医学ニュースの深層 -41ページ目

新型インフルエンザ脳症の動向と今後の対策


 新型インフルエンザの合併症で、季節性インフルエンザと同様に注意が必要となるのが「脳症」である。前からの補足の意味も含めて、今日は、少々、詳しく書いておく。しかも「真面目に」(→ここ、ポイント)。

 このブログは、結構、子供も持つ、お母さん達が見ているようだから。


 さて、厚生労働省によると、2009年7月28日から12月1日までに報告された新型インフルエンザ脳症は全国で321例。
 11月までは、流行の中心が5歳から14歳の学童にあったため、従来の季節性インフルエンザに比べて年齢の高い小児の脳症例が相次いで報告された。現在までに報告された新型インフルエンザによる脳症例は、例年より多く、比較的年齢が高い傾向にある。

 一般に、年齢の高い小児のインフルエンザ脳症は、乳幼児に比べて後遺症が残りにくく予後も良好である。さらに、今のところは、患者の年齢が高いことに加え、重症化前に早期に2次・3次医療機関に患児が転送されていることが予後を良くしていると思われる。


 ただし、今後、乳幼児の脳症が増え、予後不良例も増加することが懸念される。

そんな「予後不良例」については、どうするか?


 前にも書いたように、発熱翌日に異常言動と全身強直性痙攣が出現するのが特徴である。来院されて入院時の脳波所見から予後が良くないタイプについては、標準治療以外に、過剰な免疫反応および代謝を抑制し、神経障害の拡大を阻止する目的で「低体温療法」に踏み切る場合もある。

 まあ、ここの記事で再三、書いているように、どこやらの国でも米国のように「新規治療薬」の「限定的承認」を前倒ししてくれれば、いいのですがね・・・。


 一方、一次医療機関で「脳症疑い」と診断をつけることについてだが、特に発語や行動が未熟な乳幼児は、行動の異常や意識障害を見付けにくく、意識障害のレベルを判定することが難しい。だから、名前を呼んでも反応しない、といった母親の訴えは重要な情報になるのです。・・・ということで、医師は、いつから、どういう状態が続いているのかを聞き出すことは重要。


 そして、担当の医師は、経過観察を通して、意識レベルの低下が持続する場合はインフルエンザ脳症を疑い、早めに2次・3次医療機関に転出することが「分かれ目」になると思う。


 なお、脳症のほとんどは発熱後に早期に発症するが、解熱後に精神症状が出現する「亜急性」の経過をたどるケースもあることも、現場の医師は、念頭に置く必要があるだろう。

 亜急性の臨床経過をたどる代表的な脳炎として、2相性脳炎やラスムッセン脳炎などが知られている。これらは、発熱が治まってしばらくは大きな痙攣もなく、回復したように思われるが、数日から数週間の経過で発語が低下したり、字が書けないといった神経症状が顕在化する。画像検査をすれば、このようなケースでは脳萎縮や局所異常が認められる。


 このように、現場の優秀な医師らは、どうにか対応されています・・・。

 繰り返しますが、患児のご両親(特に、母親の場合が多い)は、見た目の子供の状態についての情報をできる限り、医師らに伝えてくださいね。

放心状態・・・阪神の赤星が引退を表明 脊髄損傷で現役断念

 阪神の赤星憲広外野手(33)が9日、兵庫県西宮市内のホテルで記者会見し、今季限りでの現役引退を表明した。9月に首を痛めた際は持病の椎間板(ついかんばん)ヘルニアの悪化とされていたが、その後の検査で脊髄(せきずい)損傷と診断されたためで、同外野手は「全力プレーをできない状況で野球を続けるのは無理なのではないかと、引退する気持ちを固めた」と語った。

 現在、日常生活に支障はないというが、医師からは「今度やってしまったら、最悪、命の危険もある」と言われたことも明かした。突然の引退に「実感がわかない」と繰り返しながら、プロ生活を振り返り「9年間できたことは本当にありがたいこと」と話した。

 赤星は愛知・大府高から亜大、JR東日本を経て2001年にドラフト4位で阪神入団。1年目から5年連続で盗塁王に輝き、03年と05年のリーグ優勝に貢献した。しかし今季は91試合の出場で打率2割6分3厘にとどまった。9年間の通算成績は1127試合で1276安打、打率2割9分5厘、381盗塁。

(デイリースポーツ)

コメント:

 放心状態です・・・。

症状は聞いていましたが・・・非常に残念だ。

将来、ヒトiPS/ES細胞利用での治療方法が確立されたら、治してあげたいな。


 今まで、どうもありがとう・・・赤星選手。

これからの「第2の人生」に幸あれ!

