iPS細胞:作成技術で長寿に? 老化にかかわるテロメア修復--米チーム
染色体の両端部「テロメア」が異常に短くなる難病の患者の皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、長さを回復させることに、米ボストン小児病院などのチームが成功した。テロメアは老化や細胞のがん化にかかわることが知られており、生命活動の営み解明やがん治療に役立つ可能性がある。17日付の英科学誌ネイチャー電子版で発表した。
チームは、先天性角化異常症という遺伝性疾患に着目。テロメアを維持する酵素「テロメラーゼ」が不足してテロメアが短くなる難病で、老化が早まるほか貧血や皮膚の異常などが起こる。患者3人の皮膚細胞を採取し、山中伸弥・京都大教授が開発した4種類の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作成した。
その結果、患者の元の細胞では、テロメラーゼを構成する分子の一部が不足しているにもかかわらず、iPS細胞ではテロメラーゼが正常に働くようになることを突き止めた。また、テロメアが修復され、正常の長さに戻ることも発見した。テロメアは、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなる。チームは「老化現象の解明にも役立てたい」としている。(毎日新聞)
コメント
まあ、京大の山中先生は、健常人のボランテイアから採取した皮膚繊維芽細胞からのiPS細胞でテロメアの回復を以前から講演会で公表していますから、今回の論文は、いわば、その発表の「患者版」ともいえる。
今回の報告内容は、先天性角化異常症患者由来のiPS細胞においてテロメア伸張が起こることを示したもの。
iPSテクノロジーを用いることで、DKC1欠損のケースにおけるテロメア伸張のメカニズムの一端が垣間見えたわけだ。
まあ、もうちょっと一般の方用に、くだいていえば・・・。
遺伝子異常であれ、なんであれ、異常な状態をできるだけ正常の状態にすることが「治療」といえる。
iPSテクノロジーによって、今回の研究のような「病的な老化」や、あるいは「がん化」を克服するための重要な知見が見出せることを示唆した成果として注目される。
そう・・・「老化」はもちろん、「癌」に対してもね(いい意味での「笑」)。