阪大、iPS細胞でラットの心筋梗塞改善
大阪大学の澤芳樹教授と三木健嗣研究員らは新型万能細胞(iPS細胞)を使って、心筋梗塞(こうそく)のラットの症状を改善させた。すでにマウスでも成功していたが、マウスより大きなラットでiPS細胞の効果を証明できたことで、将来の患者応用に一歩近づいた。18日から広島市で始まる日本再生医療学会で発表する。
研究チームはマウスの細胞からiPS細胞を作り、これを心臓の筋肉に成長させた。さらに、できた心臓の筋肉をシート状の組織に加工して、心筋梗塞を起こしたラットの心臓に張り付けたところ、心臓の機能が大幅に改善した。(日本経済新聞)
コメント:
このiPS細胞は、3ないし4因子で、ウイルス(レトロウイルス)を用いて樹立されたものと思われる(皮膚繊維芽細胞由来)。
3因子(Oct3/4, Sox2、Klf4)と4因子(Oct3/4, Sox2、Klf4、C-Myc)の場合で治療効果及び安全性について違いは生じるのか?・・・このあたり・・・たぶん、発表されるのかな?
まっ、ウイルスが、レトロウイルスではなく、センダイウイルスでならば、どうなるのか?(後者の方が、より安全性は高くなるのか?)・・・などなど、慎重に、しかし果敢に検証していっていただきたいなと。
先生方、近いうちに、犬あたりで、センダイウイルス3因子でのiPS細胞で、いかがですかね?
オリンピック、科学・技術と「国力」
冬季オリンピックは、大方の予想どおりの結果に終わった。
何が予想どおりかと、いうと、アジア(中国・韓国)勢の台頭だ。
同じ、アジアの中でも、メダル数からすれば、日本は、1歩も2歩も後退している。
夏季オリンピックでも、同様の傾向が見られるだろう。
深刻なのは、メダル獲得者に続く次世代を担う「スター候補」が、夏季でも冬季でも、ほとんど見当たらないことだ。選手の個々の能力もさることながら、あからさまな日本不利の「ルール」の存在・・・。 同様のことが、今の「科学界」でも見受けられるが・・・。
民主党さまの「戦略的売国」政策によって、この日本という国は、衰退を極めていくだろう。たとえば、非合理な国際ルールについては、クレームを日本政府として公式に出したらどうなのだ!(iPS細胞の)アイデア特許の件もそうだがな。
もう「政党政治」はいらない・・・とまで、言ってヨカですか?
こういうと、民主主義とは何かをレクチャーしてくれる偉い先生がいるが、
今の政党政治のどこが「民主主義」なのだ?俺にもわかるように説明してくれ!
すまんね・・・深夜にクダまいて。
手術支援ロボを国内発売へ J&J、月内にも
医師の細かい手の動きを正確に手術器具に伝える先端医療機器が月内にも国内で初めて発売される。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の日本法人が米ベンチャー企業製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」について、厚生労働省から製造販売承認をこのほど取得した。
ダヴィンチは米ナスダック上場の米イントゥイティブ・サージカル(カリフォルニア州)が製造している。ロボットの腕の先に内視鏡や電気メスなどを取り付けて使う。医師は離れたところで映像を確認しながら、専用の操作装置を使い制御する。(日経新聞)
コメント:
ちょうど1年前に・・・♪、本件について書いたから、そっちの記事を御覧くださいませ(*^▽^*)
2009年の3月27日の記事です。
あれから、1年、とうとう日本でも臨床で使われるわけだ・・・。
ある意味、感慨深いぜよ。
iPS細胞;米国の「戦略」>>>日本の「戦術」・・・米国立衛生研、iPS細胞センター新設へ
米国最大の医学研究機関、米国立衛生研究所(NIH)は25日、「iPS細胞(新型万能細胞)センター」を新設すると発表した。
今年9月までに、300万ドル(約2億7000万円)をかけてメリーランド州ベセスダのNIH本部構内に研究室を設置する。10月以降、臨床応用に向けた予備研究を始める。
様々な組織に分化するiPS細胞を使えば、画期的な治療法を開発できる可能性がある。
山中伸弥・京大教授が最初に作製に成功したが、その後は国際的な競争が激化しており、米国も世界水準の研究拠点を設けて再生医療の実現を急ぐ。
フランシス・コリンズNIH所長は26日、ワシントンで講演し「戦略的な投資で、新しい科学の知識を実用化に結びつける」と話した。(読売新聞)
コメント:
上記の記事は、冒頭から間違っている。世界最大と修正が必要。
米国NIHが300万ドル・・・案外、「異常なほど」少ないというのが私の感想だ。
日本の研究者の皆さんは、多いと思っているだろうが・・・。
ちなみに、これは、ほんの「初期投資」だから。
たぶん、この初期のお金は、NIHが「とりあえずの」iPS細胞専用の研究費として、NIH構内に研究室を設置して(というか、構内の空き部屋を整備して)、全米にRFA研究として研究者を公募・採択して終わりだろう。そして、それに採択されるのは、ハーバード大学、MIT、UCSF、ウイスコンシン大学などの超強力なところに所属の研究者。ヒトES細胞も自由に使え、iPS細胞で多くの研究実績を積んでいるところだ。。
ちなみに、それらの研究機関には、すでに政府やら、民間やらから、数百億ー数千億のお金が配分されており、米国NIHと、それらの各研究機関との間での有意義な「共同研究」が加速するだろう
しかしまあ、なぜ、今、この時期にNIHの所長が、わざわざ、こういうことを公表したと思う?「金」と「名誉」には、ことのほか執着心のある、コリンズ所長が(笑)。
日本じゃ、誰も気づかないのかな??
このことと、最近「絶妙のタイミング」で成立したヒトiPS細胞関連の米国「アイデア特許」と「英国特許(これも事実上、米国ベンチャー企業のだから、米国のようなもの)」とは無関係では、ないのですがね・・・。
まっ、これで、日本が所有する「iPS細胞」の基本特許など、もはや「紙くず」同然にまでされたと、コメントしておくわ。
日本政府は、NIHに、能力のある人間を、税金を使って送り込め。
むしろ、できれば、幹細胞研究者だけではなく、化学、情報科学に長けた人材を。
京大CiRA(iPS細胞研究センター)だけに、なんでも、かんでも、すべてのツケをまわすような日本の政策は、もはや、合理的ではない。
1人の人間、1つの小さな組織で、やれることには限界があることくらい、社会人やってりゃ、わかるだろう?
オリンピック 女子フィギュア雑感
ミスなく滑れば、高得点。
高度な世界初の技を決めるよりもだ。
キムヨナと浅田真央との間で、あんなに点数が開くとは、あいた口が塞がらない。
私が見たかったのは、スポーツだ。
踊りなら、クラシックバレエを見に行くわ!