肥満率3・4%、日本が最小・・・「OECD保健医療調査」にまつわる思い出などなど

 経済協力開発機構(OECD)が8日公表した「図表で見る保健医療2009」によると、加盟30カ国中で成人の肥満人口の割合が最も低いのは日本だった。日本は平均寿命でも加盟国中、最も長い82・6歳(2007年)と好成績を示した。

 「図表」は、ことし7月にOECDがまとめたヘルスデータなどを基に、先進国を中心とする加盟国の保健医療状況を分析した。

 それによると、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が30を超える「肥満人口」の割合は日本が3・4%と最も少なく、韓国(3・5%)が続いた。米国は日本の10倍に当たる34・3%。ほかに英国(24・0%)などが高かった。平均は15・4%。

 日本は医療機器の普及でも、人口100万人当たり磁気共鳴画像装置(MRI)が40・1台、コンピューター断層撮影装置(CT)が92・6台と最も高かった。【パリ共同】



コメント:


考えてみれば、このOECDデータから、日本の「医療崩壊」ネタに火がついたんだよな。「医療崩壊」を騒ぐだけで、飯が食えるようになった方は数多くいるが、現場は救われていない・・・。


 おっと、タイトルとずれたな(笑)。


 まあ、日本の基準(BMIが25)なんかを持ち出せば、米国なら、更に倍だ。

だから、あれだけ、生活習慣病に罹るわ、それでバタバタ死ぬわという結果になる。まあ、米国で超肥満の患者(肝硬変)に、ガチガチの肝臓めがけてバイオプシーするのは、勇気がいるぞ(笑)。


彼らには子供の頃から、魚を食え、うまいぞ・・・といいたいが。


 話し変わって、日本の医療機器ネタか・・・。

懐かしいな。いや、日本って、世界一、上記の記事にある機器(MRI, CT)が昔から、無駄に過剰なんですよ。その地域での合理的な使い方を昔、提案したことがあったのを思い出した・・・。当時の悲しい思い出とともに・・・。


 

まさに外遊:「品質の問題考えにくい」 英社ワクチンで厚労省

 日本が輸入予定の英グラクソ・スミスクライン(GSK)社製の新型インフルエンザワクチンによる重い副作用がカナダで報告された問題で、厚生労働省は8日、「品質上の問題とは考えにくい」とする同省調査団の調査結果を発表した。原因は特定できなかったという。

 厚労省は「保管や接種の方法に原因がある可能性もある」として、引き続きカナダ政府と情報交換を進めるとともに、輸入に向けた承認手続きを慎重に行う方針。

 手続きを簡略化した「特例承認」の可否を検討する薬事・食品衛生審議会の部会を今月中旬にも開き、国民の意見(パブリックコメント)も募集した上で最終判断する。このため、当初は年内を予定していた承認は1月以降にずれ込む見通し。

 調査団は、通常より高い頻度で重い副作用が報告された製品の製造過程のデータを検討した。この製品と同じ材料が使われた別の製品では異常が報告されていないため、品質上の問題ではないと結論づけた。

 長妻昭厚労相は、同日の閣議後会見で「調査結果を専門家に詳細に見てもらい、慎重に承認するのが大原則だ。決して拙速にされるべきではない」と述べた。(共同)



コメント:


 ガキの使いやあらへんで!(=(できの悪い)子供の、お使いのように、用事を果たさない大人に対して、罵倒する関西弁)


 ここに前から書いていたようなことになったでしょう。

まあ、前にも書いたように、承認はするでしょうね。

ワクチン輸入、慎重に進める 新型インフルで厚労相

 長妻昭厚生労働相は8日の閣議後会見で、カナダで副作用が報告された英グラクソ・スミスクライン社製の新型インフルエンザワクチンについて、同社製ワクチン全体の問題ではないとした上で、輸入に向けた手続きを慎重に進める考えを示した。

 厚労相は「特定の製品以外では通常より高い割合の副作用は起きておらず、(カナダ国内で)接種が続いている」と述べ、問題は限定的だとの認識を示した。ただその原因は、カナダ政府も同国を訪れた同省調査団も把握できていないとした。

 同社製ワクチンの輸入に向けて、手続きを簡略化した「特例承認」について、厚労相は「専門家に詳細に見てもらい、慎重に承認していただくのが大原則だ。決して拙速になされるべきではない」と述べた。(共同)



コメント:

 

ほらね、ここで再三書いていたような政府の対応ぶりでしょ。


年末行事としての「仕分け」

 政府の行政刷新会議による事業仕分けで、文化芸術関連の予算が大幅な縮減と判定されたことを受け、音楽家が7日、東京都内で記者会見し、学校への芸術家派遣事業などの継続を求める緊急アピールを発表した。会見したのは、ピアニストの中村紘子さん、指揮者の尾高忠明さん、作曲家の三枝成彰さんら8人。

