良心の呵責は弁護士になる夢を奪っていった。涼太は大学生になると心の闇を抱えながら、勉強もそっちのけで、バイトにクラブ通いが始まった。

時折、あの時の悪友たちと会うこともあったが、何事もなかったように、悪友たちの方が真面目に生きてきて、最終的には奴らは国家公務員になりたいようで、高校生の時より真面目に生きているようだった。奴らの親父たちはエリートたちでその息子達だった。何かあったら保身のために出来るだけの権力を振りかざすだろう。そう思うと今さらあの女のことで真実を明かすことはないだろう。実際には、別に手をかけた訳でもないんだから、あの女が勝手に崖下に転落しただけだと言い張るだろう。何を一番恐れているかは言葉にしなくてもわかる。そして定期的に会っている訳も。

裏切って誰かが告げ口しないことへの意思確認であることを。誰もあのことへ告げ口をされて有望な将来を閉ざされてしまうことを怖れていた。


涼太は目的もないまま大学に通っていた頃、居酒屋のバイト先で一つの恋に落ち、恋人が出来た。自分より一つ年上の女性だった。その人との将来を夢見て、付き合い始めた時、もっと将来のために資金が必要だと思い、居酒屋の他に警備のバイトを始めるようになった。涼太が唯一心を開ける相手は将来を誓った恋人だけだった。

警備のバイトは週3回暑い夏の日も、冬の寒空の下でも懸命に頑張った。こんなにも誰かのために頑張れることは生まれて初めてだった。涼太と彼女は気がついたら彼女のお腹には新しい命を宿していた。涼太は彼女におろして欲しいなんて言えず、むしろ新しい生命の誕生を喜んだ。籍はまだ入れていなかったものの彼女の両親を説得してもうじき結婚の約束をしていた。ささやかながらの幸せを築こうとしていた。今はバイト暮らしだったけれど、これから大学を卒業して就職をしてささやかな暮らしを築こうと思っていた。でもどこかで藤本真広に対して罪悪感を抱えていた。

(たしかあの人も結婚しようとしていたような・・・)涼太は当時のニュースで婚約者が疑われていると報じられていたことを思い出していた。罪悪感に囚われながらも自分が精一杯できる限りのことは自分なりにしたつもりだった。

(悪いのは他のメンバーだよ。ぼくは出来ることを精一杯やったつもりだよ。他のメンバーはもっと悪だし、そこまで自分を責めなくてもいいさ)涼太は自分自身に言い聞かせていた。

それでも彼女が身ごもりお腹が大きくなっていくと、否が応でもあの女(ひと)のことを考えずにはいられなかった。今までだって何もなく過ごしてきた。これからも何事もなく過ごせるはずだと涼太は信じて止まなかったし、信じるというよりは祈りに近いものがあったのかもしれない。

(もう・・・あれから5年が経つのか)涼太は休憩室でタバコを吸いながらどこか遠い目で見つめていた。


p.s

今日は雨でしたが、私はくたくたでした。でもこんなに忙しいのに、太っていく私(笑)

次回のレムリア(タイトル変わる可能性大!レムリアの意味がいまいちはっきりわからないから!)

はこれよりもっと短い作品にします。長すぎて無理だわ。限界が来ているわ。42.195より長い気がする。今朝まで気力がなかったのですが、夜になり元気になり、、今までで長い&苦しい作品になりました。次回は10章くらいでエンドにします。

これからぷち名言が出てきます。私なりに凄い言葉だと思うんですひらめき電球また最後の超ーミラクル意外な結末に、、、なんか最後までよくわからない作品なんですが、このよくわからない感じがいいのかも(笑)  ぶくぶく太っていくし(笑)たまーにラジオ体操をしてます。

頑張りましょう。ずいぶん前の写真ですが、、この日は満月でした。数字で今の気持ちを表すと、

3349714!(⇦使ってみたかっただけアップ)

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