誰もできない技(それの成功へのプロセスを含む)にこそ、感動するのだ。
フィギュア界は、自縄自縛したことを後年、思い知るだろう。
科学界でも、ブレークスルーの発見は、当初は理解されない。
コンスタントに紙くず同然の論文数が評価され、要領の良い奴が
ポストをゲットする。
こうした風潮が世の中の閉塞感を更に加速するのだ。
試験管の向こうに難病患者さんの笑顔を見よう;iPS細胞研究に難病少年が協力
筋肉の細胞が骨に変わる難病患者で、明石市に住む少年が、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究に取り組む京都大学に体細胞を25日にも提供する。少年の体細胞から作ったiPS細胞を筋肉細胞にすることにより、病気のメカニズムの解明や治療法の開発を目指す。ヒトiPS細胞は、病気やけがで失われた臓器や組織を機能させる再生医療への活用の可能性で注目されているが、難病治療への貢献にも期待が高まっている。
小学6年生の山本育海君(12)。2006年、外傷や疲労などによって激痛とともに骨化が進む「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」と診断された。その後、国が難病に指定。200万人に1人の発症とされる。今のところ治療法はなく、山本君は首や背中などの骨化が年々進んでいる。
京大では、山中伸弥教授が07年、ヒトの体細胞に特殊なウイルスを使って四つの遺伝子を組み込み培養する方法で、ヒトiPS細胞の作製技術を発表。患者の患部と同じ細胞を作ることで病気のメカニズムを解明し、治療薬の開発につなげる研究も進めている。
iPS細胞の技術が難病研究にも役立つと知った山本君は昨年11月、山中教授らと面会。その後「一日も早く薬を開発してほしい」と、体細胞の提供を申し出た。これまでの研究で原因遺伝子が特定されるなど治療法開発に向けた条件が整っているとして、京大は提供を受け、研究することにしたという。
提供された体細胞は、iPS細胞から筋肉細胞に分化させる。その上で、原因遺伝子が筋肉を骨にするシグナルを分析し、骨化を止めるのに有効な物質を探る。
京大物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センターの副センター長で、山本君を担当する戸口田淳也教授は「iPS細胞の技術で難病の治療法を解明するのはわれわれの使命。育海君の思いに応えられるよう研究を進めたい」と話している。(神戸新聞)
コメント:
23日の昼あたりから、あまり声が出ない・・・風邪のため。
私が、こういう情況になっても、ひっきり無しにくる電話、メール・・・。
この上記の記事ネタについても、「コメント」を求められ、「試験管の向こうに難病患者さんの笑顔を見るために」コツコツと研究を積み重ねなければならない・・・と言ったら、妙に爆笑された。
「なんで、笑われたんだろう?」と思ってたら、「コツコツと」が「骨の研究」にマッチしたらしい・・・。
まあ、こうした難病研究の花が開くのは、さすがに長期間かかるだろう。
しかし、医学研究のみならず、他の研究分野にも大なり小なり当てはまるだろうが、上記の疾患研究の成果が出る過程で、思わぬ「成果」(研究対象とは異なる医学の他分野で予想外に役に立つ成果)が出ることがある。
自分でも、そういうのを、いくつか経験している。
たぶん、「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」そのものを解決するための研究を進めていく間で、結構、いろいろな「掘り出し物」が見つかるだろう。
新型インフル、ピーク越え判断先送り WHO
【ジュネーブ=藤田剛】世界保健機関(WHO)は23日、世界各国の専門家で構成する緊急委員会を開いた。WHOの事務局は新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)がピーク(最盛期)を過ぎたとの認識を委員会に示したが、委員から「アフリカなどでは流行が続いており、ピークを過ぎたとの判断は時期尚早」との指摘が相次ぎ、結論に達しなかった。
WHOは当初、昨年6月に最高度の「6」に引き上げた新型インフルエンザの警戒水準を「ピーク終了後」に変更し、ピーク越えを宣言する予定だった。しかし、23日の緊急委では同意が得られなかったため、警戒水準の変更もピーク越え宣言も見送る。
さらに2~3週間状況を点検し、緊急委を再開催する方針だ。(日経)
コメント:
まあ、WHOは国際機関だからな。
アフリカ諸国の意見は、十分尊重されるべきだし「世界規模での見送り」は妥当だ。
ただ、日本などは、流行のピークを過ぎており、
WHOは、地域(アジア、欧州、北米などなど)ごとに、
流行のフェーズの判断をすることが、これから先は重要だろう。
まつげエクステご注意、目の炎症など年50件 技術未熟な業者も