 日本のプロオーケストラ30団体が現在受けている文化庁からの助成は年間約19億円。他の先進国に比べ少ないが、事業仕分けでそれが半分に減り、学校への芸術家の派遣事業も打ち切られる可能性が出てきた。

 中村さんは「芸術文化は子供の夢やイマジネーションを育て、科学や先端技術の思考にも役立つ」と述べ、寄付税制の見直しなど芸術を支える方法を根本から再考することが必要だと訴えた。(日経)



 コメント:


 昨日、取材に来られた新聞記者氏によれば、「仕分け第2ラウンド」はどうやら回避されそうとのこと。

 まあ、予算編成まで時間が、もうないし。でも、昨日まで各新聞とも、やりそうなことを書いていたけどな。


 いずれにせよ、仕分けに基づく予算編成は、12月30日が目処だが、なんと越年の可能性すら示唆されている。その間、財務省以外の各省庁や、たとえば各種団体などは、集会を開くなど、最後の最後まで、必死のアピールの連続だ。



 民主党が政権与党でいる限り、上記記事のような光景は、年末行事のように繰り返されるのだろうな。


 さて、ノーベル賞学者、文化人、スポーツ団体・・・。

あれっ?・・・たとえば、これって、全部、文部科学省が所轄じゃないか(笑)。


 有名人とマスコミを利用して、自分らのプレゼン能力不足を補おうとする文部科学官僚。マア、他の省庁の官僚からは「いいなあ、「飛び道具」を使えて(笑)」と揶揄されているようだが・・・。


 まあ、東大時代から、学業成績の点で、財務キャリア官僚の後塵を拝していた文部キャリア官僚。あんたら、社会に出ても、一生、そんな感じでいいのか?

 でも、今回、有名人を担いでまでして、1部の予算(スパコンなど)を除き、関係予算のほとんどは減額査定らしい。


 ここで決死のアピールをして、「漢(おとこ)」を見せないと、いつ見せるんじゃ!・・・文部官僚・・・と、言いたいところだが・・・。

職場で怒りをためると・・・

 職場での不当な扱いに対して怒りをためてしまう男性は、怒りを発散している男性に比べ、心臓発作や心疾患による死亡リスクが2倍以上であることが新しい研究で示され、医学誌「Journal of Epidemiology and Community Health(疫学・コミュニティーヘルス)」オンライン版に11月24日掲載された。

 スウェーデンの男性労働者約2,800人を対象とした今回の研究では、仕事に関する同僚や上司との衝突に対して言いたいことを言わずにいると、心臓発作ないし冠動脈疾患死のリスクが3倍にもなることが判明した。著者の1人であるスウェーデン、ストックホルム大学ストレス研究所のConstanze Leineweber氏によると、今回の研究では仕事のストレスに対するよい対処法は示されておらず、この研究が、職場で喧嘩(けんか)腰な態度を取ることを提唱しているわけではないという。ただし、家で不機嫌な態度を取るなど、職場以外の場所で怒りを発散するのは、少なくとも心臓に害にはならないことが明らかにされている。

 この研究では2,000人強の女性労働者も対象としたが、女性では心臓発作や心疾患死を来した例が少なく、結論を出すことはできなかった。米ピッツバーグ大学(ペンシルベニア州)メディカルセンターのBruce S. Rabin博士によると、女性は一般に男性よりも上手くストレスに対処しているようだという。男性が何でも1人で抱え込みがちであるのに対し、女性は社会的交流を好み、よく話をする傾向があると同氏は説明する。

 仕事のストレスのレベルは個々の環境に左右されるため、1つの鍵となる対処法があるわけではないが、周囲の人と交流をもち、誰もが自分の考えを表現できると感じられる環境を作ることが重要だとRabin氏は指摘している。また、家庭でも誰かと感情を分かち合うことが極めて重要であり、子どもも親の行動を見て学んでいるため、親がよい模範となることが、長期的に子どもの健康にもよい効果をもたらす可能性があると同氏は述べている。

(日経ネット)



コメント:


 ノーコメント(笑)

漢方薬の件

 政府の行政刷新会議の事業仕分けで、漢方薬が保険適用の対象外とされた。決まれば、これまで原則1~3割だった負担が全額に。「薬局で売っている」が“切り捨て”の理由。しかし、「西洋薬では代替できない」「負担に耐えられない」と患者や医師から反発の声が上がっている。

