「妻夫木VS松ケン、初共演作「マイ・バック・ページ」撮影中に“火花”
妻夫木聡と松山ケンイチの初共演作「マイ・バック・ページ」がこのほど、クランクアップ。
ホリプロ所属の先輩・後輩という間柄の2人は、妻夫木が時代に翻ろうされる若手記者、
松山がその記者を挫折に追い込む学生活動家という役どころで、撮影中は互いに“火花”を散らした。
同作は、評論家・川本三郎氏が記者時代、ひそかに面会取材した犯人にシンパシーを感じたことから
殺人事件の証拠隠滅に手を貸し、逮捕されるまでの1969~71年を実話をベースに描く。
神奈川・川崎の古いアパートで行われたロケでは、松山扮する片桐(梅山)が、妻夫木が演じる沢田を
“アジト”のアパートへ案内し、外階段で活動家仲間役の中村蒼とすれ違うシーンを撮影。
ロケは猛暑のなか夜間にまで及んだが、主演2人ほか監督・スタッフも汗だくになりながら集中力を
発揮して乗り切った。
妻夫木は、自ら演じた沢田雅巳を「時代に飲み込まれたヤツ」と評する。無事にクランクアップしたが、
「撮影は沢田が乗り移ってしまって、正直本当にきつかったのですが、『映画作っているな』という
現場ならではの空気を感じられた」と振り返る。初共演の松山に対しては、「とてもボキャブラリーが
豊かなヤツなので、いろんなことに挑戦してくる。ひとつの料理にどんどんスパイスを加えて作り上げて
いくヤツなので、演じていてとても新鮮で面白かったです」と刺激を受けたようだ。
一方の松山は、先輩・妻夫木との撮影を「一緒にやらせていただいたこと、出会えたことをありがたく
思っています」と述懐。そして、「すごく優しくしてもらいました。僕のセリフが難しくて、
とちっちゃうときも全然変わらずに付き合っていただいて、申し訳ない気持ちとありがたい気持ちです。
もう少し長くやりたかった」と語った。
2人をたとえるなら「骨と肉。骨格を妻夫木くんが作り、松山くんが肉を付けていくようでした」
と説明するのは、メガホンをとった山下敦弘監督。原作の舞台は山下監督、脚本を担当した
向井康介が生まれる前の出来事だけに、苦労も多かったようで「全カット大変だったのですが、
時代の再現ではなく、自分たちなりに『マイ・バック・ページ』という世界観をつくりあげるという
気持ちで臨みました。最低限の時代考証はするとして、リアリティよりも僕らが『何を面白いと
思うか』を優先させました」とこだわりを明かす。
原作者の川本氏は、映画化に際して「暗い過去と向き合うことになり、身が引き締まる思いだ」
とコメントを寄せたが、内容に関する直接的なアドバイスは受けなかったという。
「新聞社の様子やジャーナリストの所作などについての具体的なアドバイスはいただきました。
原作の再現ではなく、原作から受け取った時代を、映画ならではの視点で描いたつもりです」
と強いこだわりをのぞかせた。
「マイ・バック・ページ」は、2011年に全国で公開。
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