「エクステをした日の夜から目が痛くなり、涙が止まらなくなった」。東京都の30代の女性会社員は09年11月、眼科医の診察を受けた。医師から「角膜全体に傷が付いている。接着剤が原因ではないか」と言われ、しばらく通院を余儀なくされた。(日経)
コメント:
数日前に、共同も報じていたネタですが、消費者庁を通じて、厚生労働省に安全策の確保が要請されており、早晩、「規制強化」の通達がなされるはずだ。
基本的に、まつげエクステは、美容師法上の「美容所」で、資格のある美容師が行う美容行為である。しかし、若い女性の間のブームで実際にはエステ店やネイルサロンなどで行われていることが多い。
この手のものは、ちゃんと免許を持ったプロにしてもらわないと、だめですよ。
でも、ここの読者の多くが、こういうことに興味をもつ対象になると思うけど、「(技術が)うまい」のは、ノンプロだったりするのから、始末が悪い(笑)。
ただ、もし、施術後に健康障害がおきたとしても、無免許の施術者(集団)というのは、「マッサージ」とかでも同じですが、非常に巧妙に(あるいは恐喝まがいのことをして)「逃げます」よ。
結局、運が悪ければ、(肉体的・精神的かつ経済的に)損するのは、そういう「ノンプロ」に任せた人ばかりなり。どうか、ちゃんと、免許があるか否か確認して施術してもらってくださいね。
医学的な観点から言えることは、できるだけ継続して付けず、目元を清潔にすることが大事です。
久しぶりの新型インフルネタ:インフルエンザ患者数減少続く 3週連続
この1週間に新たに医療機関を受診した患者は推計約15万人(前週約22万人)で、昨年7月上旬以降の累計は約2043万人となった。
佐賀以外の46都道府県で前週より減少。1機関当たりの人数は、すべての都道府県で10を下回り、多い方から福井(7・97)、沖縄(5・66)、埼玉(5・39)の順。
コメント:
インフル・ネタは、久しぶりだな(笑)。
予想通りの推移で順調に減少しており、国際的にも23日にWHOが「流行期の一段落」を宣言しそうだ。
しかし、新型インフルのピークは過ぎたとはいえ、まだ感染者は一定数いるわけで、注意は必要だが。
なお、非常に興味深い現象なのだが、なぜか、この時期になっても「季節インフル」が「新型インフル」に「取って代わって」流行する現象が、まだ見れない・・・。
少なくとも「日本国内」ではだ。
このことを指摘するMediaは、まだ無いようなので、ここで指摘しておきますね。
iPS細胞:作成技術で長寿に? 老化にかかわるテロメア修復--米チーム
染色体の両端部「テロメア」が異常に短くなる難病の患者の皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、長さを回復させることに、米ボストン小児病院などのチームが成功した。テロメアは老化や細胞のがん化にかかわることが知られており、生命活動の営み解明やがん治療に役立つ可能性がある。17日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表した。
チームは、先天性角化異常症という遺伝性疾患に着目。テロメアを維持する酵素「テロメラーゼ」が不足してテロメアが短くなる難病で、老化が早まるほか貧血や皮膚の異常などが起こる。患者3人の皮膚細胞を採取し、山中伸弥・京都大教授が開発した4種類の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作成した。
その結果、患者の元の細胞では、テロメラーゼを構成する分子の一部が不足しているにもかかわらず、iPS細胞ではテロメラーゼが正常に働くようになることを突き止めた。また、テロメアが修復され、正常の長さに戻ることも発見した。テロメアは、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなる。チームは「老化現象の解明にも役立てたい」としている。(毎日新聞)
コメント
まあ、京大の山中先生は、健常人のボランテイアから採取した皮膚繊維芽細胞からのiPS細胞でテロメアの回復を以前から講演会で公表していますから、今回の論文は、いわば、その発表の「患者版」ともいえる。
今回の報告内容は、先天性角化異常症患者由来のiPS細胞においてテロメア伸張が起こることを示したもの。
iPSテクノロジーを用いることで、DKC1欠損のケースにおけるテロメア伸張のメカニズムの一端が垣間見えたわけだ。
まあ、もうちょっと一般の方用に、くだいていえば・・・。
遺伝子異常であれ、なんであれ、異常な状態をできるだけ正常の状態にすることが「治療」といえる。
iPSテクノロジーによって、今回の研究のような「病的な老化」や、あるいは「がん化」を克服するための重要な知見が見出せることを示唆した成果として注目される。
そう・・・「老化」はもちろん、「癌」に対してもね(いい意味での「笑」)。