 「これからどうなるのか」。東京都武蔵野市の心療内科「ポレポレクリニック」。辻内優子院長は事業仕分けの後、患者から相談を受けた。

 更年期障害やストレスで心身の不調を訴える人が多く、約8割の患者に漢方薬を処方する。「直接的な対症療法ではなく、漢方薬で体質改善を図る根本治療をしている人が多い。全額負担では治療が難しくなる人も出るだろう」と辻内院長。

 仕分けには、日本東洋医学会なども反発した。1日、保険適用の継続を求める署名簿を厚生労働省に提出。インターネットの約9万人を含む約27万人分が1週間足らずで集まった。

 日本東洋医学会会長で千葉大大学院医学研究院の寺沢捷年教授は「西洋薬ですべての漢方薬の代替はできない」と反論。(共同)



コメント:


 最終的に、いきなり、全部「切り捨て」にはならないとは思う。


 それでも、そういう行為が十分「殺人政策」だという実感すらないのが、今の日本政府・財務官僚のクオリテイ・・・。



 これから、別件の新聞取材があるんだけど、今度は、前の新聞社とか違って、ちゃんと書いてくれるだろう(笑)。

iPS細胞:京大の基金が危機 目標年間5億円、現在1400万円。一方、アメリカは?

 京都大が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究振興のため4月に設けた「iPS細胞研究基金」への寄付金が、年間目標の5億円を大きく下回る約1400万円に低迷している。政府の事業仕分けで科学技術関連予算縮減の危機感が高まっていることもあり、京大iPS細胞研究センター(センター長・山中伸弥教授、電話075・751・4842)は「個人や法人の支援が必要」と呼び掛けている。

 基金は、iPS細胞研究の成果を早く社会に役立てるためセンターの研究環境を整備するのが狙い。10年後の19年3月まで個人や企業などを対象に寄付金を募る。

 iPS細胞は再生医療への応用に向けた研究が世界的に注目されるだけに、京大が設定した目標金額は「各年度5億円」と破格。1000万円を寄付した企業や定額給付金を寄せた篤志家もいるが、これまでに集まったのは法人4件、個人39件の計約1400万円にとどまっている。

 センターのウェブサイト(www.cira.kyoto‐u.ac.jp/)やシンポジウムでのビラ配布で協力を呼びかけてきたが、効果は今一つだ。

 iPS細胞研究を巡っては、山中教授らが07年11月に世界初のヒトiPS細胞の作成成功を発表した直後、文部科学省が5年間で総額100億円を投入する総合戦略をまとめた。今回の事業仕分けで、iPS細胞研究を名指ししての予算縮減の話は出ていないが、科学技術関連事業は軒並み厳しい評価を受けており、山中教授をはじめとする著名な研究者からは憂慮の声が上がっている。(毎日新聞)



コメント:


 意外なくらい、民間からの寄付が低いな。

日本製薬協会加盟の80数社が100万円ずつくらいだして、あとは篤志家で1億円くらいは、集まったんだろうと思っていたが・・・。


 不況の影響もあろうが、このくらいの注目度ということもいえる。

皆さん「期待はしている」だけなのね(笑)。

 アメリカのハーバード大学には、GSK(世界のトップクラスの製薬企業)が確か、53億円を寄付したな(笑)。


 一方、日本では上記の事情に加えて、「国民の税金から、国民の私達では想像もできないような多額の資金が出ているようだし、これって、案外、国も出しているのでは?」とか・・・


 あるいは、ちょっと知ってる人は「アメリカとかに比べて10分の1とかいわれてるけど、それでも、他の研究分野よりも特別扱いだよ」とか・・・思われているようだ。


 さて、定額給付金(懐かしいでしょ)が、なんと190億円もあまり(給付を辞退した人たちなどの「お陰」)、国庫に返納されたようだ。


 じゃあ、このうち、5億円を10年で50億円・・・ってな、わけにはいかないか?

京大CiRAにといいたいところだが、どうして、京大CiRAに、そこまで集中しなきゃならないのということについては、京大CiRAは、周到に説明できるようにしておいたほうがいい。ごく近いうちに「国民に大好評を博し、科学者らを失意のどん底に落とした」あの「仕分け」第2ラウンドが始まるようだし・・・。(もはや「お祭り」だな「仕分け」)

 その説明の中で、他分野の研究者との共同研究の加速・展開(公正明大な公募システムの見本を創る)とか、研究人材の養成・再教育システムを創るとかを今まで以上に強力に提言したほうがいい。


 もう「寄付金」の広報は、これ以上何をやっても、効果が薄いから止めて、ここで書いたような「(説明の)準備」をしておいたほうがいいよ、山中先生。

日本;今日あたりで、新型インフル死亡者が100人

たぶん、残念ながら、今日あたりで、3桁に載りそうだ・・・。